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| 破壊的な攻撃力を持つ多々良学園と、初出場ながら優勝候補に挙げられる流通経済大柏の対戦は、2回戦の中でも屈指の好カードとなった【 Photo by 岩本勝暁 】 |
命運を分けた経験の差 <2回戦 多々良学園(山口)vs.流通経済大柏(千葉)>
2006年01月03日
■めまぐるしい攻防
県大会5試合で28得点という破壊的な攻撃力を持つ多々良学園(山口)と、4度の優勝を誇る名門・市立船橋を破り、初出場ながら優勝候補に挙げられる流通経済大柏(千葉)の対戦は、第84回全国高校サッカー選手権大会2回戦の中でも屈指の好カードとなった。
試合は開始早々の前半1分、思わぬ形でスタートした。U−18日本代表の流通経済大柏GK林彰洋がDFとの連係ミスから飛び出したところを、FW山田竜司が押し込んで多々良学園が先制したのだ。出鼻をくじかれた形の流通経済大柏に追い打ちをかけるように、多々良学園は14分にも、右サイドで効果的な突破を見せていた楢崎佑馬が追加点を挙げて2−0とした。 だが19分、今度はFKから相手DFのクリアのこぼれ球を竹村龍人が決めて、流通経済大柏が1点差に追いつく。前半20分までに3ゴールが生まれ、まさしく攻撃サッカーが売りの両チームらしい展開となった。 しかし全体的に見ると、多々良学園が流れるような細かいパスを組み立てる一方で、流通経済大柏はなかなかボールを奪えず、前線の長身FW長谷川悠や張志旭(ジャン・ジウク)にボールが入らない。流通経済大柏の本田裕一郎監督は、流れが悪いと見るや、前半に3枚のカードを切ってきた。18分には佐藤隼平に代えて竹石翼、29分に小林未来に代えて千明聖典、36分には張に代えて板垣学を投入したのだ。
2−1で多々良学園リードのまま前半が終了し、後半開始直後には流通経済大柏が猛攻を仕掛ける。右サイドバックの石川大徳がオーバーラップからクロスを上げ、長谷川が飛び込むなど決定機を作り、途中交代の竹石はCKから精度の高いボールを供給。対する多々良学園もボールを奪ってからのカウンターで攻め込むなど、一進一退の攻防が続いた。 だが、ともに追加点は入らず、結局2−1のまま試合終了。13年連続18度目の選手権常連である多々良学園が初出場の流通経済大柏を破り、3回戦へ進出した。
■経験が生きた多々良学園
「守備は大したことないが、粘り強く守った」と白井三津雄監督は試合後に語ったが、実は昨年のインターハイで、多々良学園は苦い経験をしている。桐蔭学園(神奈川)との初戦で3点のリードを追いつかれ、PK戦の末に敗れたのだ。この日のハーフタイムで白井監督は「リスクを負わず、ボールを失わないよう」選手たちに指示し、「遅攻や相手の前がかりのギャップを狙う」戦略を伝えた。最後は疲れもあって、長谷川にボールが入りピンチを迎える回数も増えたが、中盤の平間直道や菅田恭介らも含めたディフェンス陣が踏ん張った。
また、昨年の夏に行ったスペイン遠征で「世界基準を知ったことがこのような大きな試合で生きた」(白井監督)という。約2週間でレアル・マドリーやアトレティコ・マドリーといったマドリーやトレド近郊のユースチーム(U−19)とA、Bチーム合わせて10試合を戦った。U−19スペイン代表に名を連ねる選手を多く抱えるレアルやアトレティコ相手にも得点――しかも先制点を挙げることができたことは(試合はレアルに1−5アトレティコに1−3で敗戦)、選手たちにとって大きな自信になったに違いない。
一方、地元での試合ということで多くの声援を受けた流通経済大柏は、初出場の見えないプレッシャーが立ち上がりの試合運びに影響を及ぼしたのかもしれない。
■逆境をバネに
実は多々良学園は昨年の10月26日、経営難から民事再生法の適用を申し立て、選手たちはチームの先行きも見えないまま、今大会を戦っている。スタッフは監督とコーチの2人だけ、今回の遠征も後援会・父母会・OBなどの寄付金や食料の差し入れに助けてもらっているとのことだ。 サッカーとは関係ないところで注目を浴びる選手たちを白井監督は気遣いながらも、「みんな逆境に強いから、たたかれても這い上がっていく」と信頼を寄せる。次の対戦相手はインターハイ王者の青森山田だが、逆境をバネに精神的に強くなった多々良学園ならば、優勝候補を倒すことも不可能ではないだろう。
<了>
関連リンク
・優勝への試練 06/01/02
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