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女子ジャンプ・フライングガールズが夢の舞台へ (2/2)
山田いずみと渡瀬あゆみ、世界選手権直前インタビュー

2009年2月17日(火)

■突然の廃部と新たなスタート

「ジャンプを続けられることが本当にうれしい」という渡瀬
「ジャンプを続けられることが本当にうれしい」という渡瀬【(C) KOBE CLINIC】

 二人に最大の試練が訪れたのは07年だった。02年から所属してきたロイズが活動を停止。所属先が決まらず、雇用保険を受けて競技続行を強いられることとなったのだ。

「前から契約には(期限が)あったので、頭にはありましたが、既に世界選手権で女子が正式種目になることが決まっていたので、ショックでしたね。でも、その中で(渡瀬弥太郎)監督が所属企業を探してくれて、すごい数の会社を回ってくれたんです」(山田)
「ジャンプを続けられるかどうか不安で先が真っ暗になりました。どうしようと思いましたが、とにかく自分はジャンプに集中しようと思いました」(渡瀬)

 新しい所属先が視力矯正専門眼科の神戸クリニックに決まったのは、突然だった。同クリニックは北海道にも開院しており、もともと地域貢献への意識は強かった。また近年は、視力矯正のレーシックを受けるスポーツ選手も増加しており、スポーツ選手を支援したいという思いもあったという。同クリニックとの交渉は一度頓挫したが、偶然北海道で二人のことをテレビで見た吉田圭介理事長(当時)が、支援を決めたという。

「決まったときは、これでジャンプが続けられると思ったら、本当にうれしかった。神戸クリニックには本当に感謝しています」(山田)
「最初は信じられませんでした。偶然私たちのことをテレビで見てくれて、奇跡ってあるのかな、って思いました」(渡瀬)

■山田「安心してジャンプに打ち込めている」

「ジャンプで恩返しをしたい」と意気込む山田
「ジャンプで恩返しをしたい」と意気込む山田【(C) KOBE CLINIC】

 企業によるスポーツ支援の在り方が変わり、さまざまなスポーツで大会スポンサーから撤退したり、チーム活動を停止したりする企業が後を絶たない中、新たにチームを結成して、選手の支援を始めた神戸クリニックのケースは珍しい。さらに女子ジャンプという、オリンピック種目でもなく、決してメジャーとは言えない競技という点においても興味深い。

 山田は、新たな所属先が決まってからの状況の変化についてこう語る。
「現在では、安心してジャンプだけに打ち込めているので、本当にありがたいです。私たちにはジャンプしかないので、ジャンプで恩返しをしていきたいですね。神戸クリニックは(前の所属先と違って)、規律や仕事に対する考え方など妥協を許さない厳しい面がありますが、その分、社員同士が近いというか、とてもアットホームな会社ですね。とても溶け込みやすかった。私たちを一社員と認めてくれているのが、すごくうれしい。たまに海外に遠征に行ったときにも、社員の皆さんからの応援メールが届いたりするんですが、本当にうれしいですし、勇気づけられますね」

 神戸クリニック側にとっても、二人が与える影響は大きい。院内では「世界に挑戦している人たちが同僚にいると思うと励みになる」といった声をよく耳にするなど、士気高揚につながっている。また、吉田元理事長をはじめ、関係者の一部は、世界選手権へ応援に駆けつけるという。
「世界選手権を第一の目標にやってきたので、自分たちの活躍をぜひ見てほしい」(渡瀬)

■ベストのジャンプで子供たちに夢を

 昨年は8月にオーストリア女子ジャンプチーム元ヘッドコーチのヤンコ・ツビッター氏が来日。二人は助走姿勢や試合への入り方を教わるなど、世界選手権のシーズンに向けて、同氏の存在が大きかったと語る。

「ローラーブレードを使って、バランスを意識したトレーニングをするなど、技術的にも大きかったですが、特に試合への気持ちの持っていき方がうまくなったと思います。海外の試合は年に数回しかない。これまでは、周りを気にしてしまって、ほかの人のジャンプが気になっていたんですが、いつもと同じことをやっていれば飛べる、という気持ちになれたのが良かったと思います」(山田)

「初めてやるトレーニングで、楽しかった。いいところはいいとほめて伸ばしてくれて、ダメなところも分かりやすく説明してくれたので理解しやすかったですね」(渡瀬)

 トレーニングの効果もあり、世界選手権を直前に控えた1月の国内大会で山田は最後の4戦を4連勝、渡瀬も4戦連続の表彰台と、二人は好調を維持してチェコに入る。渡瀬は世界選手権の舞台について、「(10月のプレ世界選手権で飛んで)相性も悪くないし、いい印象を持っています。気負わず、自分の納得のいくジャンプを2本揃えたいですね」と自信を見せれば、山田も「今までやってきたジャンプを作り上げていくだけ。今まで努力を重ねてきたので、(世界選手権では)これまでの中でベストのジャンプをしたい」と決意を見せた。

 今回の世界選手権では、これまでになく脚光を浴びている女子ジャンプ。しかし山田は、「昔に比べるとやる人もかなり増えてきてはいますが、まだまだ知らない人も多いマイナースポーツ」と語る。二人はこの大会で、自分たちが活躍してメディアに取り上げてもらうことで、女子ジャンプ界のさらなる発展を願っている。ゆくゆくは子供たちにジャンプを教えていきたいと考えている山田は世界選手権で「あきらめなければ夢はかなうことを伝えたい」と思いを込める。

 今回の女子種目は、20日に行われるノーマルヒルのみ。山田と渡瀬はここで、自分たちの、そしてこれまで支えてくれたすべての人の思いをぶつけて飛ぶ。

<了>

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