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チリ戦で見えた岡田ジャパンのサッカーとは(1/2)
相馬直樹のピッチサイド分析:第1回

2008年01月30日
(文= 構成:スポーツナビ )  




1998年のワールドカップ・フランス大会を岡田監督のもとで戦った相馬氏 1998年のワールドカップ・フランス大会を岡田監督のもとで戦った相馬氏【 スポーツナビ 】
●●脳梗塞(こうそく)で倒れたイビチャ・オシム前監督の後を受け、10年ぶりに日本代表監督に就任した岡田武史氏。「日本サッカーの日本化」、つまり日本独自のサッカーを確立するという重要なミッションは、この男の手腕に託された。初陣となったチリ戦は0−0の引き分けに終わったが、岡田監督は「次につながるようなことをできた」と手応えを口にした。では、この試合から見えた岡田監督が目指すサッカーとは? もちろん、たった1試合ですべてを語るのは早急に過ぎるが、それでもその片りんは垣間見えたはず。10年前にワールドカップ(W杯)・フランス大会を岡田監督の下で共に戦った元日本代表・相馬直樹氏に、話を聞いた●●
取材協力:新横浜プリンスホテル


■岡田武史監督の芯


就任後の初戦。チリ戦に挑んだ岡田監督。チリ戦では岡田監督が目指すサッカーの片りんが見えた 就任後の初戦。チリ戦に挑んだ岡田監督。チリ戦では岡田監督が目指すサッカーの片りんが見えた【 Photo by 大友良行 】
 岡田(武史)さんは信念を貫く方。そうでないと今回も受けなかっただろうし、カザフスタンでのこと(※1997年W杯アジア最終予選中に加茂周氏の更迭により、コーチから監督に昇格)もなかったんじゃないかと思います。それは自分の進むべき道というか、すごく芯が通っていると感じました。
(97年のときは)コーチから監督に変わったということで、完全に僕らとの接し方を180度変えたんですよ。コーチのときはいじられ役でした。ボール回しをしたら、真ん中でずっと回されるとか、ムキになってスライディングに行くような。加茂さんと選手とで世代的なギャップがあったので、間に入ることをすごく意識されていたんですが、監督になった瞬間に明らかに距離を取るようになりましたね。
(指宿合宿では選手とお風呂に入ったりしているが)選手が昔に比べて岡田さんから10年下がった世代だということだと思うんです。そのチームに合ったもの、今自分に必要なものは何かを考えて、取捨選択して行動していると思います。岡田さんはどういう方法でも取れると思うんですが、だからこそ芯を持たないといけない、というところがあると思います。


■変化が見えたパスワーク


 チリ戦は、選手たちがコンディションの部分でゲームから離れていましたし、(岡田体制で)最初の試合で、非常に寒かったこともあって、難しかったと思います。1試合だけで評価を急ぐべきではないというのは大前提ですが、内容としては非常に濃い部分が多かったと思います。
 攻撃面では、ボールを動かしたい意図があると感じました。オシムさんのときよりも“止まる”ことを言っているんじゃないかと。(ボールをつなぐときに)全部走っちゃうと(ボールを受ける)ポイントがなくなってしまうんですが、前はそういうことがよくありました。でも、今回に関しては(DFとDFの)間で受けるというか、パスを出す方も間に入れるボールが増えているのかなと。受けるのが難しいところでも、間で受けてしまうこともありましたが、前までは(パスを受けることが)難しかったらそのまま抜けてスペースを空けて、誰かにそこに入らせることをしていたんですが、そこが変わってきている気がします。そこは大木(武)コーチというか、短い距離でつなぐ甲府のイメージですね。まだ、それが結果としてどうというのははっきり出ていないんですが、そういう意図がある気がします。

 例えば、チリ戦で一番きれいだった(中村)憲剛、高原、遠藤で最後に巻にいったシーンも、あまり人のポジションが変わっていないんです。憲剛が一番後ろにいて、左側の遠藤と右側の高原で三角形ができて、トントンとつないで遠藤がひとつ前に出ただけですよね。ここでクロスオーバーがあったり、選手同士のポジションチェンジがあった中でボールを動かしたのではなくて、そこにいる選手の基本的なポジションだけでバランスを崩さずにボールを動かした。これには一瞬、チリの選手の足が止まったな、という感じがありました。
 動くことは当然必要なんですけど、いい距離といい角度を保ちながらやれば、日本人選手のスキルフルな部分を生かすことができるという狙いなのかなと。無理に動き回る必要はなくて、きちんと間で受けてあげるとか、ポジションを変えなくても距離が合っていれば通る、という考えがあったと思います。


■サイドバックの動きにも独自色が


 特に前半に、駒野がすごくタイミング良く出ていました。今まで、サイドバックはサイドチェンジをしたときに、前にスペースがあるところ、相手が待ち構えているところでボールを受けていて、相手の裏で受けてなかったですよね。でも、今回の駒野は、前でボールを動かしている間に、突破の動きとして裏で受けようというのが多かった。これにはスタートの位置が高くしたり、タイミングを早くする必要があるんですが、サイドの選手の使い方として違いが出てきている感じがします。
 サイドチェンジをしなくていいと(岡田監督が指示しているような)報道が出ていますが、しなくてもいいのではなく、むやみにすると突破にかかれないということだと思います。突破にかかるためのサイドチェンジだったら何の問題もない。同サイドの前で作っている間に後ろからすっと入ってきて、裏で受けるというような形です。

 内田選手は、相手のアウトサイドの13番(ボセジュール)が強烈だったから、手を焼いて先手を取られてしまいましたが、あれもいい経験だと思います。日本にいたらあれだけ強烈なアウトサイドの選手とはなかなかできません。これをどうするか。後半持ち直してやれたことは良かったと思います。
(今回の内田の起用は)経験という意味もすごく大きいと思います。経験のある選手たちと一緒にやらせることで、その中で何ができるかを見たと思います。本人にとってはほろ苦いゲームだったかもしれませんが、期待されているのは間違いありません。

<続く>

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