レッズの今後に見いだした大いなる希望 (2/2)
ライター島崎のレッズの楽しみ方
■陽介が語るナオキとウメさん
だいぶ話が逸れました。本筋に戻しましょう。
今回のオーストリアキャンプでは負傷のために長らくリハビリを強いられ、ようやく本格復帰できた選手たちもいました。それはナオキ(山田直輝)とウメさん(梅崎司)の2人です。今回は彼らのプレーにも注目していたのですが、2人とも復帰直後とは思えないコンディションの良さで、レギュラー奪取に向けて大いにアピールをしていました。
この2人の復帰を心待ちにしていた選手のひとりが陽介(柏木陽介)です。今季サンフレッチェ広島からレッズへ移籍加入した陽介は期待感を隠そうとしません。
「直輝とは、1月の日本代表のイエメン遠征で初めて会って、直輝が負傷する(腓骨骨折で交代)までの17分の間にすべてを分かり合えた」(陽介)
カッチョイイ。また陽介は、ウメさんについてはこう話します。
「ウメは『おれにはインテリジェンスがない』なんて自嘲(じちょう)するけど、おれから見れば、常に縦に速く走る頼もしい存在。特におれや直輝のようなパサーは、ウメのような選手とプレーすると生きる。その意味では、おれとウメは永遠の恋人っしょ」
いやはや、べた褒めです。でも、わたしも陽介の意見に同調します。この若き選手たちがレッズの輝ける未来を築き上げてくれるはず。期待せずにはいられませんよね。そこでまずはナオキに接触。
わたし「陽介が、君のことを待っていたってよ」
ナオキ「どこでですか?」
今じゃなーい! サッカーの話です。
ナオキ「なーんだ(笑)。でも僕、コンディションはまだまだなんですよね。キャンプも初日から疲れちゃったし、腰も痛いし」
オッサンか! でも、このマイペースな所作がナオキの特長でもあるんですよね。いわゆる『動じない男』。
ちなみにナオキはプレー中にミスをすると、思いを声に出すくせがあります。
「あー、もう!」
「なんでなの?」
「もう嫌だー」
などなど。その都度、周囲の味方からは「カワイイ」とちゃかされ、本人はふてくされています。その言葉が減ってきて、頭の中とプレーがシンクロしたとき、ナオキの本当の意味での復活劇が幕を開けるのかもしれません。
■ウメさんと固い約束を交わしました
さて、それでは、今度はウメさんに接触してみましょうかね。実はレッズ、南アフリカで日本代表がパラグアイ代表との決勝トーナメント1回戦を戦っている最中に、オーストリアでクロアチアのクラブチームと練習試合をしていたんです。その試合が終わった直後にウメさんと話しました。
わたし「だいぶ調子が上がっているようだね。ひざのケガの影響もなさそうに見えたよ」
ウメさん「はい。僕も少し手応えを得られましたよ。こんなにすぐに動けるとは思わなかったですから」
わたし「このオーストリアから、ウメさんのサッカー人生の新たなスタートだね。日本代表も負けちゃったことだし(日本代表の試合はレッズの試合中にPK戦で決着していました)、すべてが始まりのときなのかもしれないね」
ウメさん「日本負けちゃったんですか? 全然知らなかった。試合中は自分のプレーに集中していたから。でも今回の日本代表はいいプレーを見せていましたよね。本田(圭祐)君もしっかり仕事していたし。でも本田君と僕って同年代なんですよね。だから僕も負けていられない。また勝負しなきゃね」
わたし「4年後のブラジルを目指すってことかな?」
ウメさん「ブラジルはマスト(絶対)ですよ。そこまでの道のりは長いだろうけど、そこを目指すことに価値があると僕は思っている。そのためにリハビリもこなしてきたし、今は『またサッカーをしよう』って気持ちを奮い立たせているんですからね」
わたし「じゃあ、ウメさんがもし14年のブラジル大会に出場する日本代表メンバーに入ったら、僕もその大会を取材するって約束するよ。ブラジルで会おうね」
ウメさん「それ、絶対約束ですよ。僕のモチベ(モチベーション)にしますからね!」
昨年、ウメさんは椎間板ヘルニアで約5カ月のリハビリ、そして復帰してわずか2カ月後に今度は右ひざの靱帯(じんたい)損傷という大ケガを負いました。彼は手術後の病院で、「なんでおればっかりこんな試練を受けるの?」と、何度も泣いたそうです。でも今のウメさんには、その苦難を乗り越えて得た強さを感じます。なんか、ヨーロッパの片隅で、わたしの方が少し涙が出そうになっちゃいました。
その時、南アフリカでは敗退直後の日本代表・長谷部誠が「日本の選手たちの大半はJリーグでプレーをしている。だから皆さん、これからはJリーグの試合にもぜひ足を運んでください!」って言っていたらしいですね。後付けですが、この時、南アフリカとオーストリアは確かにシンクロしていました。そしてレッズの今後に、大いなる希望を見いだしもしたのです。
うん。オーストリアでの出来事を思い出しました。だから、ガンバ戦の敗戦にずっと落ち込んでいてはいけませんよね。建設的に前向きに、今後のレッズを皆さんと共に後押ししていきましょう!
はい。今回のコラムはこのへんで終了します。それでは皆さん、また近いうちにこのスポーツナビでお会いしましょう! 今回は2カ月くらい更新期間が空いたから、今度はすぐに更新しちゃおうかなぁ。あっ、これ独り言ですから真に受けないでくださいね。それでは、また!
<了>
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島崎英純
1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。『月刊浦和レッズマガジン』(朝日新聞出版)編集長。近著に『浦和再生』(講談社刊)。有料ウェブマガジン『浦研プラス』では、浦和OBの福田正博氏とともにコラムを執筆中。また、個人メールマガジン『浦研』(http://shimazaki-hidezumi.jp/mailmagazine/pc/)も配信中
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