コラム    
木村かや子
スポーツナビ

フランスリーグで起きた8シーズンぶりの異変 (1/3)
ボルドー終盤の快進撃を振り返る

2009年6月5日(金)

■リヨンの時代は終わったのか?

リヨンの8連覇を阻止したボルドー。優勝の立役者は、グルクフ(左)とブラン監督だ
リヨンの8連覇を阻止したボルドー。優勝の立役者は、グルクフ(左)とブラン監督だ【Photo:アフロ】

 2008−09年のリーグ1は、ボルドーの10季ぶりの優勝で幕を閉じた。例年通りリヨンがシーズンの大半をトップで走っていたが、終盤に来て様相が急変する。今季は、マルセイユ、パリ・サンジェルマン(PSG)、ボルドーといった名門が上位につけ、リヨンの覇権に飽き飽きしていた国民にとって、それだけでも興奮を誘う材料だったが、3月に入るとまずマルセイユがチャージをかけ、やや遅れてボルドーがそこに加わり、最後の10節は、絵に書いたような大混戦に。そして最後に笑ったのは、シーズンを通しダークホース役を演じてきた、ローラン・ブラン率いるボルドーだった。

 昨夏にリヨンからマルセイユに移籍したベンアルファは「昨年から、内部にいてリヨンの一時代が終わったことを感じていた」と言う。今季のリヨンは、8節のレンヌ戦での大敗(0−3)を皮切りに、そこここで勝ち点を取りこぼしてはいたが、それでも4月まで1位を維持していた。しかし例年との違いは、シーズンが進むにつれて明らかになっていく。
 今季、頻繁に耳にされたのは「ベンゼマとジュニーニョのいないリヨンは、もはや同じではない」という言葉。リヨンは相変わらず質の高いチームだが、エシアン、マルーダらがいた数年前に比べ、総合力が落ちてきてはいた。しかし、最大の違いはむしろ対戦相手の姿勢の方にあったと言える。

 ほとんど負けなしだった2年前には、リヨンと対戦した他チームは初めから勝つ気を失っていた。ところが、昨年あたりから徐々にそれが変わり始め、相手の頭の中で、リヨンは“倒すことも可能なチーム”となっていた。
 また、ゲレツ(マルセイユ)やブランら有能な監督たちのおかげで、今季はライバルたちが地力を上げてきたこともある。2位は頻繁に入れ替わったが、後半に入ってから1位のリヨンと2位クラブの勝ち点は常にきん差。そのためリヨンは小さなつまずきで、これまでになく危険にさらされることになった。

■最初にリヨンに迫ったのはPSGだった

 タイトルレースが佳境に入ったのは3月。最初にリヨンに1ポイント差と詰め寄ったのは、夏にジウリーやマケレレといった元代表選手でチームを強化したPSGだった。世間は「豪華なリクルートのかいがあり、まさかPSGが優勝?」と騒ぎ始めていたが、その際にテレビ解説をしていた元フランス代表のビセンテ・リザラズが、こう言ったことを覚えている。
「いや、PSGの攻勢は一時的だろう。リヨンが例年より力を落としているのは明らかだけど、リヨンの王座を本当に脅かせるのは、マルセイユかボルドーだと思う」

 予想は外れるためにある、と言われるが、今季に限っては専門家たちの予想は驚くほど当たった。3月7日まで2位を維持していたPSGは、15日にマルセイユに負けて3位に転落。それからレンヌ、中堅のオセールやバランシエンヌにまで敗れてずるずると順位を下げ、首位どころかヨーロッパリーグ(来季、UEFAカップより改編)出場権まで逃してしまうのである。

 反対に、15日のPSG戦の勝利で2位に躍り出たマルセイユは、モナコがリヨンを引き分けに押さえた31節に、ついに1位に浮上した。その翌週、ボルドーがリヨンを破って2位に上がり、1位のマルセイユと3位のリヨンの勝ち点差は4に。そしてこの時点で、もう1人の98年大会の世界チャンピオンから別の予言が出る。
「リヨンはこれから上位チームとの対決を控えており、反対にマルセイユ、特にボルドーは日程的にずっと有利。いまや、リヨンが優勝することは難しくなった」

 こう言ったのは、その1カ月後にマルセイユの監督に任命されることになるディディエ・デシャンだった。実際リヨンは、1位に4ポイント差をつけられた時点で、PSG、マルセイユ、トゥールーズとの試合を残していたのだが、現実は予言より酷だった。翌節のPSGに対する引き分けで優勝の可能性を断ち切られたリヨンは、続いて中堅のバランシエンヌに敗れ、完全に息の根を止められたのである。

 こうしてリヨンがタイトルレースから脱落し、マルセイユとボルドーの一騎打ちが始まる。マルセイユが1位に躍り出た後の数週間、国内は90年代にフランスを燃え上がらせたこの伝説のクラブが、16季ぶりの栄冠に輝くか、という話題でもちきりだった。一躍優勝候補と見られるようになったマルセイユの選手たちは36節のリヨン戦での勝利を誓い、ファンたちは早くも熱にうかされていた。

 しかしそんな間も、ボルドーは黙々と勝ち点を積み重ねていく。32節の時点で、首位マルセイユと2位ボルドーの勝ち点差は2だったが、34節にマルセイユが今季好調のトゥールーズと引き分けたため、勝ち点差は0に。36節のリヨン戦を控え、マルセイユに大きなプレッシャーがかかったのは、不可避なことだった。

 <続く>


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順位表 2009年5月30日現在
順位 チーム名 勝点
1 ボルドー 80
2 マルセイユ 77
3 リヨン 71
4 トゥールーズ 64
5 リール 64
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得点ランキング 2009年5月30日現在
順位 選手名 得点 試合
1 アンドレ・ピエール・ジニャック 24 38
2 ギョーム・オアラウ 17 33
2 カリム・ベンゼマ 17 36
4 イレネウシュ・イェレン 14 26
4 スティーヴ・サヴィダン 14 38
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