サッカー 野球 格闘技 モータースポーツ ラグビー ゴルフ バスケット テニス その他
sportsnavi.com
ジャンルタブ
  トップページ > サッカー > Jリーグ > コラムトップ > コラム
Jリーグ2007 Yahoo!スポーツ

メニュー
コラムトップ
著者一覧
サッカー
野球
格闘技
モータースポーツ
ラグビー
ゴルフ
バスケットボール
テニス
その他




sportsnavi 前田敏勝



川崎フロンターレの「必昇」は叶うか?


柏など多数のチームを渡り歩いてきたベンチーニョ。川崎をJ1昇格に導かせることができるか【共同】
■『等々力満員大作戦』


 第35節ではホームでアルビレックス新潟に1−2と惜敗し、その次のアウエーでのモンテディオ山形戦には1−1と引き分け。勝ち点を落とせない4位の川崎フロンターレが、新潟、セレッソ大阪(以下、C大阪)、大分トリニータから勝ち点差9をつけられてしまった。残り9試合となり、川崎が自力でJ1昇格への可能性を導き出すには、もう勝ち続けるしかないという厳しい状況になっている。

 そして、10月13日。ホームの等々力競技場にC大阪を迎えての大一番。相手は日本代表の森島寛晃、西澤明訓ら多くのタレントを抱え、今季のJ2ではダントツの優勝候補といわれた強豪。川崎のフロントは、この試合がホームで山場と見て、『等々力満員大作戦』を決行。平均観客数が5000人にも満たない状況を改善すべく、チームカラーの青いビブスチケットを1万枚限定(1着1000円)で売り出したり(前売りのみで、見事に完売!)、小中学生を無料にするなど、あの手この手でスタジアムを盛り上げようと奮闘。天候にも恵まれ、努力の甲斐(かい)もあり、クラブ史上最高の2万405人の観客を集めることができた。しかも、アウエー側ゴール裏スタンドの一角を除けば、ほとんどが青色。この前の新潟戦では、アウエーである新潟のサポーターのほうが、数も迫力も上回っていたが、今回はバックアップも万全。あとは現場の選手たちが、その声援にこたえるだけとなった。

 さらに川崎にとっては、頼もしい選手が戻ってきた。それはチームの中心選手、FWのベンチーニョだ。右足から放たれるキックの威力と精度は抜群で、キッカーを担当するセットプレーからの得点は、川崎の必勝パターンだった。しかし、ここ4試合を、ヒザの負傷で欠場。代わりに入ったMFマルキーニョも、要所で得点に絡むプレーをしていたものの、相手に対する威圧感や存在感では、ベンチーニョを上回ることはできなかった。山形戦には出られるかどうかというくらいコンディションも回復させ、「(ベンチーニョの)ヒザは完全ではない」(石崎信弘監督)ものの、この大事な試合に間に合わせることができた。

 MF大久保嘉人や根本裕一といった、チーム内でもコンスタントに結果を出せた選手をアジア大会のために欠いたC大阪に対して、FWマーロン、MFアレックスというブラジルトライアングルを中心に、川崎はベストメンバーを組むことができたのである。


■修羅場をくぐり抜けた男、ベンチーニョが魅せる


 試合は、両チームとも守備に重点を置き、個人技やカウンターで攻めるシステムを取るために、序盤に関してはアグレッシブな内容ではなかった。無駄な警告を怖がってか、局面でのプレーにも殺伐とした激しさは感じられない。2万人以上の観客も、一部の熱狂的なサポーターの声は聞こえるものの、それ以外は試合をじっと見ているだけ。新潟戦に比べれば、ワンプレーごとにどよめくシーンも少なく、『死闘』を期待し過ぎたためか、物足りなさを感じた。記者席前の通路で、立ち見を止めるよう警告した係員と、それに反抗する観客がもめている様子に気を取られるほど、けん怠感があった。

 しかし、そのけだるさを一蹴したのは、やはりベンチーニョだった。前半37分、右サイドで奪ったCK。リーグ戦の中盤にもよく見られたベンチーニョの正確なキックで、ボールがゴール前に送られる。そこに、後ろから走り込んできたフリーのDF箕輪義信が、ヘディングで合わせ、川崎が得意のパターンであっさりと先制点をゲット。Jリーグでヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)、柏レイソル、大分トリニータとわたり歩き、今季から川崎にやってきたベンチーニョ。数々の修羅場を経験した実績が伊達じゃないところを、この大舞台でも見せてくれた。

 C大阪は、失点後すぐにベンチスタートだったFW西澤明訓を投入。後半開始からはMF尹昌煥、後半19分にはMF原信生をピッチに送り込み、果敢にゴール前へ攻め込む。その効果はすぐに現れ、尹のゲームメーク、西澤の強引な突破、前半は孤軍奮闘していた森島のユーティリティーな動きが、次第にC大阪ペースを作り出していった。

 川崎にも得点後、ゴールチャンスは幾度か巡ってきた。しかし、今季を通じて言われてきた決定力のなさが露呈。さらには、レフェリングの不安定さもあり、後半が進むにつれ、ベンチーニョやアレックスらも集中を欠き、プレーにも粗さが目立つようになる。


■ネバーギブアップ精神の結実


 そして後半28分、C大阪の原にミドルシュートを決められて同点に追いつかれた。これまでの川崎ならば、ここでシュンとしてしまい、新潟戦のように逆転負けを喫していただろう。しかし、2万人の後押しは、選手たちに勇気を与えた。また、カウンターで森島に決定機を作られるも、GK浦上の「最後まで粘り強くあきらめない」というプレッシャーにより、枠を外してもらえたことも、川崎には幸いした。

 そのネバー・ギブアップ精神は、試合終了間際に結実する。失点後にピッチに入ってきたFW我那覇和樹が、右サイドからチャンスを作る。ゴール前で待っていたFW黄川田賢司にパスすると、黄川田は激しいチェックを受けながらもキープしてシュート。これがバーを直撃し、そのこぼれ球に反応したマーロンがヘディングシュートしてゴール。ベンチーニョがゲームメークを担当したために、役割がきっちりとしたマーロンの価値あるシュートは、スタジアムを熱狂の渦に巻き込んだ。

 そして、タイムアップ。今回は川崎の選手がガッツポーズをしながら倒れ込んだ。直接対決での価値ある勝利。まだまだ不安はつきまとい、ここにきても決定力不足といわれる課題を抱え続けている。しかも、カウンター中心のリアクションサッカーは、ブラジルトライアングルの調子と個人技に左右されてしまう。それでも、自分たちの形と、あきらめない執念でもぎ取った2点は、選手たちに大きな自信を与えたはず。これで2位とは勝ち点差6。ベンチーニョの復帰で総合力もアップした川崎は、チームの合言葉でもあるJ1「必昇」を達成すべく、最後の望みを残り7試合にかける。

<この項、了>

前田敏勝/Toshikatsu Maeda
1975年9月20日生まれ、兵庫県出身。高校時代にはクラブ活動を中心にサッカー三昧の生活を送る。日本大学芸術学部放送学科を卒業後、1年半のブランクを経てサッカー専門誌の編集記者になる。2002年からはフリーライターとして活動中。現在はJ2を中心にサッカーを取材。『ストライカー』(学研)でJ2コーナーなどに寄稿している。






Copyright (c) 2012 Y's Sports Inc. All Rights Reserved.


関連リンク

■Jリーグ
J1、J2公式戦を大速報!

■海外日本人選手特集
海外で活躍する日本人選手情報

■欧州サッカー
スポナビ発の欧州サッカー情報

■日本代表特集
トルシエ会見アーカイブ、コラムなど

■ワールドカップ
ワールドカップ情報。各大陸のコラム

■Web版サッカー批評
著者インタビュー、書評など

■Jリーググッズ(JSV)
ドガラン・ストイコビッチ 直筆サイン入りジャージー(名古屋グランパス)
ピクシーサイン入りシャツ
日本サッカー界に偉大な足跡を残していった妖精‘ピクシー’。日本を去る前に、300枚の直筆サインジャージーを残していってくれました。その1枚1枚に、直筆のシリアルナンバーが丁寧に書かれています。