コラム    
小澤一郎
スポーツナビ

17歳の大型FW指宿、スペインで輝くために (1/3)
ジローナ 指宿洋史インタビュー

2009年2月16日(月)
スペインでプロ選手としてのキャリアをスタートさせた指宿
スペインでプロ選手としてのキャリアをスタートさせた指宿【Ichiro Ozawa】

 1月2日、スペイン2部のジローナが柏レイソルユースに所属していた17歳のFW指宿洋史の獲得を発表した。契約は3年半。18歳に満たない選手の海外移籍は原則禁止されているため2月27日の誕生日までは試合に出場できないが、指宿は正式契約後すぐにチーム練習に合流し、スペインでプロ生活をスタートさせている。
「ガラっと環境が変わりました」と本人が話すように、ジローナ移籍以降はピッチ内外すべてのことに“初”が付いた。しかし、劇的な環境の変化の中で舞い上がることも、自分の立ち位置を見失うこともなく、指宿は先にあるデビュー戦やスペインでの成功のために日々練習やスペイン語の習得に励んでいる。そんな彼に入団から約1カ月が経った1月末、話を聞いた。

■Jリーグ未経験からの海外移籍

ホームスタジアムは柏からジローナへと移った
ホームスタジアムは柏からジローナへと移った【Ichiro Ozawa】

――1月上旬のジローナ移籍から約1カ月が経ちました。この1カ月を簡単に振り返ってください

 やっぱり、最初は厳しかったですね。慣れなくて体調を崩しかけたこともありましたし……。でも、すごく中身の濃い1カ月ではありました。かなり時間が経ったような感じがします。

――11月後半からジローナで約1週間の入団テストを受けて、年明けすぐに正式契約。2カ月にも満たない期間であっという間に移籍が決まった印象ですが、入団テストを受けるきっかけや移籍までの経緯を教えてください

 まず、入団テストを受けることになったのは、日本にいるスペイン人サッカー関係者の方が僕に目を付けてくれていたことで実現しました。そして、実際に入団テストを受けて運良く合格し、入団に至ったという感じです。

――テスト生としてジローナに来た初日から地元メディアは指宿君のことをかなり取り上げていました。何度も一面トップに写真が載り、まさにフィーバー状態でした

 正直、自分が(練習に)全然ついていけなかったので、『何でこんなに取り上げるんだろう?』と不思議でした(笑)。初日、2日目は本当に全然ダメで、それ以降もテスト期間は練習に慣れるのに精いっぱいでした。そもそもスペイン人と一緒に練習をやるなんて初めてで、海外に1人で行くのも初でした。いろんな意味でいっぱい、いっぱい。周りを気にする余裕はなかったです。

――Jリーグでのプレー経験がなく海外移籍を果たしたことで、まだ日本では指宿君のことを知らないサッカーファンが多いと思います。自分ではどういう選手だと分析していますか?

 まずはFWなので点を取ることが僕の仕事だと思っています。その中で193センチの身長を生かした高さには自信があります。また、高さの割には足元の技術はある方だと思っています。

――自身のプレーの見本となる選手を挙げるとすれば?

 お手本にしたいという意味でセビージャのカヌーテです。自分のスタイルと重なるところがあるので、彼やアデバヨル(アーセナル)のような選手のプレーを参考にしています。あとは、ベルバトフ(マンチェスター・ユナイテッド)も好きです。

■柏ユース時代、欧州のビッグクラブを相手に手応え

柏ユース時代に臨んだ国際ユース大会では貴重な経験を積んだ
柏ユース時代に臨んだ国際ユース大会では貴重な経験を積んだ【Ichiro Ozawa】

――昨年夏、柏ユースはビジャレアルで行われた国際ユース大会に参加しました。そこでの試合を取材しましたが、柏ユースのサッカーは欧州ビッグクラブのユースより一段高いレベルにありました。リバプール、アヤックス戦は共に3−0と快勝。点差以上に組織的なパスサッカーで圧倒した感があります。その後、レアル・マドリーに敗れたものの、3位で大会を終え、大会関係者から「センセーショナルなチーム」と高い評価を得ました。実際に欧州、それもビッグクラブのユース選手たちと対戦して、「十分通用する」という手応え、自信をつかんだのではないですか?

 それはすごくありますね。ビジャレアルの大会前の春に参加したMIC(※バルセロナ近郊で毎年春に開催される国際大会。昨年、ユースカテゴリーに参加した柏ユースは決勝でメキシコ代表に敗れたものの、見事準優勝している)という大会も含めてすごく自信がつきました。

――こうした大会に参加して、日本と欧州のサッカーの違いを感じましたか?

 ビジャレアルの大会でレアル・マドリーと対戦して1−5で負けたんですけど、やはり“ここ”という時にしっかり決めてくる能力に驚きました。その試合もうち(柏ユース)がゲームを支配していいサッカーができたと思うんですけど、勝負どころでポン、ポンと失点して負けてしまいましたから。そういう勝負強さはこっち(欧州)で毎週真剣勝負のリーグ戦をこなすことで自然に身に付くのかな、と思いました。

――移籍の話に戻りますが、夏ごろの時点ではJリーグ入りを考えていたのですか? それとも、当初から海外移籍を希望していたのですか?

 正直、海外の可能性なんて全く考えていませんでした。10月、11月くらいまで話にも出ていませんでしたから。もちろん、最終的には海外でやりたいと思っていましたけど、この話が出てくるまでは海外なんて全く頭になくて、とにかくプロになりたいと思っていただけでした。

――柏からはトップ昇格の声はかからなかったのですか?

 はい。そういうことですね。

――今ごろ、柏のファンは「スペインに移籍するくらいの逸材をなぜトップに上げない」と怒っているかもしれませんね

 さあ、それは分からないです……(苦笑)。

――それにしても、今季は柏ユースからプロに上がる選手が多く出ましたが(酒井宏樹、仙石廉、山崎正登、武富孝介、比嘉厚平、工藤壮人が柏に、畑田真輝がヴァンフォーレ甲府に、島川俊郎がベガルタ仙台に入団)、その理由は何だと思いますか?

 僕たちは監督、コーチのスタッフ陣に恵まれていました。チームメートも素晴らしく、本当にすべてに恵まれていたと思います。それに欧州の大会に参加して結果を残せたことで、自分たちのやってきたことは間違いではないんだなと感じることもできました。ただ、1つだけ悔いが残るとすれば、日本でタイトルを取れなかったことですね。

 <続く>


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5 ビジャレアル 65
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