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市之瀬敦
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スポーツナビ
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ベンフィカ、11年ぶりの王座奪還なる!(1/2) 市之瀬敦の「ポルトガルサッカーの光と影」
2005年06月03日
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| ベンフィカを11年ぶりの優勝に導いた名将トラパットーニ。しかし、優勝を置き土産にわずか1シーズンで辞任した【 Photo:AFLO FOTO AGENCY 】 |
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■ やっと終わったベンフィカの「断食」
数学が苦手な私でも、数字とは不思議で面白いものだなと思うときがある。すでに周知の通り、2004−05シーズンのポルトガル・スーペルリーガを制覇したのはベンフィカ・リスボン。11年ぶりのリーグ優勝であった。 「11」という数字が、サッカーの1チームの人数にピタリと一致するというのは、大して面白くもない数合わせに過ぎないかもしれない。しかし、今季の優勝決定戦とも言えたベンフィカとスポルティングの直接対決が行われた5月14日という日付は、両チームにとって、けっこう重要な意味を持っているのだ。
ちょうど11年前、つまりベンフィカが最後にリーグタイトルを勝ち取った年の5月14日、ベンフィカはスポルティングを6−3で破り、優勝を決めた。また5年前の2000年、スポルティングはその日サルゲイロスを破り、18年ぶりの優勝を遂げたのである。「5・14」は両チームにとり、きわめて重要な意味を持つ数字。今年は、どちらがその日付に笑うことになるのか、注目されたのだった。 なぜなら、その日の試合でもしスポルティングが勝てば、FCポルトの試合の結果次第でそのまま優勝が決定。一方のベンフィカは、優勝の望みをつなぐためには、とにかく勝たねばならないゲームだったのだ。 かつて1960年代、70年代であれば、ベンフィカ対スポルティングの「デルビー」(ダービー)が、そのまま優勝決定戦という状況は何度も繰り返された。だが、最近の20年間は、FCポルトがポルトガルサッカーの覇権を握り、これほどまでに重要性を帯びた直接対決はほとんどなかったのだ。メディアもサポーターも、大いに盛り上がったのも当然であった。 さて、6万5000人のサポーターに支援されたベンフィカは確かに押し気味に試合を進めた。しかし、スポルティングは慎重にボールをつなぎ、ベンフィカに決定的な仕事をさせないまま前半を終了した。悪くはない展開だった。そして後半に入り、ベンフィカはカウンターアタックから相手ゴールを脅かすもゴールはならず。スポルティングは引き分けで逃げ切る態勢に入ろうとしていた。 しかし、終了間際の83分、スポルティングのGKリカルドが致命的なミスを犯し、ルイゾンのゴールを許してしまった。リカルドはこれからもずっとルイゾンの反則を主張し続けるだろうが、もちろん判定が覆るわけもない。たった一つのミスで、スポルティングは優勝の可能性を対戦相手に譲り渡してしまったのである。
そして翌週の22日、ベンフィカはアウエーでボアビスタと引き分け、ついに11年ぶりの優勝を決めた。あまりにも長かった「断食」が終わったその日の夜、ポルトガルの北から南まで、推定600万人のベンフィキスタ(ベンフィカサポーター)が、いやアフリカのアンゴラやカボベルデ、そしてヨーロッパやアメリカのいくつかの都市を含めれば、やはり推定1400万人以上のベンフィキスタが、通りや広場を赤く染めたのだった(これらの数字はあくまでも「推定」です)。 かつてない勝率の低いチャンピオンとはいえ、ベンフィキスタの傷ついたプライドはようやく癒やされた。そして昨年1月、ピッチ上で突然の死を遂げたハンガリー人選手フェヘールには、昨年のポルトガルカップと今年のリーグタイトルを捧げることができた。ただ残念なのは、名将トラパットーニが、リーグ優勝を置き土産にわずか1年でイタリアへ帰国してしまうことである。もっと多くのことをベンフィカに伝えてほしかったのに……。 なお、ベンフィカの次期監督には、リヨンの元監督ルグエンが有力視されているが、まだ確実ではない。いずれにしても、若く、野心に溢れる外国人監督がフロントの希望である。
■ 天国から地獄へと落ちたスポルティング
誰がこれほどまでに過酷な運命を予想しただろうか。リーグ戦優勝とUEFAカップの2冠に王手をかけながらも、今季のスポルティングには残酷な結末が待っていた。 まずは5月14日。すでに述べたように、スポルティングはベンフィカに敗れ、前節までの首位の座から陥落し、ほぼ手中にしかけていたリーグ優勝の望みを完全に絶たれてしまったのである。
しかし、スポルティングの不幸はそれだけでは終わらなかった。その4日後の18日。ほぼ完全に緑に染まった“アルバラーデ・スタジアム”で行われたUEFAカップの決勝戦。誰もが勝利、すなわち優勝を信じた対CSKAモスクワとのゲームで、スポルティングは、1−3でまさかの敗戦を喫してしまったのだ。 それでも始まりは悪くなかった。前半28分に先制点を挙げたのはスポルティングだったのだから。しかし、後半は全く別のゲームになってしまった。試合前に唯一心配された疲労の蓄積が、スポルティングの選手たちを苦しめるようになったのだ(一方、ロシアリーグはまだ始まったばかりだ)。 決勝戦の最優秀選手に選ばれたブラジル人MFダニエウ・カルバーリョに対するマークが甘くなり、思い通りにゲームメークされてしまった。そして、わずか18分間で3ゴールを許し、後は成す術もなく敗れた。41年ぶりにヨーロッパの大会を制覇する夢は、あまりにもあっけなく砕かれてしまったのだった。
「ベンフィカはもっと攻撃的になっていれば……。CSKAに対してもっと慎重になっていれば……」 今となれば、こう言ってジョゼ・ペゼイロ監督を責めることは誰にでもできる。だが、シーズン当初のつまずきから立ち直り、最後までリーグ優勝争いに絡み、UEFAカップ決勝戦までチームを導いた彼の業績はむしろ称えられるべきものである。 それにしても、もしサッカーに「芸術点」なるものがあったならば、リーグで最も魅力的なサッカーを披露した今季のスポルティングは間違いなくトップなのだが……。 <続く>
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