江橋よしのり
スポーツナビ

「作る局面」から「崩す局面」へ (1/2)
日本女子 2−4 米国女子

2008年8月19日(火)

■先制するも相手DFラインを崩せなかったなでしこジャパン

日本―米国 後半、米国に3点目を入れられ、悔しそうな表情の沢(左)に声をかける池田=工人体育場
日本―米国 後半、米国に3点目を入れられ、悔しそうな表情の沢(左)に声をかける池田=工人体育場【共同】

 結果は衝撃的な敗戦だった。期待が大きかったぶん、落胆も大きい。
 それでも、ノルウェーと中国を破ってここまで勝ち上がってきたのは偶然じゃない。なでしこジャパンがベスト4に進んだ原動力は、組織的な守備力。特に前線から中盤にかけての高い位置から開始する守備であった。

 FWが相手のパスコースを限定することから始まり、最終ラインまでが連動して相手ボールを奪う。奪った地点から即、攻撃に転じる。相手の守備のバランスが整う前に、ゴール方向へボールと人を動かす。それを繰り返す中、攻守の切り替えの早さで先手を取れた時には、数本のパスで得点できていた。守備が効いていたからこそ、得点も奪えていたのである。
 米国と対戦した準決勝でも、なでしこジャパンは序盤から、鋭い守備で相手ボールを奪い返していた。相手の攻撃時には素早くボールに集まり、奪い返せば素早く散る。すると17分には、得意のセットプレーから先制点を挙げた。宮間あやの左CKから阪口夢穂が競り、こぼれ球を近賀ゆかりが折り返すと、フリーになった大野忍が合わせてゴールを奪った。
 しかし、流れの中からはほとんどチャンスを作れない。相手DFラインを崩せないのだ。

■「崩す局面」に参加できなかった2トップ

 なでしこジャパンは、戦術の差で米国に負けた。
 決勝進出を懸けて戦う相手のDFラインを、いかに崩して突破するのか。そのアイデアと実行力が、なでしこジャパンには足りなかったのだ。

 サッカーの攻撃は「作る局面」、「崩す局面」、「決める局面」に分割できる。
 準々決勝までのなでしこジャパンは、「作る局面」に手間ひまをかけず、ボールを奪った瞬間から「崩し」のパスを打ち込むことができた。前線からの守備が功を奏していたため、澤穂希、阪口の両センターハーフが前を向いた状態で反撃を開始できたからである。
 運動能力の高いセンターバックを擁する米国に対抗するには、なでしこジャパンは守から攻への切り替えだけでなく、攻から攻へ――「作る局面」から「崩す局面」へ――いかに切り替えられるかが重要であった。それは例えば、FWがボールを受ける前にウエーブしたりダイナミックにポジションチェンジしたりというアクションを入れながらボールを受けるという、突破のための戦術だ。
 しかし実際、なでしこジャパンの2トップの受け方は、「作る局面」に参加する動きでしかなかった。

 <続く>


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