安藤、GP連勝も「90%はラッキー」
高橋は4位、小塚と中野はファイナル遠のく
フィギュアスケートのグランプリ(GP)・シリーズ第4戦NHK杯は7日、長野市・ビッグハットで第2日を行い、女子シングルはショートプログラム2位の安藤美姫(トヨタ自動車)がフリースケーティングで2位となる106.33点を記録し、総合162.55点で初優勝を飾った。
安藤は第2戦のロシア杯に続く連勝で、シリーズ通算成績上位6人に出場権が与えられるGPファイナル(12月、東京)への進出を決めた。ショート3位の中野友加里(プリンスホテル)は総合152.35点で4位だった。
男子シングルは2007年の世界王者ブライアン・ジュベール(フランス)が総合232.70点で初優勝を飾った。ショート4位の高橋大輔(関大大学院)は総合214.29点で4位、ショート5位の小塚崇彦(トヨタ自動車)は総合186.00点で7位。今大会の順位で、女子の中野、男子の小塚は、GPファイナル進出が厳しくなった。
そのほか、シニアのGPシリーズデビュー戦を迎えた女子の石川翔子(明大)は総合10位、男子の村上大介(青森短期大学)は総合9位。ペアの高橋成美、マービン・トラン組は総合119.48点で8位だった。アイスダンスのキャシー・リード、クリス・リード組はオリジナルダンスを終えて74.97点で7位につけた。
■安藤、ジャンプでミス連発「1位に乗っていいのか疑問」
日本スケート連盟はGPファイナルの日本人最上位メダリストを2010年バンクーバー冬季五輪の日本代表に内定するとしている。安藤はファイナル進出で自身2度目の五輪出場へ一歩近付いたが、ジャンプのミスを連発しながら他選手のミスに助けられた形での優勝とあって表情は浮かなかった。取材陣から優勝の感想を聞かれると「初めて日本で(開催のGPで表彰台の)真ん中に立って、ファイナル進出も決まって今はほっとしている。ただ、ショートもフリーも内容を考えると1位に乗っていいのかな? とクエスチョンがある。うれしい気持ちは10%、ラッキーだったという気持ちが90%」と話し、恥ずかしそうなしぐさを見せた。
プログラム序盤で3回転ルッツから2回転ループへつなぐ連続ジャンプに失敗した。続くダブルアクセル(2回転半ジャンプ)からのトウループは3回転の予定を2回転へ変更。冒頭のルッツの失敗が尾を引いたという。終盤の3−2−2の3連続ジャンプは2つ目を降りたところで転倒した。表現力については高い評価を受けたが「日本開催の大会は、日本人選手に甘いイメージがある」と謙そん。今後の課題として「たぶん、一番弱いのはメンタル。良いテンションで試合に出られるようにしたい。結果は優勝になったが、これでは世界に通用しない。連続3回転ジャンプは必要だと思うし、ダブルアクセル−3回転トウループも確実にする。だれからも『勝てる選手になったね』と言われるようにファイナルまで頑張りたい」と、ジャンプとメンタルの強化を挙げた。
また、中野は序盤こそ連続ダブルアクセルを成功させるなど順調に見えたが、時間を経るごとに安定感を失い終盤の3回転サルコウで転倒。「緊張感がすごくあって、直前の練習から体が思うように付いてこなかった。動きが鈍く、体も硬かった」と肩を落とした。
■高橋、完全復活は先送りも手応えつかむ
男子の高橋はショート4位からの逆転を狙ったが、フリーはジャンプのミスが多く、自己ベスト(175.84点)に遠くおよばない136.11点と得点を伸ばすことができなかった。最終成績は総合214.29点の4位で順位を上げることはできなかった。直前の6分間練習では4回転ジャンプを決めたが、プログラム序盤の4回転ジャンプは回転不足の判定。着氷時のバランスも乱れた。3回転半ジャンプでも体勢が崩れ、後半には連続3回転ジャンプ、3回転ループで転倒した。 試合後には「4回転の調子が上がってきていたのに、それをプログラムで出せずに悔しい。タイミングが合わなかった。疲れや緊張がある中、気力で持っていけるほど気持ちの体力がなかった」と悔しさをのぞかせた。右ひざの手術で昨季を丸々棒に振った分、すぐに完全復活とはいかない。4回転ジャンプについては、負傷以前のように全力で跳ぶのではなくコントロールが必要になったと言う。一方、先月の国際大会フィンランディア杯からスピンや表現面などジャンプ以外では課題を克服しつつある部分もあり「(表現力を採点する)ファイブコンポーネンツは100パーセントではないけど、改善できていると思う。体力を上げてスピードが落ちなければ、もっと良い点をもらえるはず。練習ではもう少し良い演技ができる。前回の試合後はフリーのプログラムを通してやる練習をかなりやってきた。疲れた中でもある程度ジャンプが跳べるようにもなっている」と照準を合わせる2010年バンクーバー冬季五輪に向けては手応えを得た様子だった。
小塚は4回転ジャンプで転倒、2度の3回転半ジャンプをともに失敗。フリーでは10位となる111.95点と苦しみ、ショートから順位を落とした。「悔しい気持ちと、なんでこうなっちゃったんだろうという気持ちがある。4回転をミスすることは練習でもあるが、3回転半ジャンプが試合では入らない状態になってしまった」と自身が感じていた好調とは対照的な結果に肩を落とした。
GPシリーズ第2戦のロシア杯で2位となった今季初戦から体力のアップに自信を見せていたことについても「後半は足が動かなかった。ロシアよりも日本では緊張するし、その中で緊張に体力を奪われた感じでまだ足りないと感じた。期待をしてもらっている状態でも体力を保てるようにしたい」と見つめ直し、次戦の全日本選手権に向けて再強化を課題の一つにあげた。
■残り2戦のファイナル出場権争い
GPシリーズは第4戦を終え、残りはスケートアメリカ、スケートカナダの2戦を残すばかりとなった。日本勢ではすでに男子の織田信成(関大)、女子の安藤がともに2連勝でファイナル進出を決めている。男子のファイナル出場争いでは、初戦は4位ながら今大会を優勝したジュベールが大きく前進。高橋は最終戦で優勝を争うことが条件ながら可能性を残した。女子は昨季の世界選手権1位のキム・ヨナ(韓国)、同2位のジョアニー・ロシェット(カナダ)が今後の大会に出場するが、第3戦の中国杯を優勝した日本の鈴木明子(邦和スポーツランド)にも大きな可能性が残されている。
<了>
・NHK杯 男子シングル結果・順位表 (2009/11/7)
・NHK杯 女子シングル結果・順位表 (2009/11/7)
・安藤、2位発進も内容に不満「最悪」 男子の高橋、小塚は転倒で出遅れ (2009/11/6)
・豪華外国人選手が激しいメダル争い フィギュアスケートNHK杯ショートプログラム (2009/11/6)
・フィギュア主要大会日程・結果 (2009/11/7)




