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ピッチャー・小宮山悟に聞く「水分摂取」の意味
第1回:水への意識と考え方

2006年05月15日
投げる精密機械の異名を持ち、プロ野球界きっての“知性派”と言われる小宮山悟投手(千葉ロッテマリーンズ)。40歳を越えた現在も現役選手として活躍を続ける小宮山選手にとって「水分摂取」はどのような意味を持ち、また、それをどうとらえているのか。小宮山選手を支える“水の力”とは?

(文・インタビュー:田中夕子)


試合中は吸収力を重視してスポーツドリンクを愛飲

プロ野球界きっての“知性派”小宮山悟選手にとって、「水分補給」の持つ意味とは?
プロ野球界きっての“知性派”小宮山悟選手にとって、「水分補給」の持つ意味とは?【 Takamoto Tokuhara 】
――テレビの野球中継では、ベンチで水分摂取をしている映像がよく見られますが、実際に試合中には何を飲んでいるのでしょうか?

 スポーツドリンクです。水やスポーツドリンクが置いてあって、ありとあらゆるものを個人で自由にチョイスして飲めるようになっているので、吸収力のいいものを選んで飲むようにしています。

――1回に飲む量というのはどれくらいなのでしょうか?

 特に量は決まっていません。「欲しい」と思う量を飲みますね。このまま飲まずにいけるかなと思っても、必ず口に含みます。口に含んだ段階で「いらない」と思えば湿らす程度で済ませるし、そのときの状況によって違いますね。足りなくなったときには手遅れなので、のどが渇いたというサインが送られることがないように、普段から積極的に飲むようにしています。

――季節によっての違いはありますか?

 特にないですね。球場による違いもない。ドームだからといって、発汗量に違いはありません。どのくらい汗をかくかというのは自分では予測できないですから。汗をかいた分をきちんと補給できているかどうかでパフォーマンスに影響が出てきます。間違っても水分が足りないという状況にならないということだけ気をつけています。


「水を飲むな」から「水を飲め」へ変化

 
 【 Takamoto Tokuhara 】
――浸透圧まで考えて、吸収スピードが速いものを選んでいるそうですね

 もちろんです。体に良いとされるものを使って当然だと思っています。中学、高校生の頃は「水を飲むな」という教育を受けていました。なぜいけないのかは分からないけれど、それがルールだという流れがありましたね。
 それが早稲田大学に入ってから「水を飲め」と、今までとまるで違うやり方に変わると同時に「なぜ水を飲まなければいけないのか」という説明も受けました。必要最低限の補給をしなければならないという教育を受けているので、プロに入ってからも同じような考え方に基づいてここまできていますね。

――確かに昔は「飲んじゃダメ」ということが多かったように思いますね

 なぜダメなのかという理由はないから、多少いじめのような感もありますよね。飲まずに我慢できないようでは、この先のしんどい大会に勝てないよという部分も多少あるかもしれないし。
 大学時代は上下関係が厳しかったけれど、野球選手としてこうしなければいけないということをきちんと教育してもらったし、必要なものとそうでないものをきちんと自分で判断できるような環境だったのはとてもありがたかったですね。1〜2歩先に進んでいたのかもしれない。
 世の中が水分補給ということにフォーカスを当ててきたのはここ数年のこと。これから先、さらにスポーツ科学が進んで、ありとあらゆることが研究されるでしょうから、アスリートとしてはさらなる進化に期待しています。


アスリートとして持つべき知識と意識

――大学時代からスポーツドリンクを愛飲されていたそうですが、最近は多機能をうたうドリンクも増えています。興味はありますか?

 ありますね。何がこういう機能でというのも理解しているつもりですし、ロッテには栄養士がいて、状況に合わせた説明も含め、食堂にポスターを貼って各選手に対して情報を提供してくれています。本人がどう感じ取るかで状況は変わってくると思いますが、アスリートとして必要最低限のことは分かっていなければいけないという雰囲気になってきていると思います。

――チーム全体の意識が高くなってきたということでしょうか?

 チームにコンディショニング担当者が入るようになって、彼らがいろいろなところから情報を得て、「より良いアスリートになるために何が必要か」ということをフィードバックしてくれます。僕がプロに入った頃と比べると、非常にプロらしい集団になってきたと思います。
 プロと名のつくスポーツですから、日本のトップを行かなければならないはずなのですが、残念ながらまだそういう状況ではない。野球よりサッカーの方が進んでいるかもしれないし、サッカーよりもアマチュア主流でやっているオリンピックチームのほうが進んでいる感があるので、「プロ」と名のつくところが先頭を切っていけるように何とかやっていきたいと思いますね。

――野球にはいわゆる「武勇伝」のように、大酒を飲んでも試合では活躍する、というイメージがありますが、実際はいかがでしょうか?

 特に昔はそれを美談とまではいかないけれど、面白おかしくメディアが取り上げた部分もあったのではないでしょうか。でも実際には、豪快とされていた人たちもお酒を飲みに行っているふりをして、実は部屋でバットスイングをしていたという話も聞きます。お酒を飲む、飲まないというのはその人の習慣であり、お酒が好きという嗜好(しこう)です。だからそこが問題なのではなくて、要はユニホームを着たときにどこまでできるかということが一番重要。そのために「自分は何ができるか」を各自が考えるような風潮になってきているのではないでしょうか。

<第2回へ続く>

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小宮山悟
小宮山悟(KOMIYAMA SATORU )
名門・早稲田大学へ2年の浪人を経て入学。すぐに頭角を現しエースへと登りつめる。 1989年ドラフト1位でロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)入団。1年目からローテーション入りし、10年間ロッテのエースとして君臨してきた。2000年横浜ベイスターズに移籍。2002年、夢だったメジャーリーグに挑戦。バレンタイン監督率いるニューヨークメッツに入団。1年間ではあったが、ほかの人には体験できない貴重なものを日本に持ち帰ってきた。2003年、1年間の現役評論家としてトレーニングを続けながら浪人生活を送る。翌年、バレンタインの日本球界復帰とともに、千葉ロッテマリーンズに復帰。新球「シェイク」など、常に向上心を持ち続ける姿は、ロッテ投手陣の精神的支柱としても期待される。

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