■日本はクロアチアより劣ってはいなかった
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PKを止めるなど、好セーブを連発した川口。大舞台に強い男が本領を発揮した
【 Photo by 大友良行 】
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ニュルンベルクで日本がクロアチアに0−0で引き分けた試合は、今後に向けて重要なことを学ぶためのマニュアルになったといえるだろう。
サッカーにおいて明らかなのは、ボールを保持しているからといって、それが勝利に結び付くわけではない、ということである(この試合での日本:クロアチアのボール支配率は56:44)。なぜなら、敵陣に攻め込むことこそが必要だからだ。この試合では、2人のクリエーティブな選手――中田英と中村によって、日本は柔軟性をもって試合をうまくコントロールしていたにもかかわらず、相手のペナルティーエリア付近で、柳沢と高原はほとんど何もできなかった。彼らに決定的なボールが入ることがなかったからだ。それは、ミドルシュートが多かったことからも分かる。本来は効果的なミドルだが、この日の日本は求められているような結果を得られなかった。
ニュルンベルクで見た試合から判断すれば、日本はクロアチアより劣ってはいなかった。これはいいニュースだろう。しかし、日本には相手陣内での決定的な仕事が必要だった。また同時に、フィジカルでクロアチアに劣る日本が、自陣に引っ張られるようになることは明白だった。現に、前半22分には宮本がプルショへのファウルでPKを献上。しかし、GK川口の素晴らしいセーブで難を逃れた。
一方、クロアチアにしてみれば、ボールのポゼッションでは日本に劣っていても、より得点の可能性はあった。しかし、勝ち点3獲得に焦り過ぎたのか、チャンスを作りながらも、それをゴールに結び付けられなかった。
■日本の弱点はフォワードの決定力
この試合での日本のベストプレーは、間違いなくディフェンス陣の頑張りだろう。センターバックの2人――中澤と宮本はポジショニングがよく、左サイドの三都主は素晴らしいオーバーラップで攻撃に貢献していた。
ボールが中盤を経由しているとき、特にクリエーターの中田英と中村の足元に納まっているときは、さほど問題はないように感じられた。最大の問題点は、攻めているときである。ロベルト・コバチやシムニッチら頑強で経験豊かなディフェンス陣、あるいはマークに付いたミッドフィールダーを前にしたときに、その課題は顕著になった。
日本の弱点はフォワードの決定力、効果的な位置取りの欠如にある。フィジカルでは相手にかなわないが、ほとんどの選手が高度なテクニックを持っている。であれば、その長所を生かすことができるグラウンドレベルで、もっと冒険をしなければならない。
クロアチアの方は、ボールポゼッションは多くはなかったが、3、4度決定的な場面を作っていた。クラスニッチというよりは、プルショ、あるいは才能溢れるクラニチャルがそのシーンを演出。特にクラニチャルは日本の前線にプレッシャーをかけ、右のスルナからのクロスに中央で飛び込むプレーが効果的だった。日本の選手は彼をつかまえることができていなかった。これは、日本がお手本にすべきものだろう。
■決勝トーナメント進出は厳しいが……
GK川口のパフォーマンスの素晴らしさは驚きに値する(前半、加地からのバックパスが足元で跳ね、もう少しでゴールになりそうだった注意散漫なプレーは致命的なミスだったが)。PKを止めた場面だけでなく、数回クロアチアの強力なフォワードのシュートをセーブするなど大活躍を見せた。
ミッドフィールダーは、両チームともに互角だったといえるだろう。ボール奪取については、福西と小笠原がとても機能していた。ただし、もう少し相手をコントロールして、ピッチで優位に立つ必要があっただろう。フィールドの4分の3においては日本がいいサッカーをしていたが、あとは最大の欠点――フィニッシュだけだ。
従って、日本が改善すべき点は特定の場所にある。相手陣内ではフォワードがもっとバイタルエリアに顔を出して、力を発揮しなければならない。もう1つは、ミッドフィールダーのボール奪取だ。中田英と中村のクリエーティビティーとシンプルなプレー、センターバックの視野の広さ、三都主の爆発力、GK川口の安定したプレーは日本の強みであるから、それは今後も生かすべきだろう。
グループリーグ第3戦で、日本がブラジルと対戦しなければならないことを考えると、決勝トーナメント進出は厳しいといわざるを得ない。ブラジルが圧倒的にボールを支配するだろうが、進化した現代サッカーではそれだけが重要なわけではない。この日、ニュルンベルクでの日本のように、完全なボールポゼッションが必ずしも勝利につながるとは限らないのだから。
<了>
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky 1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして、マドリーの日刊紙『エル・ムンド』やバルセロナのサッカー週刊誌『ドン・バロン』、『FIFAマガジン』、日本の『Number』や『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿している。携帯版スポーツナビでも連載中
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