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◆トピックス&コラム
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「一番じゃない」澤が「世界一」に選ばれた理由 (2/2)
FIFA年間最優秀選手受賞を引き寄せたもの
■「苦しい時も、仲間がいるから頑張れる」
誰もが舌を巻くような、圧倒的なパワーやスピードは持っていない。その代わり澤は、自他ともに認める「研ぎすまされた感覚」を持った選手だ。「ここでボールを奪える」「ここにパスを通せる」「ここにボールが来る」。そのような感性豊かなプレーで、長年チームをけん引してきた。しかし、04年のアテネ五輪や07年のW杯・中国大会では、チームも澤自身も特別な活躍を果たせなかった。中国でのW杯が終わると「澤のキャリアのピークは過ぎてしまったのか」といった声もささやかれた。
しかし、08年に佐々木則夫監督が就任すると、なでしこジャパンは北京五輪で史上最高の4位に躍進。澤自身も「わたしはまだ、うまくなれる」と、周囲の限界説を吹き飛ばし、現役続行を決意した。そして迎えたW杯・ドイツ大会。さすがに走力は20代当時と同等というわけにはいかない。それでも彼女は、想像を超えて輝いた。なぜか。うまくなっていたのは、澤だけではなかったからだ。
つまり、アテネ五輪当時は、ほぼ澤1人が世界水準だったものだが、昨年のW杯を戦ったチームには、世界的なプレーヤーにまで成長した選手が要所にそろっていた。阪口夢穂の展開力、安藤梢のキープ力、岩清水梓のクレバーな守備、宮間あやの正確なキック。それらが、澤自身に本来備わっていた、たぐいまれな感覚を大いに引き出したのだ。だからこそ、澤は仲間を信頼し、仲間を励まし、仲間を助ける。
「苦しい時も、仲間がいるから頑張れる」
「みんなでやるから、サッカーは楽しい」
世界に伍する仲間を手に入れたからこそ、澤はチームでも個人でも、世界の頂点にたどり着くことができたのだ。
■浮き沈みなく、淡々と努力を重ねていく
澤となでしこが次に目指すのは、ロンドン五輪でのメダル獲得だ。W杯と五輪を連覇した女子チームは、過去に1つもない。それだけ、世界一であり続けることは簡単ではない。澤は言う。
「W杯王者だから、という重圧は自分の中にはない。プレッシャーとは常に、他人から掛けられるものだと思う。だから自分で気にすることはないんです」
五輪の舞台では「あくまでも挑戦者」という立場を見失ってはいない。
「有頂天になったら、そこまでの選手ですよ。わたしはこれまでも、どんなにいい試合でも、何かしらミスをしている。だからまるっきり満足したことは一度もないし、自分は絶好調だと思ったこともないんです。これからも現役でいる間は、満足する日は来ないと思うんです」
自分を特別な選手だとは、決して思わない。浮き沈みなく、淡々と、毎日それが当たり前だと言わんばかりに努力を重ねていく。ひょっとしたら、わたしたち日本国民にとって特別な日となった、FIFA年間表彰式のことも、澤はすでに過去の出来事と割り切って、振り返ることすらしないかもしれない。
勝利も敗北もない「いま」を生きる。そんな日々の積み重ねが、澤をどこまでも高い場所へと連れていく。
・なでしこジャパンが抱える五輪への課題 (2011/9/12)
・“あと一歩でも”という精神力でつかんだ五輪出場権 (2011/9/9)
・澤のゴールが示した「あきらめない心」 (2011/7/18)
・スポーツナビ・サッカーFacebookページ (2012/1/10)
・日本人選手を応援しよう!『チームがんばれ!ニッポン!』(JOC公式Facebookページ) (2012/1/10)
江橋よしのり1972年生まれ。茨城県出身。フリーライター。2003年以降、世界の女子サッカーを幅広く取材。近著に『世界一のあきらめない心』(小学館)など。なでしこジャパン佐々木則夫監督の著書『なでしこ力』『なでしこ力 次へ』(講談社)や、澤穂希選手の著書『夢をかなえる。』(徳間書店)の構成を担当 |




