|
◆トピックス&コラム
|
|
|
最悪のシナリオを生んだ2つの“落ち着きのなさ” (1/2)
U−23シリア 2−1 U−23日本
■“圧勝”が求められる状況を肯定的にとらえたい
関塚隆監督が試合前から「天王山」という言葉を繰り返したロンドン五輪アジア最終予選第4戦のシリア戦。結果は、試合終了間際のDFアルサリフの豪快なロングシュートで勝ち越し点を奪ったシリアが2−1で日本を下し、総得点差でグループ首位に立った。
時間帯といい、シュートといい「劇的」と呼ぶにふさわしい勝ち越しゴールであったため、日本にとってはショックの大きい敗戦と言えるだろう。しかし、こういう時こそ冷静に現状分析する必要があると考える。
まず最も重要なロンドン五輪の出場権について。この敗戦で首位陥落とはいえ、シリアとは勝ち点で並び、2試合を残している状況だ。2月22日のマレーシア戦(アウエー)と3月14日のバーレーン戦(ホーム)では、勝ち点3のみならず、シリアとの総得点差も考えた得点が求められるが、出場の可能性が消滅したわけでも、限りなく低くなったわけでもない。
敗戦直後からグループ2位になった場合のプレーオフの日程や話も出てきてはいるが、関塚監督自ら語る通り「まだ向こう(シリア)の出場が決まったわけではない」し、残り2試合を「戦い続けることが大事」だ。これは個人的な楽観論ではあるが、ただでさえ厳しいアジア予選の中で勝ち点3のみならず大量得点での“圧勝”が求められる状況を、この五輪代表の若い選手たちに経験させること自体は肯定的にとらえたい。
■疑問が残る関塚監督のゲームプラン
とはいえ、このシリア戦の結果と内容には大いに悲観すべきだろう。戦前からシリアがアルスマをターゲットにロングボールを多用しながら日本に圧力をかけてくる序盤の展開は予想できた。前日の公式練習後の取材で、選手たちにその展開予想を投げかけると「逆に僕らも押し込む気でやるので。守る気は一切ない」(山田直輝)、「早い段階から押し込まれるときついとは思いますし、こっちからどんどん仕掛けるようにしていきたい」(鈴木大輔)という威勢のいいコメントが返ってきた。
しかし、ふたを開けてみると予想通りシリアに押し込まれ、ペースを握られたとまではいかないまでも一番与えてはいけなかった“先制点”を与えてしまう。前半18分の失点は、山崎亮平が負傷退場した直後のフリーキックで、代わって入ったばかりの大迫勇也が頭で触ったボールが流れてしまい、それを権田修一がはじき出せずに決まったオウンゴールであった。
こういう失点シーンにおいては必ず「アクシデント」という表現や、負傷や交代がありプレーが途切れたことによる集中力の欠如が原因として挙がってくるが、もう少しゲームの流れの中で得点をとらえる、失点を分析する視点も必要だと考える。試合後、関塚監督が「後半勝負」のゲームプランを明かした通り、シリアのロングボールを警戒した日本のディフェンスラインは深みを取る対応策だった。両サイドバックはカバーリング重視でDFラインから出ていかず、山口蛍と山村和也のダブルボランチはセカンドボールの意識を強めて、最終ラインがはね返すボールを拾うポジションを取った。
日本が最も警戒し、前回の対戦ではゴールを決められているシリアのエース、アルスマがトップ下のポジションを取ったこともあって、日本はロングボールを蹴られるかなり前の段階からDFライン4枚とダブルボランチの計6枚で深いブロックを築いたが、シリアの視点で日本の守備状況を説明すれば、「蹴る前から日本が勝手に引いてくれた状態」だった。関塚監督は、「少し山村と山口が引きすぎていて、相手の12番(アルオマリ)がフリーになっていた」と振り返り、そこをハーフタイムに修正したと明かしたが、厳しい言い方をすれば日本が招いた自作自演の修正点だ。
後方のブロックがズルズルと下がる一方で、トップ下の山田はボールの出どころを抑えるべく前線から激しくプレス、チェイシングをかけていたため、当然ながら相手のボランチはフリーとなる。山田のハードワークというのは、彼個人で見た時には評価できるのだが、チームとして見た時には効果的ではなく、結果的には相手に中盤のスペースを差し出す状況を生み出していた。
ただ、山田がこういうハードワークをして中盤が間延びしてしまうことはバーレーンとのアウエーゲームでも実証済み。その意味で、いくら清武弘嗣、大津祐樹が不在で、東慶悟を右サイドに持っていかざるを得ない台所事情があるとはいえ、関塚監督のさい配と事前のゲームプランには疑問が残る。
・権田修一「何を言われてもしょうがない」=談話 (2012/2/6)
・関塚監督「まだ戦い続けることが大事」=会見 (2012/2/6)
・U−23シリアvs.U−23日本=試合詳細 (2012/2/6)
・ロンドン五輪 アジア最終予選(男子)日程 (2012/2/6)
・スポーツナビ・サッカーFacebookページ (2012/2/6)




