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ホンマヨシカ
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ユベントスの内なる戦い(1/2) ホンマヨシカの「セリエA・未来派宣言」
2007年06月28日
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■顕著な求心力の低下
スキャンダルによる降格から1年。ユベントスがセリエAに帰ってくる【 (C)Getty Images/AFLO 】
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現在進行中のカルチョ・メルカート(移籍マーケット)で、最も活発な動きを見せているのはセリエA復帰を決めたユベントスだ。ユーベはシーズン途中でほぼセリエA昇格を決めていたこともあり、非常に早い時期からメルカートで動いていた。ただし最初の動きは選手獲得よりも、手持ちの主力選手の放出をいかに阻止するかだった。
セリエBでの屈辱のシーズンが始まる前から移籍を望んでいたカモラネージやトレゼゲについては、シーズン中も移籍に関する話題が出ていた。しかし彼らだけではなく、ユーベのシンボル的存在の1人であるブッフォンからも、状況次第では移籍を望むという発言が聞こえてきた。 状況次第というのは、スクデット(セリエA優勝)を争えるような来シーズンの補強をユーベができるかどうかという意味だ。しかしブッフォンの発言は、それと同時に契約金の見直しをクラブに強いている側面もあった。結局ユーベが納得する条件を提示したようで、ブッフォンは来シーズンもユーベに留まることを決意した。
ユーベに関する一連の出来事を見ていると感じることがある。それは昨シーズン終了間際にサッカースキャンダル(モッジ元GMらによる審判買収などの不正行為)が発覚して以降、ユーベに存在していた選手を引き留める求心力が失われてきていることだ。これまでユーベの内部から選手の不満が外部に噴出することはあまりなかったが、最近は頻繁に表れるようになってきた。 これはおかしな話だが、モッジがユーベから去ったことにもよる。スキャンダルの首謀者であるモッジはユーベに対し、物質面・精神面の両面において確かに莫大(ばくだい)な損害を与えたが、しかし彼の選手(だけではなく審判に対してもだが)を懐柔する能力は飛び抜けていて、常に選手の不満を外部に出ないようにうまく処理をしていた。
モッジが役員に就任する以前のユーベもそうだった。フィアットの会長だったジャンニ・アニエッリや弟のウンベルト・アニエッリが存命中は、選手たちは声を掛けてもらえるだけで光栄と思ったものだし、当時ユーベの会長をしていた元ユーベのスター選手ジャンピエロ・ボニペルティも一目を置かれていた。 イタリアが優勝した1982年ワールドカップ・スペイン大会後に、パオロ・ロッシかタルデッリが、世界チャンピオンになったのだから契約金のアップをしてほしいとボニペルティに直談判したことがあったが、「それなら君を試合で起用しない」と一蹴され、すぐに契約金アップの要求を撤回したという。ユーベの選手たちは常にクラブに対して忠実だったし、選手それぞれがエリート意識を持っていた。
昔はクラブが選手を社員として使うという当たり前の関係が両者にあったのだが、最近はそれが逆になり、クラブが選手(というよりも選手のマネージャーに)に振り回されるケースが多い。彼らの存在を否定するわけではないが、拝金主義のマネージャーが大手を振って活動するようになるに従い、クラブに対する選手の忠誠心は薄れていったと言えるだろう。 歴史に残る大スターでありながら、カリアリという地方のクラブに愛着を持ち、ビッグクラブへの移籍を拒み続けて選手生命を終えたジジ・リーバのような男のロマンを感じさせる生き方を、現代のサッカー選手に求めることはもう無理なのかもしれない。
■新監督にラニエリを選択
さて話をユーベの補強に戻そう。ユーベの補強のスタートは監督の交代からだった。フランス人監督のデシャンに代えて、昨季途中からパルマの指揮を執り、見事セリエA残留に導いたクラウディオ・ラニエリを新監督に迎えた。
個人的な意見を述べさせてもらうと、9ポイントのハンディを背負っていながらシーズン半ばには独走態勢に入り、セリエA昇格に導いたデシャンには、セリエAでの監督のチャンスを与えるべきだった。しかし就任当初からユーベ首脳陣のデシャンに対する信頼は薄く、シーズン中にデシャンに対する批判や来シーズンの去就についてネガティブな報道が流れた時も、ユーベ首脳陣は建前として擁護しているだけだった。
ただし、後任監督としてラニエリを選んだのは正しい選択だ。紳士的で人当たりが良く、クラブ首脳陣や選手、それにマスコミとの応対も巧みにこなす。ラニエリはスクデットではなく、まずは4位以内(チャンピオンズリーグ出場圏内)に入ることを目標に掲げる、ユーベにふさわしい監督だと思う。 ラニエリに問題が生じるとすれば、それは前任者のデシャンの時と同じように、首脳陣がどこまで彼を信頼し、マスコミからの批判の防波堤になってくれるかだろう。ユーベはスキャンダルの首謀者たちを追い出し、体制を一新したのは良いのだが、選手とマスコミ、もしくは選手と首脳陣の間をうまく取り持つことのできるスタッフがいない。この件に関してもモッジの存在は大きかった。
<続く>
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