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勝ち点3以上の重み(1/2)
W杯アジア地区3次予選 日本代表対オマーン代表

2008年06月03日
(文= 宇都宮徹壱 )  



■4年前のW杯予選を回想する


1997年10月、加茂周日本代表監督の更迭と岡田武史ヘッドコーチ(右)の新監督就任を発表する日本サッカー協会の長沼健会長=アルマトイ 1997年10月、加茂周日本代表監督の更迭と岡田武史ヘッドコーチ(右)の新監督就任を発表する日本サッカー協会の長沼健会長=アルマトイ【 共同 】
 横浜・日産スタジアムに向かう途中、新横浜のコンビニのレジに並んでいる間、スポーツ紙の一面をさりげなく観察してみる。ざっと見たところ、トップを飾るのは日本ダービー(競馬の方です、念のため)ばかりで、オマーン戦をあおるものは見当たらない。唯一、サッカーの記事があるかと思ったら「マンC(マンチェスター・シティ)が中田ヒデにオファー」。真偽のほどはともかく、2年前に現役を引退した「旅人」の方が、今の代表よりも世間的なニュースバリューが高い(と思われている)という事実は、いささか衝撃的であった。

 月曜日の代表戦という、かなり変則的な日程とも相まって、ホームでのオマーン戦は、何ともまったりとした雰囲気に包まれている。上位2チームが次のステージに進める、今回のワールドカップ(W杯)アジア3次予選。前節、アウエーでバーレーンに0−1で敗れたとはいえ、決して悲観すべき状況ではない。加えてこの日対戦するオマーンは、最新のFIFA(国際サッカー連盟)ランキングではニュージーランドの1つ下の79位。日本の37位に比べれば、実力的にも経験値でも、はるかに下の相手である。

 そんなオマーンとの顔合わせは、04年のW杯アジア1次予選以来、4年ぶりのことである。この年、両者はホーム&アウエーに加えて、中国で行われたアジアカップでもグループリーグで同組となり、都合3試合を戦っている。くしくも、3試合とも1−0で日本の勝利。スコアこそきん差だったが、当時の日本のディフェンス力とオマーンの決定力のなさから冷静に判断すれば、たとえ引き分けはあっても、トータルで日本が負け越すことなど、あり得ない話であった。

 もっとも、これは結果論である。当時の報道を振り返ってみると、いかに日本がオマーンとの対決に神経質になっていたか、その重苦しさが痛いほど伝わってくる。この大会の予選は、1次予選1位のみが最終予選に進出できるという狭き門。加えて、当時のオマーンの監督は、あの「魔術師」ミラン・マチャラ(現バーレーン代表監督)である。対する日本は、選手のコンディションにまるで無頓着(むとんちゃく)なジーコ。ホームでのオマーン戦では、苦戦の末に久保竜彦の一発で勝利したものの、何人かの選手がコンディション不良のまま出場していたことが、のちに発覚する。そんなジーコのチームマネジメントに、当時のファンは危機感を募らせ、やがてそれはジーコ解任を求めるデモに発展した。

 4年前のオマーンとの戦いに思いをめぐらせるとき、私がまず思い出すのが、久保と中村俊輔と鈴木隆行のゴールであり、そして今では考えられないくらいの緊張感と、(その是非は置くとして)解任デモを決行してしまうくらいのファンの熱気である。あれから4年、往時の緊張感も熱気もまったく感じられない空気に包まれて、日本代表は横浜のピッチにオマーン代表を迎えることとなった。


■さらに重みを増したオマーン戦


 選手入場後、この日肺炎のため77歳で亡くなった、元日本サッカー協会会長の長沼健氏に黙とうがささげられた。長沼氏といえば、現役時代に日本代表FWとしてW杯予選(1954年)で歴代初ゴールを挙げ、さらに日本代表監督としてメキシコ五輪(1968年)銅メダル獲得に尽力。その後は協会会長として、2002年W杯日本招致活動で世界中を飛び回り、韓国との共催ながらこれを実現させている。

 日本が初めてW杯に出場した1998年、長沼氏は会長職を辞し、その後は名誉会長、さらには最高顧問となって第一線から退いている。ゆえに、今の日本代表の中で、長沼氏と接点がある選手はそれほど多くはないはずだ。むしろ、1997年のW杯アジア最終予選での「アルマトイの夜」(カザフスタンとのアウエー戦の直後、長沼会長が加茂周監督の更迭と岡田コーチの昇格を発表した)の当事者だった岡田監督の方が、誰よりもこの訃報に衝撃を受けていることだろう。「負ければ辞任」とも報じられる、横浜決戦。このオマーン戦は、長沼氏の死去によって、さらに重たい意味を持つゲームとなってしまった。

 あらためて、ピッチに散らばった11人を確認しておこう。
 システムは4−4−2(もっとも岡田監督は「4−2−3−1だった」と主張しているが)。GKは楢崎。DFは右から、駒野、闘莉王、中澤、長友。MFは中村俊、長谷部、遠藤、松井。そしてFWは大久保と玉田。キリンカップ2試合を見てきた人にとっては、ある意味、納得のスタメンだと思う。しかし、前回のW杯予選のバーレーン戦と比べると、中澤と大久保以外、すべてスタメンが変わっていることに驚かされる。とりわけ長友の左サイド定着などは、2カ月前には、当人も周囲も想像できなかったことだろう。

 それ以上に興味深いのが、中盤の並び。いきなり海外組3人をそろえてきた。しかも守備的MFの位置には、決して守備的とはいえない長谷部と遠藤が並ぶ。「黄金の中盤」という言葉は、さすがに死語となって久しい昨今ではあるが、いささか前掛かりすぎやしないだろうか。
 この中盤の構成について、岡田監督はこう語っている。

「今日はどうしても点を取らないといけない試合だったので、ビルドアップのところでDFからパスを受けてつなげる選手(=遠藤)がどうしても欲しい。(攻撃とビルドアップ)両方のことを考えたとき、ディフェンスのリスクを冒してでも、今回はこの組み合わせでいこうと考えました」

 キリンカップでのテストと熟慮の結果、導き出された今回のシステム。守りを固めてくるであろうオマーンに対して、果たしてどれだけ機能するのであろうか。19時20分、日本のキックオフで試合が始まった。

<続く>

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【関連リンク】
オマーン戦後 選手コメント 08/06/02
オマーン戦後 岡田監督会見 08/06/02
試合後 オマーン代表フリオ・リバス監督会見 08/06/02

 


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