sportsnavi.com
ジャンルタブ
  トップページ > サッカー > FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2006 > コラム・会見
TOYOTAプレゼンツ FIFAクラブワールドカップジャパン2006 Yahoo!スポーツ
宇都宮徹壱 スポーツナビ

クラブW杯の将来像を考える(1/3)
決勝戦 インテルナシオナル対バルセロナ

2006年12月18日

アルアハリは、昨年最下位の屈辱を晴らし3位入賞。1年間の成長の証を見せた
アルアハリは、昨年最下位の屈辱を晴らし3位入賞。1年間の成長の証を見せた【 (C)AGENCIA FUTPRESS 】

■前回大会の屈辱を晴らしたアルアハリ

 決勝の舞台、横浜国際総合競技場。この日はここで16時20分からアルアハリ対クラブアメリカによる3位決定戦が、そして19時20分からはインテルナシオナル(インテル)対FCバルセロナの決勝が行われた。天候は晴れ。気温もそれほど寒くはない。2試合ハシゴする者にとっては、実にありがたいことである。

 思えば、豊田スタジアムで大会が始まったのが先週の日曜日。ずいぶんと濃密な1週間だったような気がする。メディアとファンの視線がバルセロナに集中し、ほとんどバルセロナを中心にすべてが回っているかのような今大会。しかし私自身は、タイトルの行方よりも、むしろこのFIFAクラブワールドカップ(以下、クラブW杯)が、今後どのような形で継続・発展すべきかについて、誰に頼まれたわけでもないのに、あれこれ思案する日々が続いた。それだけ私は、この大会への存在意義というものを認めているし、同時に、現状のままではいずれ破たんを来すという危機感もおぼろげながら抱いている。

 前々回のコラムで予告しておいた通り、今回は私が考える「クラブW杯の将来像」のアイデアを披露するが、その前に横浜で行われた2試合について言及しておきたい。

 まずはアフリカ王者対北中米カリブ王者による3位決定戦。実力伯仲のゲームは、前半42分、アブータリカがFKを直接決めてアルアハリが先制する。しかしクラブアメリカも後半14分、途中出場のブランコによるクロスからカバニャスがヘディングシュートを決めて1−1と追いつく。決着がついたのは、それから20分後の後半34分。中央をドリブルで駆け上がったアブータリカが、フラビオとのワンツーを挟んで右足を一閃。これが決勝点となり、アルアハリが見事、クラブ世界3位の座を射止めた。

「(今大会では)本当のアルアハリを皆さんに見せたかった。(中略)今日の勝利はアルアハリのファン、エジプト、そしてアフリカサッカーにささげたい」

 試合後のアルアハリのジョゼ監督の言葉からは、いかに彼らが今大会を重視してきたか、そして、どれだけそこに自らの誇りを賭してきたかが、痛いくらいに感じられる。参加6チーム中、唯一の連続出場であるアルアハリ。前回大会で最下位に終わったこともあるだろうが、それでも彼らが、このクラブW杯を最大の目標とし、1年間の成長の証しとしていることに、私はこの大会の存在意義の一端を見る思いがする。

■スペースを封じられたバルセロナ

 決勝は昨年同様、南米対欧州の対決となった。
 戦力でも、人気でも、知名度でも、大きなアドバンテージを持つバルセロナは、まさにインテルサポーター以外のすべての観客から祝福されるような存在。「世界一になるのはバルセロナ」――そんな予定調和の空気が、6万7128人の観客が詰め掛けた横浜のスタンドを包み込んでいた。一方、南米王者のインテルは、戦前はクラブアメリカに代わる生贄(いけにえ)の羊のような存在にしか映らない。確かに、準決勝ではアルアハリに2−1で辛勝し、終了のホイッスルとともに選手全員が感極まって抱擁していた姿には、およそ南米王者としての威厳というものは見当たらなかった。

 試合が始まると、やはりバルセロナの優位は明らかであった。特に、FWのジウリーとサイドバックのザンブロッタによる右サイドは、完全にバルセロナの独断場。ここを起点に何度もチャンスを作り、前半はロナウジーニョが5本、グジョンセンが3本ものシュートを放つのだが、なぜかインテルのネットを揺らすには至らない。
 最初、バルセロナの余裕がそうさせているのかと思ったのだが、どうもインテルのディフェンスが想像以上にきついようだ。もともとブラジル南部、ポルトアレグレのクラブの特性として、インテルのサッカーはテクニック重視のブラジルの中でも異端的な、パワースタイルの傾向が強いと言われる。そんな彼らが、全員が懸命に走りながらプレッシングをかけ続け、愚直なまでにバルセロナのスペースをつぶしまくるのである。こうなるとバルセロナも、クラブアメリカ戦のような好き勝手をさせてはもらえない。

 そうこうするうちに、後半はインテルも10番イアルレイを中心にたびたびカウンターを仕掛け、逆にバルセロナの守備陣を慌てさせるようなシーンを何度か作るようになる。そしてスコアレスのまま迎えた後半37分。ついにこの試合唯一のゴールが生まれる。
 インテルのカウンターから前線でボールを持ったイアルレイが、プジョルの寄せを振り切り、ペナルティーエリア左へスルーパス。これに途中交代のアドリアーノが飛び込んで、右足アウトサイドでGKバルデスの守るバルセロナのゴールを陥れる。
 その昔、トヨタカップの中継で、とある解説者がゴールシーンの際に「うわあ!」と叫んだことがあったそうな。このバルセロナの失点も、スタジアムで、そしてテレビの前で、多くのサッカーファンが「うわあ!」と思ったのではないだろうか。結局、このインテルの乾坤一擲(けんこんいってき)のゴールが決勝点となり、昨年のサンパウロFCに続いて、ブラジルのクラブがクラブ世界一に輝くこととなった。

<続く>


◆前後のページ |

【関連リンク】
ライカールト監督(バルセロナ) 決勝戦後会見 06/12/17
ブラガ監督(インテルナシオナル) 決勝戦後会見 06/12/17
ジョゼ監督(アルアハリ) 3位決定戦後会見 06/12/17
 
 
コラム一覧 コラム一覧 このページのトップへ

Copyright (c) 2012 Y's Sports Inc. All Rights Reserved.