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◆トピックス&コラム
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第3回「カミカゼ・サッカー」への不安(9月5日@エンスヘーデ) (1/2)
宇都宮徹壱のオランダ日記
■オランダ人にとっての「日本戦」とは?
試合開始前の2時間半前、午前11時30分にオランダ戦が行われるアルケ・スタディオンに到着。すでに会場の周りはオレンジ色のレプリカユニホームを着たオランダサポーターが続々と集結していた。さっそく手当たり次第に、今日の予想スコアを聞いてみる。10人に聞いた結果は「3−0」と「2−1」が3人ずつ、あとは「4−0」「3−1」「2−0」「1−0」が1人ずつ。もちろん全員が自国の勝利を予想していた。オランダの得点が意外と少ないことについては「やっぱりフレンドリーマッチだから」。では日本の得点者は誰かと聞くと全員が「本田(圭佑)」と答えていた。
「間違いなくウチが勝つけど、日本が点を決めるとしたら本田だろうね」というのが、どうやらこの国における模範解答らしい。もっとも、得点者として本田の名が出てくるのは、当地で有名な2人の日本人選手の1人であるからにほかならない(ちなみにもう1人は、言うまでもなくフェイエノールトで活躍した小野伸二であり、私は数人のオランダ人から「小野はどうしている? 元気なのか?」と尋ねられた)。要するに、オランダにとっての日本に対する知識と認識は、その程度のものでしかないのである。残念ながら。
もうひとつ、具体的な例を出そう。今週発売された日本のサッカー専門誌『サッカーマガジン』と『サッカーダイジェスト』は、表紙も巻頭もオランダ戦一色。まさに「総力特集」といった感がある。では、オランダの専門誌はどうだったか。現地在住のライター、中田徹さんが見せてくれた「フットボール・インターナショナル」最新号は、表紙もトップ記事も国内リーグの選手で占められており、日本戦の記事は申し訳程度に中ほどに半ページほどの扱いであった。はっきり言ってオランダ女子代表よりも、ニュースとしてのバリュー(価値)は下なのである。こうした事実を突きつけられると、FIFA(国際サッカー連盟)ランキングの差以上に、何とも落胆させられる。ちなみに最新のランキングでは、日本40位、対するオランダはブラジル、スペインに次ぐ3位である。
まあ、いい。厳しい試合になることは百も承知だ。しかしその上で、90分のうちの何分かは、日本がオランダを驚かせるプレーを見せてほしい。日本が本当にワールドカップ(W杯)で「世界を驚かせる」ためには、まずはこの日の試合で、ほんの一瞬でもいいから「オランダを驚かせる」べきである。問題はその瞬間を「どのくらいのクオリティーをもって」そして「どれだけの頻度で」見せることができるか、であろう。
■「本田ベンチ」に見る岡田監督の狙い
そんなわけで日本代表である。
今回のオランダ戦は、6月17日にメルボルンで行われたオーストラリア戦(W杯アジア最終予選)以来のゲームとなる。6月の最終予選3試合は、1勝1分け1敗と息切れが目立った日本であったが、すでに南アフリカへのチケットを手にした今、目指すべきは「世界標準」に向けたチーム作り。本大会までの9カ月で、どれだけ戦闘能力を高めていくかが課題となる。そのためには、まずは世界との距離を確認しておかねばなるまい。
思えばアウエーで欧州の中堅以上の代表と対戦するのは、2007年9月11日の対スイス戦以来のこと。ただし、当時はまだイビチャ・オシム監督が健在であり、岡田武史体制になってからは、すべてのマッチメークが「まずはアジアを突破すること」に主眼が置かれていたのは、ある意味、仕方のないことであった。そうした意味で、このオランダ戦は間違いなく、岡田体制になって初めての「世界へのチャレンジ」となる。
この晴れ舞台のスターティングメンバーは、以下の通りである。
GK川島永嗣。DFは右から内田篤人、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都。MFはボランチに遠藤保仁と長谷部誠、右に中村俊輔、左に岡崎慎司、トップ下に中村憲剛。そしてワントップに玉田圭司。意外にも「オランダで最も有名な日本人」本田は、ベンチスタートであった。だが、よくよく考えれば「意外」ではないのかもしれない。GKの川島を除けば、これはアジア最終予選での「ベストメンバー」である。すなわち「これまでやってきたことが、現時点でどれだけ通用するのか」という指揮官の思惑がストレートに感じられる布陣であったと言えよう。
対するオランダは、ファン・ペルシ(アーセナル)がいる、スナイデル(インテル)がいる、デ・ヨング(マンチェスター・シティ)がいる、カイト(リバプール)がいる、そしてロッベン(バイエルン)がいる。しかもベンチには、フンテラール(ミラン)やファン・デル・ファールト(レアル・マドリー)といった面々が控えているのだ。何というぜいたくなラインアップであろうか。だが、ものは考えようである。こっちはテレビや雑誌で何度も見ているけれど、向こうはこっちのことをほとんど知らない。こうしたイメージのギャップは、時としてゲーム展開に予想外の結果をもたらすことがある。そんな、一縷(いちる)の望みを期待しつつ、14時にキックオフのホイッスルが鳴った。
・オランダ戦後 選手コメント (2009/9/6)
・オランダ戦後 岡田監督会見 (2009/9/6)
・オランダ代表ファン・マルワイク監督談話 (2009/9/6)


