それでもFC東京は優勝を恐れない (1/3)
FC東京 城福浩監督インタビュー
FC東京はアルビレックス新潟と浦和レッズに敗れ、開幕2連敗と思わぬスタートを切った。結果だけでなく、内容にも大きな不満が残る。もし今季、FC東京が優勝を果たせず、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)圏内にも入れずという結果に終われば、ファンはガッカリするだろう。それでも姿勢に揺らぎがなく、アグレッシブな気構えを貫くのなら、少なくとも下を向かずに済むはずだ。
初めて自転車をこげるようになるとき、人は視線を少し先の目標に置いていないだろうか? 優勝するつもりで常にギリギリの戦いをしなければ、3位以内に入ることは難しい。どれだけ苦しくとも、FC東京は上を見続ける。浦和に完敗した2日前に収録されたインタビューからは、その気構えがうかがい知れる。負けるたびに姿勢をグラつかせていたのでは、いつまで経ってもクラブの土台を築けない。城福浩監督の語るビジョンに、行き着く先が潜んでいる。
■開幕に懸ける意気込みが反作用として表れた
──今季開幕の新潟戦(3月7日)、1−4の大敗を喫しました。この結果をどう受け止めますか?
うちの勝ち試合だったとは言いません。しかし内容の検証は、われわれがやれたことの確認、なぜああいうゲーム展開になったのか、その分析から始めるべきであって、1−4という点差から始めるべきではないと思います。
──試合内容の検証は?
点の奪われ方とタイミングが問題でした。(前半終了間際と同点に追いついた直後に)CK2本で点を奪われています。1−2のままいければよかったのですが、バックパスのミスで3点目を献上してしまった。失点の仕方と時間帯が、それ以上精神的に踏ん張れなくなるようなものだったと思います。
──前半終了間際の失点はよくないが、そこまでの44分間はゲームを支配できていました。そうプラスに評価することもできます。失点については単純なミスがきっかけですが、これまでも課題だった精神的な脆さを露呈したとも言えます。ほかにもGK塩田仁史やDF佐原秀樹が欠場するなど、いろいろな要因が重なっている気がします
そう思います。開幕に懸ける意気込みが反作用として出た試合でもあります。点を奪われたショックが通常の試合よりも大きかったことについては、選手たちを100%責めることはできません。しかし1−2のあと踏ん張れずに1−3になったとしても、1−4にしてはいけない。精神的な脆さを昨年から引きずっていたと言われれば、それはそうかもしれません。本当に強いチームになっていくためには、負けたとしても2−3にしなくちゃいけないんです。
バランスを崩しちゃったんですよ。チームのバランスを崩したということは、心のバランスを崩しているということ。置かれた状況下で冷静な判断ができる選手を増やしていく必要があります。
■判断と技術を磨くことがチームを強くする近道
──鹿島アントラーズや浦和など上位チームに比べると、まだゲーム運びにつたない部分があるような気もします
ゲーム運びという言葉は、すごく抽象的だと思います。かみ砕いていくと、それは「判断」なんですよね。大局的な、105メートル×68メートルのピッチ全体の流れの判断ということもあるでしょうし、その局面の、瞬間の判断もあるでしょう。守備のとき、奪いにいくのか、リトリートする(自陣へ戻る)のかという判断もあれば、攻撃のときに、パスの出し手と受け手の判断もある。どこに出すのか、ドリブルするのか、それを止めるのかの判断もあるし、行くべきときか、行かない方がいいのかの判断もある。
ものすごく心拍数が上がっている状態で、周囲も動き、一瞬として同じ状況がない中で判断しないといけない。わたしの立場としては、ゲーム運びという言葉だけでは片付けてはいけないと思っています。試合運びがうまくなるということが、どういうことかをかみ砕けなければいけないんです。
──そのかみ砕いていったディテールは、外からは見えづらい部分です。城福監督が目指しているのは、判断なりテクニックを1日ごとに少しずつ磨き上げ、いつの間にかいいサッカーができるようになっている、という境地なのでは?
ミラクルレシピはどんな世界にもないと思っているので。もし近道があったとしたら、それは誰もがやっているでしょうね。毎日学び続けて、耳にタコができるほど言うこともあれば、いいこと、できたことを刷り込んでいくこともある。悔しい経験もあれば、自信になる経験もあります。
判断が素晴らしくても、技術がつたなければトラップミスでボールを取られるんですよ。判断と技術は切り離せない。その両方を磨き続けることが、チームを強くする近道だと思っています。守備に偏重すると、その試合だけの効果が出ることはある。でも1年間で見たときには、それが必ずしも近道ではないとわたしは考えています。攻撃に基軸を置いた中で、やらなければいけない守備を身につけてやっていく。これが唯一絶対の方法論だとは言いませんが、わたしの中ではチーム力が上がる方法論だと思っています。





