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日本一の市立船橋高校、辛勝の新シーズンスタート
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今年の選手権を制した市立船橋イレブン。優勝メンバーには2年生も含まれる【スポーツナビ/岩本勝暁】
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■選手権決勝からわずか6日後の新人大会
今月13日に全国高校サッカー選手権で優勝したばかりの市立船橋高校が、19日、千葉県サッカー新人大会決勝トーナメントの2回戦(1回戦シード)に登場し、東海大望洋高校に延長戦の末、1−0で辛勝した。
この大会は、千葉県のチームにとって、毎年3年生が引退して2年生が最上級生となった最初の大会で、各校とも新チームのスタートとなる。また、昨年からは優勝、準優勝校に関東リーグへの出場権が与えられることから、市船のような上位チームにとってはぜひとも結果を出したい大会だ。
昨年までは、全国高校サッカー選手権の決勝が8日に行われていたため、この大会までに約2週間近くの猶予があった。しかし今年はこれが13日の開催になったため、決勝戦に出場した市船は1週間も経たずに新人大会に出場することになった。もちろん、開催時期の延伸も検討されたが、2月中旬には私立高校の入試の時期も控えていることもあり、かなわなかった。
さて、13日に全国制覇をした市船サッカー部は、決勝の翌日にはサッカー部、学校関係者だけを集めての祝勝会、翌15日は船橋市の目抜き通り使ってのパレードや市長への優勝報告、さらに17日は千葉県知事や地元メディアへの表敬訪問と多忙を極めた。そうした中で19日の新人大会に向けての準備を進めることは、かなりの困難がある。
特に決勝戦に出場した2年生の増嶋、鈴木、カレンにとっては、コンディション的にもモチベーション的にも厳しいものが要求されていたに違いない。カレンは決勝戦翌日から風邪で体調を崩し19日の試合にはなんとか間に合わせた様子だったが、少し遅れて発熱した鈴木は熱が下がらないまま会場に姿を見せず、新チームのキャプテンになった増嶋は体調こそ崩さなかったが、モチベーション的にもベストには程遠い状況をあることを彼の表情が物語っていた。
そして何よりも、布監督自身がインフルエンザで高熱を出し、この日は会場に姿を現すことすらできなかったのだ。
■あの増嶋がピンチの原因に……
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| 3年生引退後、新チームのキャプテンになった増嶋【スポーツナビ/岩本勝暁】 |
布監督に代わってチームの指揮を執った石渡部長は、増嶋、カレンをベンチに置き、全国大会で登録されながら決勝で出番の無かった根元らを中心に先発メンバーを組みこの試合に臨んだ。
やはり、二人がコンディション的にもモチベーション的にも、実戦に厳しい状況であること、そして、この試合に勝った場合に次週は彼らが高校選抜の選考のために不在なので、できる限り彼ら抜きで結果を出したいという狙いだった。
だが、新生市船は苦しんだ。1週間前までAチームが全国大会に出ていた影響で、このメンバーで試合をしたことがほとんど無いのだから、当然だ。千葉県ベスト16クラスの相手に、中盤を組み立てられず、狙いとしたサイド攻撃が形にならない。ディフェンスでも出足の遅さが目に付き、相手に一歩譲る。随所にミスも目立つ。
対する、東海大望洋も全国の覇者“市船”に戦いを挑むことで精いっぱいなのか、余裕の無いプレーで自分たちのリズムを見つけられず、0−0のまま前半を終了した。
後半のスタートこそ、前半のメンバーのまま試合に入った市船だったが、10分を過ぎたところで、石渡部長はたまらず、カレンと増嶋の投入を決意する。
全国大会と同じ2トップの一角に入ったカレンは、スピード、フィジカル、テクニックで敵味方を問わず他の選手を圧倒し、彼を軸に一気の市船が試合の流れを一気につかんだ。
だが、あと一歩というところでゴールを割れない。こうしたプレーを繰り替えすうちに、逆にカウンターを受けるようになる。このピンチの原因を作っていたのが、なんと増嶋だった。全国大会の時の最終ラインではなく、守備的MFのポジションに入った増嶋だったが、試合の流れに乗れず、特に守備をミスを繰り返した。
彼のコンディションが未知数で、しかも次の試合を増嶋抜きで戦わなければならないので、最終ラインをいじりたくなかったために、このポジションでの投入だったが、予想以上に彼の状態は良くなかった。
■高校生年代の微妙な心情の変化とコントロールの難しさ
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| 圧倒的なテクニックとスピードを持つカレン・ロバート。そのプレーでチームを引っ張る【スポーツナビ/岩本勝暁】 |
この試合が行われたのは、習志野市立習志野高校のグラウンド。6日前の5万人を飲んだ国立競技場と比べると、あまりもその差は大きい。地面ももちろん土だ。(ただし、サッカー名門高校だけに、土のグラウンドとしてはこの上も無いくらい良いコンディションのグラウンドだ)
そうした会場で、着替えもグラウンドの隅で行い、アップも試合の行われているピッチのすぐ脇で行う。つまり普通の高校サッカーの環境で行われていた。
そうした中、試合に臨むカレンと増嶋の表情は、はた目に見ても最悪だった。特に病み上がりのカレンはもぬけの殻と言った具合。試合に出る予定はないと言われているのか、ウォームアップにも力が入らない様子だ。
だが、カレンの表情は試合直前のある人物の登場で一変した。
高校サッカーではおなじみの、船橋市在住の某アナウンサーが激励に駆けつけたのだ。彼が一言二言声をかけただけで、カレンの顔がみるみる明るくなり、目に光が入ったのだ。
こうしたことはJリーグでも時折見かけるが、有名人効果というのは恐ろしい。
交代の場面でも、アップをしていたゴール裏で呼ばれたカレンは、小走りにベンチに向かい、すぐに試合着に着替えた。
一方の増嶋は、某アナウンサーの登場にも表情にさしたる変化が見られない。交代の場面でも、自分が呼ばれると自ら手でバツを作り、なかなかベンチに向かおうとはしない。やっと向かったかと思うと、歩きながら「マジに出るのかよ」と近くにいた控え選手にこぼす始末だった。
結局試合は、前後半を終わって0−0のまま、続く延長でも相手ゴールを攻めあぐねるが、残り1分、右からのアーリークロスをゴール前で粘り強くつなぎ、最後はカレンが東海大望洋ゴールに蹴り込み1−0で、市船が薄氷の勝利を挙げた。
勝った市船は25日に東海大浦安と対戦し、順調勝ち進めば2月2日に決勝戦を戦う。
この日の試合は、全国大会出場という栄冠の陰で、この年代の選手たちの微妙な心情の変化、そしてそのコントロールの難しさを感じさせられた試合だった。
<了>
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