中竹竜二氏が語る「世界で勝つために」必要なこと (2/2)
■一貫性のある「世界一のコーチング」を目指す
では、具体的に世界で勝っていくためにどうしたら良いのか。いま3つの柱を立てています。ひとつは優秀な人材を発掘していくこと。タレント発掘マネジメントです。他の競技をやっていた選手も含めて探しています。
そして、指導者育成。これは私が統括している分野です。あとはプログラム開発。プログラムとは大会を組むこともそうですし、合宿の時にどんなコンテンツ、指導マニュアルを持つかなども含まれます。
今年の2月にラグビー日本代表に関わる世代ごとの監督が一堂に会しました。私はこれが一貫性のコーチングのある意味、始まりかなと思っています。この話をフットボール学会でした時に、すごく反応してきた各国の方々が多かったです。私はずっとやりたいと思っていて、他の国はもうやっているだろうと思っていたんですが、サッカーもラグビーでも意外とやられていませんでした。代表のカテゴリーが変わると、方針もすり合わせていないところが多いわけです。これを毎年続けていって、高校生やU−20、代表の合宿などで集まっていきたいと思っています。
日本はどうあるべきかと考えた時に、日本の特性を生かして低いタックルは捨ててはいけないと思います。かといって飛び込むタックルはせず、2人目はボールに絡むなど使い分けができるように。相手より走り切るスピード、抜くスピード。セットプレー。ショートラインアウトなど日本の独自性を生かす使う……。そして、2019年に勝って喜んでる姿をイメージしていかないとモチベーションが続かないと思います。勝利につながることをこれからやっていきたいと考えています。
選手に任せるのではなくて、世界一のコーチング。世界レベルの構造化ができて、コミュニケーション能力に長けたコーチをたくさんつくって彼らにやっていただきます。
時間はかかりますけど、燃え上がるような組織体にならないといけないわけです。ラグビーファミリー全体として協会とか選手だけでなく、ファンの方々を含めて一体となってやっていくことが19年の成功につながると思っています。
■コーチが「振り返る時間がない」と言うなら、練習を減らせばいい
以下は質疑応答。
――今回話していただいた構造化などの話は、IRBの資格を取得したという話もありましたが、どのように学ばれたのでしょうか?
今の仕事の前に早稲田大学の監督をやったんですけど、その前はラグビーの世界にいなくて、コンサルティングの仕事をしていました。その前にも留学をして、物事の視点をどう変えて見るかという社会学をやっていました。そういう意味では構造化することや、違う視点で物事を整理していくことは私がずっと専門にしてきたことで、この構造化とか仕組みを作っていくことに関してはIRBよりちょっと上にいってるかなと思います(笑)。
――一貫性のあるコーチングでチームごとの特色がなくなってしまわないでしょうか?
素晴らしい質問だと思います。一貫性とは同じことをやれということではありません。やり方や考え方の一貫性だと思っています。どんなふうにコーチングをしていくかということに一貫性が必要だと思っています。接近プレーをやれというのは接近プレーというものを押しつけているんですが、相手を抜くためにいろいろな選択肢を考えて、自分たちで判断させるようなコーチングをしましょうと。そのひとつに接近プレーがあり、突進があり、パスで抜くことがあると。
答えがあるわけではなくて、答えを考えられる人を育てなくてはいけない。方針として一貫性を保つことが我々のやるべきことだと考えています。
――こうした講演やセミナーをもっと増やせますか?
コーチの育成では研修をやっていますが、時期が限られています。内部では少しずつ増やしているんですが、日本にコーチが学ぶ文化がないんです。シーズンが終わった時に自身のコーチングがどうだったかと振り返るぐらい。僕自身、ド素人で監督をやったのでどうやって学ぼうかなと思っても清宮さんのビデオを見るしかなかったですから(笑)。
学ぶ場を作っていくことが大事だと思っています。若い世代を教える先生たちに言うのは練習を減らしてくださいと。「プロじゃなくて、毎日練習しているからプランニングやレビューはできない」と言われます。だったら練習を減らして一週間に一回でもスタッフがじっくり考える日にして、選手はウェイトをやるか、一緒に考えてもいい。
ユース世代がスコットランドに勝ちましたが、当然だと思っています。ユース世代で世界で一番練習しているのは日本です。毎日練習して週末も練習している。こんな国はほかにありません。それでも世界で一番強くなれてないのは練習効率が悪いからです。忙しいと言うなら練習を減らして準備して振り返って考える、考えさせる時間をつくってくださいと言っています。
<了>
■中竹氏に聞く「あなたにとってラグビーとは?」
「たくさんあるスポーツの中でいろいろいな人が活躍できるスポーツのひとつ。僕みたいなポテンシャルのない人間に活躍の場を与えてくれたスポーツだと思います。
逆に、僕はラグビーそのものへの思い入れはないんです。だからこそ客観的にラグビーの未開発の部分を冷静に見られるのかなと。僕自身はラグビーという競技に感謝しています。僕という人間が“活きる場”を与えてくれたスポーツだと思います」
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