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◆トピックス&コラム
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エンターテインメントとしての代表戦 (1/2)
日本代表 1−0 パラグアイ代表
■「ヒロミジャパン」の役割は何か?
「ヒロミジャパン」というのだそうだ、今回の日本代表は。
ご存じの通り、わが国では代表チームに監督の名を冠して「●●ジャパン」と呼ぶ、不思議な伝統がある。私もかつては、あまり意識せずに「ジーコジャパン」とか「オシムジャパン」とか原稿に書いていたが、ある時期を境にそれを封印するようにした。理由は簡単、サッカーをするのは監督ではないからである。ゆえに今回、次期代表監督としてさまざまな名が挙がったときは、これは「●●ジャパン」をやめるいい機会になるかもしれない、と考えていた。「バルベルデジャパン」「フェルナンデスジャパン」「ペケルマンジャパン」――いずれも収まりが悪いからだ。結局、大方の予想を裏切るかのように、イタリア人のアルベルト・ザッケローニの就任が決定。彼の愛称を採って、すでに一部メディアでは「ザックジャパン」という名称が使われ始めている。
さて、周知の通り9月の2試合は、就労ビザの関係でザッケローニはベンチに座ることができない。新生日本代表の新たな船出となるパラグアイ戦は、原博実技術委員長が代行監督として指揮を執ることになった。このニュースを最も喜んだのは、かつて原委員長が監督を務めたFC東京のサポーターである。いつしか彼らの間では親愛と期待を込めて「ヒロミジャパン」と呼ばれるようになった。「原ジャパン」にならないのは、彼らの間では「ヒロミ」の方が通りがよいことに加え、野球のWBCの「原ジャパン」との混同を避けるという理由もあったと思う。サッカーファンにとって「原」と言えば「ヒロミ」だが、世間ではどうやら「タツノリ(辰徳)」が一般的であるらしい。
そんな「ヒロミジャパン」もとい、原監督代行が率いる日本代表の2試合に、われわれは何を求めるべきであろうか。これが9月の2試合の最大のテーマである。その点について前日の会見で、当人は「今後のことは、ザッケローニ監督中心でやっていく、そこの引き継ぎのところで、今いる選手の良さをできるだけ出してあげるというのが自分の役目」と述べている。してみると、この4日の対パラグアイ戦、そして7日の対グアテマラ戦は、先のワールドカップ(W杯)で原技術委員長が感じた「今後、日本が目指すべき方向性」を具体的に示し、その上でザッケローニにその実現を託すという「引き継ぎ」の2試合ということになる。では、その「日本が目指すべき方向性」とは何か。今回のパラグアイ戦は、そのあたりに注目してみたいと思う。
■守備面はそのまま、攻撃面はよりワイドに展開
試合は後半19分、香川真司が挙げたゴールが決勝点となり、日本が1−0でパラグアイに勝利。終わってみれば、日本の新たな船出にふさわしい内容と結果となった。あらためて、試合の流れをポイントを絞って振り返ることにしたい。
この日の日本のスターティングメンバーは以下の通り。GK川島永嗣。DFは右から内田篤人、中澤佑二、栗原勇蔵、長友佑都。守備的MFに中村憲剛と細貝萌。右に松井大輔、左に香川、トップ下に本田圭佑。そしてワントップに森本貴幸。システムは4−2−3−1である。W杯でのラストゲームと比べると、入れ替わったメンバーは5名。特に中盤は、遠藤保仁、長谷部誠、大久保嘉人がいずれもけがやコンディション不良のため、出場や招集が見送られた。代わって守備的MFでの起用が見込まれた今野泰幸も、招集後にけがが発覚したため、急きょ細貝にA代表初キャップのチャンスがめぐってきた。また、W杯ではFW(実質的にはゼロトップだったが)で起用されていた本田はトップ下に、代わって森本がワントップでスタメン起用されることとなった。
全体的に見れば、岡田武史監督が作り上げたラインアップを踏襲しつつも、原監督代行のアイデアが随所に感じられるメンバー構成となった。より分かりやすく言えば、守備面はほとんどそのまま。攻撃面では、よりワイドに展開して、バリエーションのあるクロスからチャンスを作るシーンが、数多く見られた。
まず守備。相手のパラグアイは、変則4−3−3と言うべきシステムで、サンタクルス、バリオス、カマチョ、そしてベラとサンタナが代わる代わる前線に顔を出してくる。後方からの的確なビルドアップに加え、サンタクルスとバリオスの高さ(いずれも187センチ)を生かしたセットプレーは、日本にとって脅威となった。だが日本のディフェンス陣は、強固なブロックを作ってこれを阻止。危ない場面もあったが、最後はW杯でのプレーをほうふつとさせる集中力と気迫のこもったプレーで、相手にゴールを割らせることを許さなかった。日本の新しい守護神となった川島も、スタンドを沸かせるビッグセーブを連発。パラグアイのマルティーノ監督は「今回は日本のGKが良かったし、DFが最後のところでわれわれのボールを止めていた」と、日本の守備の堅実さを素直に認めた。
攻撃面では、両サイドに展開してからが、大きな見せ場となった。右の松井の変幻自在な切り返し、左の香川の鋭いドリブル突破、これに長友と内田の積極的な攻撃参加が加わる。衆目を集めていた本田は、直接FKを含むチーム最多3本のシュートを放っていたが、攻撃面で最も輝いていたのは中村憲と香川であった。前者は遠藤不在をまったく感じさせないくらいパスの起点として機能(守備面での貢献度は遠藤以上だった)、後者は果敢に1対1のドリブルを挑んで貪欲(どんよく)にゴールを目指す。後半19分の日本のゴールは、中村憲の目の覚めるようなスルーパスに、香川が「あうん」の呼吸で反応して生まれたものであったが、まさにこの試合を決めるにふさわしいゴールであったと言えよう。
・香川「シュートへの意識をもっと強く」=談話 (2010/9/5)
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