コラム
貞永晃二
スポーツナビ

香川真司とともに進化するC大阪 (1/2)
若きエースが“3度目の正直”に挑む

2009年5月18日(月)
C大阪のエースへと成長した香川。現在10ゴールでJ2得点ランキングのトップに立つ
C大阪のエースへと成長した香川。現在10ゴールでJ2得点ランキングのトップに立つ【Photo:杉本哲大/アフロスポーツ】

 3チームが新たに加入し18チームによる3回戦(全51節)で行われている今季のJ2。開幕からはや2カ月、5月17日に第15節を終え、首位の湘南ベルマーレと同勝ち点で2位につけているのがセレッソ大阪だ。日本代表の常連となった香川真司が引っ張る若いチームは、果たしてJ1昇格を勝ち取ることができるのだろうか。

■J2の2年間で磨かれた才能

 C大阪はこれまで2年連続でJ1昇格争いに敗れている。まず5位に終わった2007年は主力の多くがチームを離れ、都並敏史監督(当時)は若手中心のチームで昇格を狙うというハードルの高い目標に挑んだ。だが、開幕3連敗と出遅れ、勝ち切れない試合が続くと、監督の座はレヴィー・クルピに委ねられた。チームは終盤かなりの追い込みを見せたものの昇格には至らなかった。
 そんな中、第7節のサガン鳥栖戦でデビューしたのが背番号26、当時18歳になったばかりの香川真司だった。前年のルーキーイヤーは2試合にベンチ入りだけで試合出場はかなわなかったが、2年目はチャンスを逃さなかった。得意のドリブルを武器に少しずつ出場時間を延ばし、飛び級でのU−20ワールドカップ出場という貴重な経験で自信をつけ、しっかりレギュラーを確保した。

 08年、捲土(けんど)重来を期して留任したクルピ監督だったが、またも開幕ダッシュに失敗。なんとか立て直し、一時は7連勝を含む9戦無敗で首位サンフレッチェ広島に勝ち点1差と迫った。だが、第2クールに入ると状況は一変。負傷者続出が響き2度の3連敗など急失速し、第2クール終了時には順位を6位へと下げてしまう。
 ここでチームは補強を図り、その効果は第3クールに表れる。特に終盤戦、最終ラインを4バックから3バックに変え、前線の1トップに新加入のカイオを置き、2シャドーを香川と期限付き移籍の乾貴士で組む新システムを採用すると、安定した守備からの鋭いカウンターを繰り出し、最後は4連勝でシーズンを締めくくった。また、C大阪の顔である森島寛晃が引退を発表すると、「モリシのためにもJ1昇格を」という思いでチームは一丸となった。
 それでも最終的には3位のベガルタ仙台に勝ち点1及ばず、4位に終わった。

 再び夢破れたチームにあっても、香川は第3クールだけで12ゴールを決めるなど飛躍的な成長を遂げた。活躍の舞台はC大阪だけにとどまらず、U−19代表、五輪代表、そしてA代表へと広がり、昨年10月には代表初ゴール(UAE戦)もマークしている。
 しかしその一方で、C大阪は香川を欠いた試合を3勝4敗と負け越しており、香川への依存度の高さを痛感させられるシーズンでもあった。

■フィジカル強化と的確な補強で昇格に手応え

 迎えた09年、C大阪は移籍がうわさされた香川が残留し、乾の完全移籍も決まるなど戦力低下を回避した。そしてC大阪を率いる最近の監督としては異例(失礼!)の長期政権となったクルピ監督は、昨季第2クール急失速の原因が負傷者続出であった反省から、フィジカルコーチにホドウホを起用し、始動から厳しいトレーニングを課した。
 宮崎キャンプでは「(昨季は)戦っていて90分走れなかったというのが一番大きい。今年は90分間戦えるようにチーム作りをしていかなければ」と香川もフィジカル面での課題を挙げていた。そのため、キャンプで行った練習試合は日本文理大学との1試合だけ。いかに「鍛える」ことが目的であったかを印象付けている。

 C大阪にとって今季初めての90分フルゲームはリーグ開幕2週間前のこと。「モリシメモリアルマッチ」と銘打ったプレシーズンマッチで、ガンバ大阪との久々の“大阪ダービー”だった。この試合でC大阪はベストメンバーのアジア王者を相手に、今季目指すスタイルを押し出して戦い、1−0の勝利を収めた。
「日本のトップの選手、チームと戦えてうれしい。ガンバがどの程度までできあがっていたのかは分からないけど、勝ったことは自信になる」と香川が話したように、G大阪がチームの始動を遅らせて昨季の疲労回復を図っていたとはいえ、この勝利は大きな自信となった。C大阪はJ1昇格へ確かな手応えをつかんだ。

 昨季の反省は補強面にも表れている。外国人選手ではジェルマーノに代わるボランチとして、より攻守のバランスの取れる経験豊かなマルチネスを獲得し、ディフェンスラインにはベテランのセンターバック、チアゴが加わった。さらに、昨季は練習生だった韓国人の長身GKキム・ジンヒョンと契約。選手層の薄さを露呈した左サイドには鹿島アントラーズから石神直哉を補強することも忘れなかった。新加入の4人は開幕から見事にC大阪のスタイルにフィットしていた。

 <続く>


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撮影・編集 : スポーツナビ

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