コラム

バレー全日本女子、最終戦で厳しい逆転負け
北京五輪最終予選 セルビア戦

2008年05月25日


最終戦で初黒星を喫した全日本女子。五輪切符と新たな課題を得て、8月の五輪本番へと向かう

最終戦で初黒星を喫した全日本女子。五輪切符と新たな課題を得て、8月の五輪本番へと向かう 【 坂本清 】


 バレーボール女子の北京五輪最終予選最終日が25日、東京体育館で行われ、日本はセルビアに2−3(25−19、25−21、19−25、19−25、17−19)で逆転負けを喫し、通算6勝1敗の3位で大会を終えた。3チームが6勝1敗で並んだが、得点率、セット率により、ポーランドが全体1位、セルビアが2位となった。8チーム総当りのリーグ戦で争われる今大会は、アジア予選を兼ねるため「最上位、およびアジア圏から参加の最上位、この両国を除く他の上位2位の計4チームに五輪出場権が与えられる」と発表されていたが、25日付けで国際バレーボール連盟より「大会全体の上位3チームと、これを除いたアジアの最上位チームが北京五輪の切符を手にする」と規約の一部変更が通達され、全体4位のドミニカ共和国ではなく、全体の3位以内に入った日本を除くアジア最上位のカザフスタン(全体5位)が日本、セルビア、ポーランドに続いて予選突破を果たし、初の五輪出場を決めた。


■手痛い1敗に意気消沈


セルビアブロックが日本の攻撃を阻んだ

セルビアブロックが日本の攻撃を阻んだ 【 坂本清 】

 柳本晶一監督は「勝ちに行って負けた。この結果がすべて」と肩を落とした。すでに五輪出場を決めている国同士の対決で、北京を見据えた一戦となっただけに、セットカウント2−0からの敗戦はショックが大きかった。対照的にセルビアのゾラン・テルジッチ監督は「日本はいつものように最初の2セットは良かったし、良いサーブを打たれると、崩すのが非常に難しいチーム。日本のようにスピードのあるチームには慣れるために時間がかかる。今日は慣れてからわれわれのブロックが良くなった。日本が新しい戦術を取り入れたことも感じたが、前回戦った昨秋のワールドカップの時の方が、カウンターアタック(サーブからではなく守備からの攻撃)は速かったと思う。次は(失セットを)2セット以下に抑えることができるかもしれない。3セットから何かを特別に変えたわけではない」と、逆転勝利にある程度の自信があったことをほのめかした。第1、2セットは、日本がサービスエースで得点を挙げるなど好調だったが、第3セット以降はブロックに捕まる場面が目立った。特に、移動攻撃とバックアタックがブロックをかわし切れなくなると、日本は手詰まりに陥った。主将の竹下佳江は「五輪出場を決めてからの2戦は『?』が付くプレーがたくさんあった。そういう時こそ自分が皆に与えられる影響があるんじゃないかと思う」と、悪循環を止められなかった悔しさを隠さなかった。


■柳本監督、五輪に向け課題指摘「サーブが非力過ぎる」


 五輪でどのようにメダルを狙うのか。北京では強国を接戦へと引きずり込まなければならないが、そこで競り負けては意味がない。柳本監督は「チームの完成度を上げなくてはいけないし、一方で崩された時のパターンがあまりにも少ないという部分もある。あとは個人技。サーブはもう少し強くしないと。非力過ぎるかなと思う。ブロックは強化の成果が出てきている。チームプレーも大事だが、最後は個人で1本(1点)を切り抜ける技術を磨くことも大事」と、最たる課題としてサーブの強化を挙げた。北京を前に、6〜7月にはワールドグランプリも控えている。残された時間は決して多くなく、改善は急務だ。2枚セッター制の可能性を含め、五輪に向けたメンバー交代については「3月にすべての候補選手を挙げているが、チームの事情もある。ここで話すのは難しいが、出していただければチャンスはある」と可能性は否定しなかった。
 五輪の切符を無事に獲得した一方で、最終戦では五輪に向けた課題も浮き彫りになった柳本ジャパン。持ち帰ったテーマを8月までにどれだけ消化できるか。メダル獲得を成し遂げるためには、まだ壁を越えていかなければならない。


■戦評


懸命にボールを拾うリベロの佐野

懸命にボールを拾うリベロの佐野 【 坂本清 】

<第1セット>

 日本は高橋のサーブから試合のペースをつかむ。栗原恵がレフトから中央の荒木絵里香へトスを上げる珍しい場面などもありながら、日本が4連続得点を挙げて7−3とリードする。サーブでエレーナ・ニコリッチを狙い、相手の攻撃力をそぐ。センターラインがネット上の押し合いで負けるシーンはあるが、全体的に日本のペース。高橋、栗原、木村がサービスエースを生むなど攻勢。また、杉山祥子がスピード感あふれる移動攻撃やタイミングの良いブロックで活躍。さらに杉山をおとりに時間差攻撃で木村沙織がスパイクを決めていく。セルビアは、ヨバナ・ベーソビッチのスパイクで対抗。終盤にはエースのニコリッチが存在感を示したが、サーブミスなどもあって点差を縮めることはできなかった。25−19で日本がセット先取。

<第2セット>

 セルビアは、ナターシャ・クルスマノビッチのブロードを中心に攻撃を仕掛けていく。サーブでは木村を狙う。しかし、エースのニコリッチは、日本のブロックに阻まれる。一方の日本は高橋がレフトからストレート、クロスへと鋭いスパイクを打ち分けていく。前半、日本は1〜3点のリードで試合を進めたが、中盤に入ると荒木がブロックにつかまり始め、さらにヨバナ・ブラコチェビッチが放つ強烈なスパイクを止めきれず、15−15で追い付かれる。日本はベスナ・ツィタコビッチの速攻を止めた杉山が、素早い切り替えで移動攻撃を決めるなどし、再びリードを奪う。セルビアは、第1セットからブロックのワンタッチを奪ったはずのスパイクがノータッチと判断される場面が続き、ツィタコビッチが主審に抗議するシーンも。終盤、セルビアはニコリッチが意地を見せるかのように強烈なスパイクを決め続けたが、セットポイントをつかんだ日本はワンポイントブロッカーの大村加奈子を投入。最後は大村がニコリッチをピシャリと止めて、25−21で日本がセットを連取した。

<第3セット>

 序盤、セルビアも2本連続のサーブミスなどでリズムをつかむことができない。しかし、日本も攻撃の歯車が狂ってしまい、スパイクを決めきれない。守備で粘ったセルビアが、ベーソビッチのレフト攻撃を中心に4点をリードする。日本は高橋や木村のスパイクで1点差まで追いすがるが、次第にブロックに捕まり始め、12−17と突き放される。セット後半は、得点が行き交う展開となったが、日本は差を縮めることができない。17−20から3連続ポイントを奪われるなど、苦境に立たされ、最後はニコリッチにレフトから強烈なスパイクをたたき込まれて19−25でこのセットを失った。


チーム最多得点を稼いだ荒木

チーム最多得点を稼いだ荒木 【 坂本清 】

<第4セット>

 セット序盤、セルビアがニコリッチのスパイクなどで3点をリードするが、日本は荒木の移動攻撃などで7−7に追い付く。日本は、高橋、栗原を中心に攻撃を組み立てるが、次第にブロックに捕まる場面が増えていく。さらにバックアタックも決めきれない。一方で、セルビアは要所でニコリッチがきっちりとスパイクを決め、じりじりとリードを奪っていく。日本は、13−15で高橋に代えて桜井由香を投入。さらに13−18、14−20でそれぞれタイムアウトを取るが、なかなか流れを止められない。杉山、木村が時折鋭いスパイクを決めるが、サービスエースでセットポイントを奪われ、最後はツィタコビッチの冷静なフェイントが決まり、19−25。日本は2−0から2セットを続けて失う嫌な展開でファイナルセットに突入。

<第5セット>

 悪い流れを止めるのは容易ではなく、日本は出だしでつまずく。しかし、1−4と早々にリードを奪われてタイムアウトを取ると、3−6から相手のミスにも助けられ、6−6で追い付く。すると、今度はセルビアがタイムアウトを取り、7−7から7−10と再び3点差を奪っていく。日本は栗原のバックアタックが3枚ブロックでシャットアウトされるなど苦しい展開。しかし、9−12の場面から荒木が大活躍を見せる。速攻、ブロック、ネット上の押し合いを次々と決めて12−12。場内はがぜん、大「ニッポン」コールに埋め尽くされる。セルビアにマッチポイントを握られた13−14の場面で荒木が速攻を決めると、割れんばかりの「エリカ!」コールが響き渡った。ジュースにもつれ込んでも、セルビアがリードする展開が止まらないが、大歓声にプレッシャーを感じたのかセルビアは14−15の場面からサーブを3本連続で失敗。しかし、17−17からニコリッチがスパイクを決めると、最後は高橋のレフトからのスパイクがブロックされ、17−19。セルビアが死闘を制し、日本はセットカウント2−0からの痛い逆転負けを喫した。

<了>

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