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◆トピックス&コラム
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最終予選の終わりに (1/2)
日々是最終予選2008−09(メルボルン編)
■曲芸めいた(?)日本のサッカー
オーストラリア戦当日。この日、会場のメルボルン・クリケット・グラウンド(MCG)には、6万9238人もの観客が詰めかけた。会場のキャパシティーは10万人なので、ずい分と空席があるように感じられるが、それでも10日に横浜で行われたカタール戦よりも9000人多いのだ。いつもはクリケットとオージーフットボールに人気を牛耳られているオーストラリアだが、この日ばかりは国民の視線はサッカールー(サッカー・オーストラリア代表の愛称)に注がれることとなった。
さて、そんなオーストラリアの人々にとって、われらが日本代表はどのように映っているのだろうか。ここに、有力なヒントとなりそうな事例を提示することにしたい。
先日、ホテルでパソコンに向かっていた時のこと。つけっぱなしにしてあったテレビから、いきなり日本語が飛び出してきたので反射的に顔を上げた。画面に映し出されていたのは、横一列に並んだ日本人(?)のサッカー選手たち。彼らは、さながら映画『少林サッカー』のようなアクロバティックなヘディングやボレーキックを繰り返し、放たれたシュートは次々と標的に命中していく。そこに日本語のナレーション。「日本人は、いつもこんな練習をしているのです」――そして画面が切り替わって「オーストラリア対日本 6月17日 MCG」の文字。そう、日本戦を告知するCMだったのである。
あまりの馬鹿らしさに、最初はあっけにとられたものの、その後じわじわと笑いがこみ上げてきた。もちろん実際の日本代表が、こんなトレーニングをしているわけがない。だが、日本の特性であるボールスキルとアジリティ(敏しょう性)を生かすべく、素早い攻守の切り替えと高速パスサッカーの精度を高める練習を繰り返してきたのは周知のとおり。オーストラリアの人々が見たら、さぞかし曲芸めいたものに見えることだろう。そうして考えると、このCMは、彼らの日本(代表)観を端的に表していると言えそうだ。
日本が今、目指しているサッカーは、オーストラリアから見れば「驚き」というよりも、むしろ「奇妙なもの」として映っているのかもしれない。そのこと自体、別に気にすることではないだろう。とはいえ、そんな彼らの認識を「驚き」に、さらには「賞賛」にまで引き上げるとするなら、この試合こそが最大のチャンスである。日本がこれまで愚直に繰り返してきた「自分たちの」「日本らしい」サッカーが、ここMCGのピッチで炸裂することを切に願いつつ、キックオフの時を待った。
■何とも寂しいエンディング
この日の日本の布陣は、以下のとおり。GK楢崎正剛。DFは右から内田篤人、阿部勇樹、田中マルクス闘莉王、長友佑都。中盤は守備的な位置に橋本英郎、今野泰幸、右に松井大輔、左に岡崎慎司、トップ下に中村憲剛。そしてワントップには玉田圭司。中澤佑二が体調不良のため、背番号2は阿部が、そして腕章は楢崎が引き継ぐこととなった。
だが試合が始まると、日本が目指すポゼッションサッカーが、またしても影をひそめてしまう。とにかく中盤でボールが収まらないのである。しっかりビルドアップして長身のケネディに合わせてくるオーストラリアに対し、完全に受け身となってしまった日本は、とにかくクリアするので精いっぱい。たまに前線にボールが出ても、オーストラリアDF陣の戻りが早く、裏に抜ける前にカットされてしまう。
それでも先制したのは日本だった。40分、中村憲の左からのコーナーキックに、スルスルと上がってきた闘莉王のヘディングシュートが炸裂。ケーヒルが慌ててジャンプしたが間に合わず。これまで最終予選無失点を守り通してきたオーストラリアのゴールを、初めて日本がこじ開けた。その後もロスタイムのFKのチャンスで、玉田のキックは枠をとらえたものの、ニールがヘディングでクリア。前半は日本の1点リードで終了する。
ハーフタイムを挟んで迎えた後半、オーストラリアは持ち前の高さで反撃を試みる。流れの中で形が作れないなら、セットプレーがある。サッカールーの戦術は、実に明快であった。後半14分、グレッラの山なりのFKにケネディと闘莉王が競り合い、そこにケーヒルもジャンプ。弾道はケネディをかすめ、ケーヒルの頭にヒットして、そのままゴールに吸い込まれる。これで試合は振り出しに戻った。そして32分、今度はコーナーキックからオーストラリアが追加点。楢崎の頭上を越えたボールに、阿部とケーヒルが飛び込み、わずかな差でケーヒルが触って、そのままゴールイン。まるで、2006年のW杯ドイツ大会での悪夢を見ているかのようなシーンだ。この“日本キラー”ケーヒルの2ゴールで、ついにオーストラリアが逆転に成功する。
その後も、敵将・ピム監督のさい配に抜かりはなかった。逆転した直後、攻撃的な選手をピッチに送り込むことで闘莉王の攻撃参加を封じ、じっくりと余裕をもって試合をクローズさせることに成功。対する日本は、逆転ゴールの前後に矢野貴章(後半23分に松井と交代)、興梠慎三(後半40分に橋本と交代)を起用するものの、いずれも試合の流れを変えるには至らず、いかにも場当たり的な印象をぬぐえない。かくして1−2で敗れた日本はグループ2位で、最終予選を終えることとなった。すでに本大会出場を決めているとはいえ、何とも寂しいエンディングである。
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