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慎武宏
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『祖国と母国とフットボール ザイニチ・サッカー・アイデンティティ』
慎武宏 著(ランダムハウス講談社)

2010年4月4日(日)
『祖国と母国とフットボール ザイニチ・サッカー・アイデンティティ』慎武宏著 定価:1,890(税込)/ランダムハウス講談社 ISBN:978-4270005651
『祖国と母国とフットボール ザイニチ・サッカー・アイデンティティ』慎武宏著 定価:1,890(税込)/ランダムハウス講談社 ISBN:978-4270005651【ランダムハウス講談社】

 日本で生まれ、日本で育ち、おそらくこれからも日本で生きていく――しかし国籍は日本ではない。
 現在、地方参政権や高校授業料無償化問題など、在日コリアンたちは、難しい立場に立たされている。だが、一方で3世(または4世)と言われる世代は、それまでのしがらみを断ち切って、新しい考え方を持ち始めている。それは、サッカーの世界にも表れ始めた。彼らは“次の一歩”の先導者になるかもしれない。

 44年ぶりにワールドカップ(W杯)出場を決めた北朝鮮代表のメンバーにはふたりの在日選手がいた。鄭大世(チョン・テセ)と安英学(アン・ヨンハッ)である。しかも、ふたりともJリーガーだ。鄭大世は北朝鮮代表チームになじめず、孤立し、祖国代表に選ばれたにもかかわらず心を閉ざしてしまう。安英学はKリーグでもプレーしており、日・韓・朝の3カ国でプレーした唯一の選手だ。安は意外な北朝鮮代表選手たちの素顔を語った。

 在日コリアンの4分の1が暮らす大阪で生まれた梁勇基(リャン・ヨンギ)、岡山の倉敷で生まれ早くから頭角を現した李漢宰(リ・ハンジェ)。ともに日本の公式戦に朝鮮高校の出場が許可された最初の世代だ。
 梁はJ2の仙台で風習の違いに苦しむも、仙台の人々の心に触れ、そこに自分の居場所を見つける。そして在日初のJリーグのキャプテンを任される。
 李はジーコジャパンがW杯出場を決めた北朝鮮との“無観客試合”のメンバーだった。ピッチで揉み合いになり、荒れる両チーム選手の間に入って仲裁したのが彼だった。

「北朝鮮」籍から、国交のある「韓国」籍に変える者もいる。朴康造(パク・カンジョ)と鄭容臺(チョン・ヨンデ)がそうだ。朴は在日選手として初めて韓国代表としてピッチに立った。鄭は周囲の反対の声もあるなかで国籍変更し、Kリーグでプレーした。タフさと謙虚さを身につけた鄭は、後に続く者のために帰国する。

 そして、記憶にも新しい、北京五輪予選で大抜てきされ、本大会出場の立役者になった李忠成(りただなり)は、日本国籍を取得し、日本代表としてプレーすることを選択する。

 さまざまな状況を乗り越えて、グラウンドに立っている彼らの本音を、同じく在日のスポーツライターである慎武宏(シン・ムグァン)が鋭く書き下ろす。単なるサッカーや在日社会の話ではなく、彼らを取り囲む日本の姿もそこから浮き彫りになる。そして、日本人も彼らの生き方から多くのことに気づかされていく。

<目次>

序章 祖国と母国の対決を見つめた人々
第1章 オレのザイニチサッカーアイデンティティ─―鄭大世
第2章 在日サッカーの源流をたどる旅
第3章 自分の居場所を求めて─―梁勇基&李漢宰
第4章 境界線に生きる運命と歓び─―安英学
第5章 国籍と夢の狭間で―─朴康造&鄭容臺
第6章 サッカーに生きる─―夢を追いかける人々
第7章 祖国と母国とサッカーと―─李忠成
終章 ある在日コリアンの生涯―─あとがきに代えて

慎武宏

1971年東京都生まれ。 在日コリアン3世。幼い頃から民族学校で学び、大学卒業と同時にスポーツライターとして活動を始める。各種サッカー専門誌や総合スポーツ誌で主に韓国サッカーに関する記事を取材寄稿中。著書に『WITH KOREA ! W杯成功への道』、共著に『LIBERO ホン・ミョンボ自伝』があり、『ヒディンク・コリアの真実』で2002年ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。監訳書に『信じるチカラ』(朴智星著)などがある

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