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◆トピックス&コラム
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カタルシスなき前進 (1/2)
W杯アジア最終予選 日本代表 1−0 バーレーン代表
■日本代表は「WBCのように頑張ってほしい」?
「サッカーの日本代表も、WBCのように頑張ってほしいですね。では次のニュース」
このところ、この手の紋切型の報道を何度も耳目にして、いささか辟易(へきえき)している。もちろん私とて、WBC決勝の10回表、イチローの決勝タイムリーの瞬間には快哉(かいさい)を叫んだ日本人のひとりだ。であるからして、ワールドカップ(W杯、もちろんサッカーのです!)の歴史と偉大さを引き合いに出しながら、WBCの歴史的・制度的欠落をくさすような大人げないことをするつもりは毛頭ない。野球の素人でも十分に楽しめて、しかも閉塞感が充満していた日本社会に久々に明るい話題を提供したのだから、国民のひとりとして感謝したいくらいだ。
私が問題視しているのは、WBC優勝の余韻をバーレーン戦まで引っ張ろうとする、この奇妙な風潮である。例えば、昨年以来これで5度目の対戦となるバーレーンを韓国に例えてみたり、あるいは中村俊輔の存在感をイチローと比べてみたり、その揚げ句に「サッカーも野球に続け」と言わんばかりの押し付けがましい論調。もしかして報道する側は、WBCを持ち出さないと注目されないくらい、日本代表のニュースバリューは低下していると考えているのであろうか。だとしたら、大きなお世話である。
確かに、代表人気に凋落(ちょうらく)傾向があるのは紛れもない事実だ。観客動員数も明らかに減少しているし、かつてほどメディアの露出があるわけでもなく、グッズの売れゆきも芳しくないと聞いている。それでもW杯予選となれば、今でもチケットはすぐさま完売して、スタジアムは相変わらず超満員だ。こと代表人気に関して言えば、すべての親善試合が満員になるというバブル状態が沈静化しただけの話であって、それを「野球との人気逆転」と絡めて語るのは、明らかにお門違いであろう。
サッカーの問題は、あくまでサッカー界で決着を付けるべきである。代表人気が凋落傾向にあるのなら、見る者の魂を揺さぶるような試合を見せるのが一番だ。W杯アジア最終予選も、残り4試合。果たして私たちは「サッカーファンでよかった」と思える瞬間に、どれだけ立ち会うことができるだろうか。もちろん結果も大事だが、そろそろ体の芯から痺れるようなカタルシスを味わいたい。今の日本代表の実力を考慮するなら、決して贅沢(ぜいたく)な要求ではないように思うのだが、いかがであろうか。
■「多少のリスク」が懸けられるバーレーン戦
そんなわけで日本代表である。
現在、日本は勝ち点8のグループ2位。3位のバーレーンは勝ち点4だから、日本は勝てば予選突破に大きく前進、最悪「引き分け」でも問題なし、という状況。少なくとも、2月11日のオーストラリアとの首位決戦(0−0)に比べれば、いい意味でリラックスして臨めるはずだ。また、今回の招集メンバーにしても、川口能活と稲本潤一、そして巻誠一郎の落選というちょっとしたサプライズはあったものの、主力となる選手の顔ぶれはほぼ変わっていない。
ある程度、気持ちと戦力に余裕がある日本は、このバーレーン戦に臨むにあたり「多少のリスクを懸けて点を取りにいく」(岡田監督)という明確なテーマを掲げている。先のオーストラリア戦では、高速パスをテンポよくつなぐサッカーを随所に見せて、チームの完成度が高まりつつあることを予感させた。「方向性は間違っていない」と、選手たちも異口同音でコメントしている。となると、改善すべき課題は「プレーの精度をより高めること」、そして「決定力不足の解消」となるだろう。
「多少のリスク」が懸けられるバーレーン戦では、それまでの「攻守の切り替え」「素早くつなぐサッカー」というチームコンセプトを堅持しつつ、4−2−3−1のシステムに手を加えながら、より貪欲(どんよく)にゴールを目指すことになりそうだ。具体的なイメージとしては、試合2日前の公開練習で見せた3トップのシステムがヒントになる。
この時の練習では、前線に田中達也、玉田圭司、大久保嘉人の小兵FW3人が並び、中盤は中村俊、遠藤保仁、長谷部誠という顔ぶれ。田中達が中盤から前線までを駆けめぐり、中盤の3人も目まぐるしくポジションチェンジを繰り返すなど、これまでにない流動的な動きを見せていた。おそらく、4バックで引いてくるバーレーン守備陣を想定して、いかに相手の最終ラインを引き出し、急所を作っていくか――システム変更の狙いは、そのあたりにあるのだろう(もっとも岡田監督は、システム変更について「バーレーン対策が目的ではない」としているが)。
この日のスターティングメンバーは以下の通り。GK楢崎正剛。DFは右から内田篤人、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都。中盤は守備的な位置に長谷部と遠藤、右に中村俊、左に大久保。FWは玉田と田中達という並びだが、大久保が前線に出て3トップになるシーンも多く見られるはずだ。
・バーレーン戦後 選手コメント (2009/3/29)
・バーレーン戦後 岡田監督会見 (2009/3/29)
・試合後 バーレーン代表マチャラ監督会見 (2009/3/29)


