sportsnavi.com
ジャンルタブ
  トップページ > サッカー > その他
Topics Column トピックスコラム

メニュー
コラムトップ
著者一覧
サッカー
野球
格闘技
モータースポーツ
ラグビー
ゴルフ
バスケットボール
テニス
その他




sportsnavi スポーツナビ



日本サッカーの論点
『季刊 サッカー批評』半田雄一編集長インタビュー(5)

2004年3月26日


3月10日発売の『サッカー批評』(双葉社)第22号の表紙
●●3月10日に発売された、季刊『サッカー批評』最新第22号「日本サッカーの論点」について、編集長の半田雄一さんにお話を伺う、その後編。今回はいよいよ、半田編集長辞任の真相と、リニューアル後の『サッカー批評』についての核心に迫る。
 かねてより『サッカー批評』の大幅なリニューアルを公言してきた半田編集長。それ以前にも、雑誌としての新たな方向性を探ってみたり、小規模なリニューアルを図ったりしてきたのだが、そこで導き出された編集長の結論は、編集体制を含めての刷新の必要性であった。そこで今回は、今号のコンテンツから離れて、読者の皆さんが最も気になるであろう『サッカー批評』のこれまでと今後について、半田編集長に語っていただいた●●


(取材:3月10日 インタビュアー:宇都宮徹壱)


■「サッカーをどう書き、どう編み、どう伝えるか」


――巻末の「サッカーをどう書き、どう編み、どう伝えるか」という、川端康生さんの司会による半田さん、後藤健生さんの座談会があります。半田さんの写真が真ん中にどーんとあって、ちょっとびっくりしました(笑)

半田 こんなにスペースを割くべきルックスではないのは、本人もちゃんと分かっていますよ。それに、僕はあくまでも仕事師であって、スポーツナビ以外ではこれまで黒子に徹してきたわけですから、これは、川端さんとデザイナーの寺井恵司さんによる陰謀にほかならない。最後の最後にやられちゃった(笑)。

 まあ、宇都宮さんは以前からご存じだったように、今号で僕は編集長を降りることが決まっていたわけです。付け加えれば、今まで顔写真付きでスポーツナビでだけインタビューを掲載していただいたのは、あくまでもマニアックな方々へのプロモーションの一環という位置づけでした。

 さて……、そもそも編集サイドとしては、しばらく前から抜本的なリニューアルの必要性を切実に感じていたんです――ワールドカップの年の12月の号でも、ページ数を増やして書き手を入れ替えるなどの軽いリニューアルを行っています。それにともなって価格も上がりました。しかし、それ以上のリニューアル、編集体制を含めての刷新の必要性を、あの時点で強く感じていたんです。

――リニューアルの必要性は、半田さんの方から版元である双葉社へリクエストされていたわけですね?

半田 そうです。2003年は悩みまくっていました。版元からは「もうちょっと待ってくれ。このまま一年間維持してほしい」ということだったので、今回とその前の号では、僕はリニューアルに向けてのつなぎに徹していたという部分がありました。モチベーションを下げずに、雑誌としての価値をキープするために、これまでの築き上げてきた財産の良質な部分を紙面で全面展開しよう、という方法を取りました。

 つなぎの仕事をしながら、これまでを総括するようなページも作りました。特集テーマに合っていないからしばらくは原稿を頼んでいないけれど、質の高い仕事を続けていらっしゃる書き手の方々への原稿依頼がそれです。そんなときに、川端さんから「後藤さんとの話を収録させてください」というお話があって、「そろそろリニューアルに向けてご挨拶もしなければ」と思っていたところだしということで、今回の対談掲載となったわけです。

――それにしても、創刊から丸6年ですか。半田さんが編集長になったのは、おいくつの時でしたか?

半田 えっとですね、創刊準備を始めたのは38歳だったと思います。まだ、プレーヤーとしても現役でした。宇都宮さんも今年で38歳だとか(笑)。

――30代で新しい雑誌を立ち上げることって、大変ではありませんでしたか?

半田 大変さなんか感じているひまはないですよ。確かに体力勝負のところはあったけれども、自分の好きなサッカーの雑誌を、好きなように作ることができる楽しさのほうが勝っていますから。そういうことをフリーランスの編集者ができることって、光栄でしたし、なかなかそんなチャンスには恵まれないものです。もう、突っ走りましたよね。

 それに、編集者って生き物は、基本的な編集スキルは30歳くらいでほぼ身につけているものなんですよ。38歳という年齢にもなれば腹芸みたいなものというか、自分の気に入らないページがあっても、カリカリはしない(笑)。無理なことは無理として割り切って、できる部分に力を注げばいい。60点ぐらいだなと感じる企画が並んでいても、一本なり二本なり80点のページがあれば、ニヤッとできるんです。
 若いころは、うまくいかない企画をなんとかしようと、時間と体力を割きすぎて、全体にまで悪影響が及んでいたものでした。

――ともあれ98年に『サッカー批評』を立ち上げて、これほど続くとはその時考えていましたか?

半田 その時思っていたのは、ひとつの雑誌が新しいコンセプトで登場して、成功したとしても、それは大体5年くらい役割を終えるのだろうと。それ以前、レースの雑誌を2冊やっていましたが、最初のは5年やって休刊になりましたし、もうひとつは10年ぐらい続いたんですが、僕は5年くらいで抜けているんですね。

――ひとつの雑誌の旬の時代というのが、やはり5年くらいなのでしょうか。それともモチベーションを維持できるのが、それくらいなんでしょうか

半田 モチベーションではなく、旬の部分ですね。ひとつのコンセプトが持続するのが、大体5年くらい。時代の方が移り変わってしまう。編集長が変わる必然はないと思うんですが、内容は時代に即して変わっていかなければならないと思います。別に根拠のある数字ではないですが、体験的に大体それくらいという見当はありました。

――当時はここまで読者のレベルが上がってくるとは、想像できましたか?

半田 ここまでサッカーが「普通のもの」になるとは、正直思っていなかったですね。それはやはり、2002年のインパクトが相当にすごかったのだと思います。例えばワールドカップの試合をTVで5試合くらい見たと。それをベースに2003年、Jリーグや日本代表の試合を1年間見続けたら、その人のサッカーへの理解度はすごく深まるでしょう。そういう質の変化だと思います。


■「後藤さんからは何も盗めませんでした(笑)」


――書き手の顔ぶれもずい分変わりましたよね。6年前は僕自身、一読者でしかなかったわけですし。読み手から書き手へという流れが、多少はあったと思いますが

半田 それは増えてきているでしょう。でも、それで飯が食えているかというと……。

――それはまた、別の問題でしょう(笑)

半田 まあ、そのあたりも含めてこれから変わっていくんでしょうね。この6年付き合ってきて、このライターはこういうふうに変化していったんだなあと僕なりに感じていることはあります。もちろん読者の側からすれば、よほど熱狂的な方でないかぎり認識できないし、する必要もないわけですけれど。お読みいただいて、その場ごとに評価いただければ、それが間接的に書き手に影響を与えることになりますからね。

――その意味で、最も付き合いの長い後藤さんは、どういう変化がありましたか?

半田 それが、いまだに成長を続けているんですよ、あの年齢になっても。嫌な人ですねえ(笑)。まじめに言うと、ワールドカップ開催へのかかわり、そして『日本サッカー史 代表編』を上梓したことで、すごく書き手として安定してきたなという印象が強いです。2001年まではカリカリした部分というか、感情が生で顔を出す部分もあると感じていたのですが、今では本当に言いたいことは完全に咀嚼(そしゃく)して、加工し終わってからソフトに出してくる。逆に、強く主張したいものではない感情は、ポンッと生のまま投げ打ってくる。成長ではなく、老練になったのかしら(笑)。

――後藤さんの皮肉も、かなり洗練されてきているように思いますが(笑)。逆に半田さんご自身が後藤さんから受けた影響という面では、いかがですか?

半田 うーん、受け止め切れなかったというべきかな。何度も一緒に海外取材に行ってきたわけですが、僕はどんどん後藤さんに無理難題をふっかけ続けた。後藤さんはそれを受け止めてくれて、どんどん太っていった。というのは、後藤さんがただゲームを観戦取材するのではなく、クラブそのものを取材して歩くというのは、ほとんど『サッカー批評』での仕事が初めてだったようなんです。そのために、こっちはてんてこ舞いになって段取りを組んだりしていたわけですが、それに対して後藤さんはきちんと原稿でこたえてくれた。

 でも僕は、後藤さんが20代から培ってきた世界観とか、さまざまなサッカー旅行のノウハウといったものに、感心しているだけで、自分のものにはできなかった。やはり、後藤健生のサッカーライターとしてのオリジナリティーというのは、本当にオリジナルなんですよ。仕事じゃないのに、20年以上も世界中でサッカーを取材し続けてきた人ですから。よく言えば、孤高の存在。悪く言えば、天然なんです(笑)。そう簡単には盗めるものではない。

――やっぱり年季が違いますよね(笑)

<続く>



このページのトップへ



Copyright (c) 2012 Y's Sports Inc. All Rights Reserved.


関連リンク

Web版サッカー批評INDEX

日本代表特集
ジーコ会見全文、コラムなど

Jリーグ特集
J1・J2データ、コラム

欧州サッカー
7リーグ完全網羅!

海外日本人選手
中田、稲本、中村…最新情報

ヨーロッパ選手権
ポルトガルで開催される欧州選手権情報、コラム