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小澤一郎 スポーツナビ

バルセロナが挑んだ3−4−3(1/3)


2007年04月06日

3−4−3システム採用の鍵になったのは国王杯のサラゴサ戦での成功だった 3−4−3システム採用の鍵になったのは国王杯のサラゴサ戦での成功だった【 (C)Getty Images/AFLO 】
 バルセロナにとっては、2月28日の国王杯のサラゴサ戦から始まり、セビージャ、リバプール、レアル・マドリーとのクラシコまで続いた11日間はシーズンを占う大一番がめじろ押しだった。この4連戦で、結果同様に注目を浴びたのが、バルセロナのライカールト監督が採用した3−4−3のシステムだった。最近のレクアレティボ戦、デポルティボ戦では、4−3−3に戻して本来の力を発揮。その結果、快勝しているだけに、今後しばらくは3−4−3は封印されると予想されるが、ここではあらためてバルセロナが挑んだ3−4−3システムでの戦いについて考えてみたい。

■ライカールトが3−4−3を使った本当の理由

サラゴサ戦のバルセロナの布陣 サラゴサ戦のバルセロナの布陣【 (C)Ichiro Ozawa 】
 ライカールト監督が3−4−3を初めて使ったのは、2月28日の国王杯、サラゴサとの第2戦だった。ホームの第1戦を0−1で落とし、第2戦は2点を奪っての勝利が必要な状況だったために、この攻撃的なシステムを思い切って使ってきた。3−4−3をライカールト監督に進言したのはエウゼビオコーチで、彼はクライフ率いる“ドリームチーム”で7年間プレーし、3−4−3システムを知り尽くす人間の1人だ。エウゼビオコーチはこのシステム採用について、「試合前日の非公開練習でのテストでうまくいくという確証を得た」と、直前のテストが決め手となったことを明かした。
 たった1回の練習で手応えがつかめるのかどうか理解に苦しむが、結果としてこの策は成功した。エウゼビオコーチ、ライカールト監督の思惑通りの展開でバルセロナが2−1で勝利し、国王杯で天敵だったサラゴサを破りベスト4に進出する。特に前半は見事に機能し、ホームのサラゴサを寄せ付けない圧倒的なサッカーで前半30分までに2点を奪った。

 ライカールト監督が採用した3−4−3システムの特徴は、これまで非常時以外は中盤で同時起用できなかったシャビ、イニエスタ、デコの3人を中盤で使えたことにあった。4−3−3では、守備のバランスを取るために中盤の底にエジミウソン、モッタ、マルケスらを入れる必要性に迫られていた。このため世界でも指折りのMF3人を同時起用できず、調子の良いイニエスタを右ウイングに入れるなど、選手起用で工夫していた。しかし、中盤が4枚になるこのシステムではマルケスを底に、彼ら3人を無理なく並べることができるのである。

 ただ私は、ライカールト監督が3−4−3を選択したのは、3人を同時起用するためではなく、むしろこれまで使ってきた4−3−3システムに対する疑問や、ドラスティックな変化を求める気持ちからの選択であったと予想する。そもそも、守備面の不安に目をつぶれば、シャビ、イニエスタ、デコの3人を4−3−3の中盤に並べることは可能であり、実際にレクレアティボ戦(3月17日)ではイニエスタを中盤の底に、シャビとデコを前に並べる布陣を敷いている。サラゴサ戦後の「相手にサプライズを与えたかった」というライカールト監督のコメントを聞く限り、少なくともチームに変化をつけたかったのは確か。バレンシア戦(2月18日)やリバプールとの欧州チャンピオンズリーグ第1戦(2月21日)のように、今シーズンは対戦相手がバルセロナ対策を徹底しているために、苦しいシーズンとなっているが、この大事な2戦に連敗したことが決定打となったのだろう。
 ライカールト監督にとって一番手っ取り早く変化をつけられるのが、システムだったということだ。

<続く>


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