◆トピックス&コラム
中田徹
スポーツナビ

オランダ人の見た日本代表の弱点 (1/2)
選手、解説者のコメントを振り返る

2009年9月7日(月)

■カムフラージュされていたオランダの守備の弱点

日本の攻撃陣はゴールへの積極性が見られなかった
日本の攻撃陣はゴールへの積極性が見られなかった【Photo:アフロ】

 5日に行われたオランダ対日本、専門誌には「2−2」と予想した。その根拠は、オランダの攻撃力を日本の守備陣が完封できるとは思えなかったが、あらかじめオランダの守備の弱点も見抜いていたからだ。しかし、日本はオランダからゴールを奪えず0−3で大敗した。

 ワールドカップ(W杯)予選で7戦全勝、失点2と完ぺきなスタッツを誇るオランダだが、そこはサッカーそのものを見極めないと過大評価になる。予選期間中、オランダは4−2−3−1で戦ったが、センターFW(フンテラール、カイト)、2列目(ファン・ペルシ、ファン・デル・ファールト、ロッベン、スナイデル、カイト=FWとの兼任=)という質・量共に十分すぎる布陣が相手を圧倒し続け、セントラルMFのファン・ボメルとデ・ヨングが抜群のコンビを見せていた。しかも、同組のスコットランドとノルウェーにはかつての強さがまるでなかった。こうして、オランダの守備の弱点はカムフラージュされていた。

 しかし現在、オランダは4〜6月のピークを過ぎ、今はもう一度感覚を取り戻すべき時期に来ている。オランダの選手は各国リーグに散らばっているが、開幕スタート時期がまちまちすぎて、選手のコンディションに差があった。また、昨季のレアル・マドリー勢(フンテラール、ファン・デル・ファールト、スナイデル、ロッベン)が大型補強にまつわる金策問題に巻き込まれて余剰人員扱いされ、つい最近までサッカーをすることより、移籍先を探すことを優先しなければならなかった(ファン・デル・ファールト以外は最終的に移籍)。

 セントラルMFもファン・ボメルの負傷で状況が変わった。ファン・ボメルはドイツ・ブンデスリーガの開幕節で負傷し、8月のイングランド戦ではデ・ヨングとスハールスのコンビを試したが、しっくりしなかった。そして、この日の日本戦ではデ・ヨングとメンデス・ダ・シルバを組ませたが、バックパスとミスパスが目立ったメンデス・ダ・シルバは試合後に酷評された。デ・ヨングはデ・ヨングで、所属先のマンチェスター・シティでレギュラーの座を失っている。

 確かにセリエAではスナイデルが見事なインテルデビューを飾り、ブンデスリーガではバイエルンに移籍したロッベンがセンセーションを起こしかけている。だが、攻撃陣のコンディションはアップアップで、セントラルMFはレベルが下がっているのがオランダの現状だ。日本へのプレスはかからず、オランダのDFは日本のFWと1対1にさらされる時間帯が生まれるはず――親善試合ということを鑑みても2−2ぐらいに収まるだろうと予想した。試合内容はその通りだったが、スコア予想は大きく外した。

■ストライカーがいない日本

 試合後、いやハーフタイムにオランダ人は日本の弱点を見抜いた。この日のテレビ中継を見ると、「日本のサッカーは攻撃的。しかし、ストライカーがいない」とコメンテーターが解説者のペトロビッチに話を振っている。元浦和の“ペトロ”にとって、この手の話は得意なもの。「Jリーグにはいい選手がいるけれど、ストライカーが長年育っていないんだ。ほとんど外国人がストライカーを務めているからね」などと説明していた。

 後半に日本は崩れたわけだが、カイト、デ・ヨング、デ・ゼーウ、ファン・ブロンクホルスト、ファン・ペルシはそろって「前半の日本は本当に良かった」と口をそろえた。しかし、この日テレビ解説を務めたペトロビッチ、スタムだけでなく、翌日サッカーディスカッション番組に出演したユリ・ムルダー、ヤン・ムルダー、フーゴ・ボルスト、ジャック・ファン・ヘルダーらも「日本は素晴らしかった」とたたえながらも、「もし日本にクーフェルマンス(PSV)みたいなストライカーがいれば……」などと、ストライカーがいないことをずばり指摘していた。

 前半あれだけボールを支配し、バイタルエリアまでボールを運べていた日本。しかし7本のシュートは力なく、すべてゴールの枠を外れていた。しかも、もっと多くの本数を打てていたはずの内容だった。ここで少なくとも1点取るべき。そんな前半で“ハーフチャンス”(決定機の一歩手前のチャンス)しか作れなかったのは大いに問題だ。サッカーのコンテンツとしては積極的なサッカーを見せた日本だが、ゴールという目標に対しては実に消極的だったのである。

「フンテラールが『日本のシュートが下手すぎる』と笑っていたぞ」と記者仲間が教えてくれた。
 玉田圭司にしろ、岡崎慎司にしろ質の高い動きは見せたが、ゴールへの積極性は見られず、後半から入った本田圭佑はシュートゼロだった。 

 この日絶不調だったスナイデルは、それでも“スナイデルゾーン”にボールを運び、狭いスペースから鋭いシュートを打って日本ゴールに突き刺している。スナイデルは所属クラブでもオランダ代表でも、繰り返し同じようなシュートを決めているのだ。日本には“玉田ゾーン”“本田ゾーン”もあるはずだが、前者はチャレンジせず、後者は封じられてしまった。そして岡崎はチャンスで慌ててしまった。
 岡崎がトラップミスしたボールは、マタイセンの前に転がってきた。マタイセンは言う。
「今日の試合も失点する怖さがなかった。日本はペナルティーエリアの手前20メートルまではすごくきれいにパスを回すが、そこから先は怖くなかった」

 <続く>


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