|
◆監督会見
|
|
|
原委員長「世界で勝負して日本を任せられる監督を連れてくる」 (1/3)
日本代表監督選考に関するブリーフィング
登壇者:
原博実(日本サッカー協会技術委員長)
大仁邦彌(日本サッカー協会副会長)
■残念ながらまだ契約することができていない
大仁 日本代表の新しい監督につきましては、これまで「もうすぐ、もうすぐ、もう少し待ってほしい」と皆さんにご心配をおかけしてきました。また、9月4日、7日には新しい日本代表のスタートと、来年のアジアカップ、2014年のワールドカップ(W杯)に向けた大変重要な試合がある中で、なかなか監督が決まらず、サポーターの皆さん、そしてメディア、スポンサーの皆さんにもご迷惑をおかけしたと思います。現在、残念ながらまだ監督が決まっておりませんが、今回、強化担当の原技術委員長が帰国したので、これまでの経緯などを説明しますので、いま一度、ご理解ください。
原 今日ヨーロッパの方から帰ってきまして、何とかいい報告ができるように、向こうで粘り強く交渉してきたんですが、残念ながらまだ契約することができていません。今、大仁副会長からありましたように、9月4日と7日の試合に何とか間に合わせるようにという努力をしてきました。それは今も続けています。帰ってきましたが、向こうにスタッフも残っていますし、1人だけでなく何人かの候補を持ちながら、今準備をしていますので、もう少し待ってもらいたいと思います。
僕の方から、ここまでずっと皆さんに答えることができず、極秘に回っていた理由、またそうなってしまった経緯を説明したいと思います。まず、皆さんご存知のように、(日本時間の)7月12日のW杯決勝まで僕は南アフリカにいて、できるだけ多くの試合を、日本代表が負けた後も見ていました。向こうにいる間に、日本代表チームに帯同して日本代表を分析して、その中で良かったところ、あるいは今後の課題をリポートとして、今後、日本のサッカーをどういうふうにするべきかということを自分なりにまとめて帰ってきて、7月15日に大仁副会長に提出しました。今後、こういう考え方で日本を強化していきたい、それに伴ってこういう監督を選びたいということで、それに基づいて人選を行ってきました。
大会の総括をある程度、言いましょうか。そんなに細かく言えるかは分かりませんが。今回の日本代表は大会前はあまりいい状態ではありませんでしたが、皆さんご存知のように、岡田(武史)監督以下、戦い方を直前に少し変えました。全員でしっかり守備をしながら、コンパクトに守る。そして本田(圭佑)を1トップに、阿部(勇樹)をアンカーにして、しっかり守りながら戦っていく。そういう中で一戦一戦力をつけて、日本のあの時点で持っている良さを本当に発揮してくれたと思います。選手全員の集中力はあったと思います。
ただ今後の課題として、もうワンランク上に行く、ベスト8に進んでいくチーム、あるいは僕がW杯決勝で見たスペイン、オランダに割って入っていくには、まずは当然、個人の技術、戦術、判断力を上げないといけないだろうと思いました。それは普段からJリーグ、あるいは海外に出ていく選手が多くなって、レベルを上げていく。そして日本のサッカーをもうワンランク上に上げていくべきだろうと考えました。今回、よくやったと本当に思います。準備も良かった、コンディションも良かった、けが人が出なかった、チームとしてのまとまりもあった。ただ、その上に行くためには、選手がもう1つ上に行かないと。
そして指導者も海外で代表監督の経験があるか、ヨーロッパや南米でJよりもよりレベルの高いクラブでの経験、実績があり、なおかつ、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグ、リベルタドーレスカップの経験がある監督。当然ですけど、日本をリスペクトしてくれて、(イビチャ・)オシムさんや岡田さんが続けてきた日本の良さを、日本人らしさを生かしてくれて、それを理解してくれる人。その上、アジアの地理的な難しさ、宗教的な難しさ、移動の長さを理解し、日本人スタッフとうまくやれること。それと、代表監督というのはハードスケジュールで、緊張感の高い仕事になるので健康な人。そういういくつかの条件を挙げました。日本のサッカーをもうワンランク上に上げてくれる監督、そんな監督を探して交渉しようという結論になりました。
■ペジェグリーニとバルベルデに会った
これは先ほど言ったように、7月15日に(リポートを)提出しました。それで「これでいけ」ということになって、まず皆さんに本当はこういうことを説明しようと思っていました。ただ、皆さんもご存知のように、監督選びは非常に動いています。小倉会長と大仁副会長に提出したリストがあって、「とりあえず、まずはこういう3人から当たります」という中で、今ならここに入る人に会えるという情報がありました。そして日本に興味があると。そこで急きょ飛ばざるを得なくなりました。それが7月22日でした。本来は説明しないといけなかったんですが、そういうことだったんで(海外に)飛びました。
南米に行きました。話せることを話します。ペジェグリーニに会いました。彼はレアル・マドリーの監督を昨シーズンまでやって、勝ち点3の差で優勝できませんでしたが、人間的にも素晴らしい人です。彼が1年で解任された。その後、オフでチリに戻っていた。ここでつかんだ情報によると、ビエルサがチリの監督を続けるかどうか、チリの会長や国民は続投を望んでいたんですが、ペジェグリーニもチリの監督をやりたかった。もし、ビエルサがどこかに行ったらチリの監督になるつもりは十分あるという、代表監督に興味があるという情報だったので、「日本で監督をしませんか」という話をしに行きました。
彼は日本のプロジェクト、考え方に興味があり、さらに日本の選手の名前を知っていましたし、年齢構成もすべて知っていました。日本に興味があるという話もしていたので、そこでいろんな話をしました。その後、彼がバカンスに行くというので、僕はそこからヨーロッパに行って、またヨーロッパで会えるという手はずをしながら、交渉を続けてきました。ただ、どうしてもレアル・マドリーでもらっていたお金は日本サッカー協会は出せないので、それは「出せません」と最初から伝えました。当然、彼もそこまでもらうつもりはないと言っていました。
そしてさっき言ったように、ヨーロッパ、スペインに行って、リストに挙がった人と食事をしながら日本のことを話したり、彼の家族構成を聞いたり、日本に来やすい環境かどうか、というふうに当たったのが、バルベルデです。(ペジェグリーニとバルベルデの)2人ともビジャレアルの監督を務めたことがあります。その時にすでに、オリンピアコスから話があると言っていました。でも代表監督にも興味があると。そうやって交渉している間に、皆さんご存知のようにオリンピアコスがチャンピオンズリーグかヨーロッパリーグの予備予選(実際にはヨーロッパリーグ)で負けてしまいました。ということで、彼はやっぱりオリンピアコスに行くという決断をしました。日本も条件面などの話をしていましたが、彼はオリンピアコスを選んだ、ということになりました。
といったように、皆さんに黙っていたのは隠れてやるというのではなく、名前がいろいろ出ると向こうにも関係してきます。極端に言うと、いろんな名前が出るとお金が上がってしまったり、(金額を)吊り上げようとしてきたり、ということも本人ではなく、代理人の方からあったりします。新聞に書かれるといろんな問題が起こることがあるので、僕自身も皆さんからのいろんな電話がありましたが出ないで、ずっと内緒でやってきました。それが現状です。
その2人はそういう事情でうまくいきませんでした。それ以外は当然、誰かがダメになれば、ランクがあるわけじゃないですけど、会える人、タイミングがいい人を見ながらやっています。今、粘り強く交渉している人の名前は家庭的な事情とかいろいろあって言えません。いろんな思いで日本に行く気持ちはあっても、いざ4年、2年でもいいですけど、日本に行くという決断をするには彼だけの意思ではなくて、家族であったり、連れていくコーチなどいろんな要素が絡んできます。最終的に、なかなか決断が遅れてしまったり、今挙げたような監督は少し待っていれば、間違いなくビッグクラブなどからオファーがある人ですから、日本のことに興味を持っていても最終的には思い切れなかったということですね。今も何人か交渉していますが、そのへんの決断を家族やコーチと相談しながら、こちらでもなるべく早くしてほしいというオーダーを出しているのが現状です。
今日の朝、向こうと連絡を取って答えが出たかを聞いたんですが、まだ返事がないと。いろんな人に迷惑をかけていると思います。ですが、今後4年間、あるいは2年間、日本のサッカーをもうワンランク上のレベルに上げてくれるであろう人と粘り強く(交渉して)、そういう人を連れてきたいという思いで今やっています。
「いつ来るんだ」と言われても、いつ来ますとは言えませんが、できるだけ早くするように。間に合わせればいいから連れて来やすい人、とはしたくない。人間的に(前出の)2人も、今交渉している人もそうですが、「こういう人だったら日本を任せられる」という人を連れてきたい。そういう思いで交渉しています。なので、本当に今日の段階ですぐに発表できないことに責任を感じていますが、いい人を連れてくるということで、ファンの方々、スポンサーの方々にも応えていけるようにと思っています。現状はそんなところです。
■原技術委員長が代行監督を務める
大仁 最後まで努力したいと思っていますが、万が一、9月4日、7日の試合に間に合わない場合には、原技術委員長と話をして、原技術委員長が代行監督を務めることになりました。
――監督選びの条件を挙げたが、日本国内にもそれに合う人はいるのでは?
原 不足ということでは決してないです。選手も世界のベスト8、ベスト4、優勝を目指して世界に出ていって戦う。指導者も世界の真っただ中で戦っている人から調整しようということです。Jリーグが戦っていないということではないです。世界のマーケットの中でも取り合いになるようなところから、まず当たってみようということです。
――国内にも優秀な指導者がいるのに、あえて難しいものにしているようだが
原 まだ決まっていないですから難しい。確かに、やってみて簡単じゃないです。でもそこに今、まずはチャレンジすることが必要だと思いますし、国内に関してはシーズン中ですから。シーズン中のこの時期に抜いてくるというのは、やはりできないと思います。今回、W杯をしっかり見て、それをしっかり分析し、その後で当たろうと思っていたので、W杯前からも世界のいろんな監督の情報を集めていました。でも、(W杯の)その後に当たりましたから、今、Jリーグでやっている監督をそこで抜いてくるということは考えていませんでした。
――次期監督には、具体的にどんなサッカーをしてもらいたいのか?
原 いろんな人と話して、日本人は規律に沿ってやろうということをしっかりやれる。ですが、皆さん共通して思っていたのは、攻撃にかかったとき、特にボールを奪ったとき(の物足りなさ)ですね。スペインとかは奪った瞬間に一番厳しいところを狙っていく。すぐにボールを下げない。奪った瞬間、前に入っていく。攻撃の3分の1のところでリスクをかけて、人を追い越していくとか突破に入っていく。個人でもいい、グループでもいいです。最後の攻撃のところでリスクをかけていく。これは監督だけが良くてもできません。さっき言ったように、個人が変わらないといけないんですが、そういうサッカーを志向していく監督、そういう経験が多い監督、そういう人にお願いしたいと思っています。
――それを実現できるのであれば、いつまでも待てるということか?
原 期限はもちろんあります。今回、間に合わせたかったけど間に合わなかった。今も9月の試合に来てもらえるように交渉しています。ただ、いつまでもというわけにはいかないので、とこかで折り合いをつけながらということになりますが、できるだけいい監督に来てもらいたいという思いに変わりはないです。
――まだ折り合いをつける次期は決まってないのか? Jリーグが終了するころか?
原 とりあえず、そんなに時間をかけないようにと思っています。そこまではいかないようにしたいと思います。




