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◆トピックス&コラム

イラク代表が教えてくれた「大切なこと」(後編)

2004年2月13日
(文=スポーツナビ・梶原弘樹)  

12日、日本対イラク。激しい競り合いで吹き飛ばされる宮本【Photo by 大友良行】【Photo by 大友良行】

■ぬるい雰囲気


 これは別に、代表選手たちだけをターゲットにした話ではない。サポーターや、われわれメディアも含めた代表チームを取り巻くすべてが、何か「マンネリ感」みたいな空気に支配されてはいないだろうか、ということなのだ。

 まずは選手たち。ホームゲームに慣れすぎちゃいないか? 手厚いスポンサーシップのおかげで数多くの試合が当たり前のように組まれていく。世界中見渡しても、こんなに恵まれた国はそうはないはずだ。ホームでの代表の試合といったら、ヨーロッパの一流の国でも「ぶざまな試合など決して見せられない!」と最初から緊張感を持って臨んでいくものだ。それが、どこかの恵まれたお国は、ワールドカップ予選を1週間前に控えているというのに、立ち上がりは完全に受け身モード。もっと体中からアドレナリンを発散させて、相手を圧倒するくらいの気迫で立ち向かっていく姿をわれわれに見せてほしいものだ。試合後の選手コメントといったら「良いシミュレーションができたので教訓にしたい」というものばかり……。もっと大観衆の前で試合のできる喜びを体全体で表現してほしい。

「大観衆」といえば、ここ最近スタンドに空席が見えるようになってしまったが、サポーターにも若干のマンネリ化が見える。いつまでたっても選手たちへの声援は同じパターンで、音頭をとっているリーダー頼み。黄色い声援は聞こえるが、相変わらず自国選手の怠慢なプレーにはブーイングひとつなし。イラク戦前半の終わりを告げるホイッスルの瞬間には、ブーイングどころかシーンとしてしまっていた(あまりの出来の悪さにあきれたのか?)これでは選手たちは、サポーターからのプレッシャーを感じないだろう。スタジアム全体が、以前にも増して「ものすごくぬるい空気」に包まれている感じがする。
 そしてメディアの側もそうだ。批判に富んだ記事やコメントは、ほとんどが評論家諸氏の名前で「語ってもらって」いるだけ。生ぬるい「客観報道」ばかりが跋扈(ばっこ)している。


■イラクからのメッセージを胸に予選へ


「喜びを力に」などというと、「子供じゃないんだから」と笑われるかもしれない。しかし、「原点に立ち返る」というのは、常に大切な言葉としてだれもが認識していることだ。

 選手たちには、ここまで来たら戦術うんぬんではなくて、いま一度「サッカーは楽しいものだ」ということ、もっと言えば「大観衆の前で自分を表現できる喜び」を思い起こしてほしい。
 これを読んでくれたサポーターの皆さんには、今一度お願いしたい。どうぞ、選手たちに声が枯れんばかりの声援を送ってほしい。ただし、怠慢プレーには容赦のない叱咤激励もお忘れなく。
 そして、われわれメディアの側もいま一度肝に銘じたい。冷静沈着、それでいて熱く、愛情に満ちた批判精神の眼で追いかけていきたい。

 敵将シュタンゲ監督は試合後、満足げにこう語っていた。
「われわれのメッセージは今日、世界中に発信されたと思います」

<了>



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