イタリアサッカーの失墜 (1/2)
チャンピオンズリーグ全滅の背景
■CL16強で全滅したイタリア勢
2008−09シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)は決勝トーナメント1回戦が終了し、7季ぶりにイタリア勢がベスト16で全滅した。一方で、昨シーズン4強に3チームを送り込んだイングランド勢は、今季も4チームが8強に駒を進めるという勝負強さを発揮している。今日、世界で最も重要なトーナメントであるCLにおいて、これ以上プレミアシップの優位性を示すものはないだろう。
インテル、ユベントス、ローマの敗退が決まると、イタリアのメディアや世論はすぐさま、その理由を求めて議論を交わし始めた。しかし、近年のセリエAで起こっている出来事や、各クラブが置かれている状況をかんがみれば、今回の結果は驚くべき事態ではなかったのだ。
05−06シーズンには、CLに出場したイタリアの4クラブのうち、3つが準々決勝に進出した(ユベントス、インテル、ミラン)。翌06−07シーズンは2チーム(ミラン、ローマ)、昨季はローマだけだった。そうした推移があり、今シーズンはついにゼロとなったのだ。
カップ戦にめっぽう強いミランは06−07シーズンにCL覇者となったが、UEFA(欧州サッカー連盟)の2つの大会における、イタリア勢の下降ぶりはここ数年顕著となっている。今季のUEFAカップでも、ウディネーゼが辛うじてラウンド16に残っているが、ミランですらすでにブレーメンの前に、ラウンド32で敗れ去っているのだ。
■“カルチョ・スキャンダル”の影響
ミランの副会長であるアドリアーノ・ガッリアーニは、“カルチョ”(イタリアサッカー)の現状をこう端的に説明する。
「われわれは地獄のふちにいる。イングランド・プレミアリーグとカルチョとの差は、彼らは各クラブがスタジアムを所有しているのに対し、われわれは違うということだ」
確かにガッリアーニの言うことは真実である。イタリアでは、各クラブのスタジアムは伝統的にコミュニティーのものであり、例えばミランとインテルの本拠地であるスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ(サンシーロ)は、ミラノ市が所有している(かつてミランが所有していた時代もある)。老朽化の進んだスタジアムが多いが、自治体の許可なしには建て替えることもできない。チケット収入も限られ、マーケティングの側面において、イタリアはヨーロッパでも独自の路線を貫いているのだ。
加えて、05−06シーズン終盤に起こった“カルチョ・スキャンダル”によって、イタリアサッカーの信用は地に落ちた。ユベントスの元ゼネラル・マネジャー(GM)、ルチアーノ・モッジを中心に行なわれた審判買収などの不正事件の余波で、06−07シーズンのセリエ開幕はずれ込んだ。セリエB降格を余儀なくされたユベントスをはじめ、ミラン、フィオレンティーナなどもポイント減点のペナルティーを科されてシーズンをスタートするなど、各クラブに打撃を与えた。それでもミランは、予備戦3回戦からCLを勝ち進み、欧州チャンピオンにまでたどり着いたのだった。
“モッジゲート”とも呼ばれた一大スキャンダルは、クラブ間の均衡にも影響を与えた。降格したユベントスからは、ズラタン・イブラヒモビッチがインテルへ移籍するなど主力が流出。ユベントスの優勝がはく奪され、インテルにスクデット(セリエA優勝)が渡った05−06シーズン以後、インテルが3連覇を成し遂げており、今季も首位を走っている。ここ数シーズン、インテルにある程度対抗できたのは、同じく不正に関与していなかったローマだけである。
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