コラム
100背の古賀が金メダル「夢で見たような結果」=世界水泳
入江はメダルに届かず4位
“競泳ニッポン”に新たなスターが誕生した――水泳の世界選手権(イタリア・ローマ)は現地時間の28日、競泳男子100メートル背泳ぎの決勝が行われ、古賀淳也(スウィン埼玉)が52秒26の日本新記録で優勝した。古賀は、今大会の日本勢メダル第1号。世界選手権の競泳での金メダル獲得は、北島康介(日本コカ・コーラ)以来2人目の快挙となった。同じく決勝に進出した入江陵介(近大)は、52秒73で惜しくも4位に終わった。
■「表彰台の一番上は自分」とイメージ作り
「不思議な感じ。夢で見たような結果が目の前にある」
レース直後の古賀は、金メダルという現実をまだ信じられないでいた。決勝のレースは、まさに理想的な展開だった。前半スタートの浮き上がりから先頭に立つと、そのまま50メートルを25秒36のトップでターン。「リードを縮められないように」とターン直後のバサロキックは、前日の11回から12回に増やした。この戦略が功を奏し、最後までリードを守って1位でゴール。前日まで不調が続いた、日本代表の悪い流れを吹き飛ばすような完勝劇だった。
スタート前から勝利へのシナリオはできていた。「表彰台の一番上に乗るのは自分」と最高のイメージを作った。さらに、空手で鍛えた精神面が大きな支えになった。「気持ちが高ぶるのを抑えて、内なる闘志をそのままぶつけた」。またゴール直後には、「一緒に競う相手であって、周りに不快な思いはさせたくないので」と派手なパフォーマンスは控えた。ここにも武道の精神が生かされていた。
■五輪代表落選の挫折を乗り越えて
金メダル獲得までの道のりは、決して平たんではなかった。昨年の北京五輪は代表選考会の100メートルで4位に終わり落選。その後、髪を染め、耳にピアスを開けるなど、本人いわく「横道にそれた」。だが、「仲の良い陵介が五輪で活躍しているのを見て、対等になりたい、ライバルとして張り合っていきたいと思った」と一念発起。年明けからは、自らを厳しく追い込み、「去年と比べものにならないぐらい練習した」。その結果、今年4月の日本選手権では入江を抑え、50メートルと100メートルの2冠を獲得。2種目で世界選手権代表の座を勝ち取った。
「持っているポテンシャルが高い。抜群の瞬発力に、今はちょっとした泳ぎ方を覚え、持久力もついた。神経質なところはあるが、(勢いに)乗せれば乗るタイプ」
同じ100メール背泳ぎで、鈴木大地をソウル五輪金メダリストに育て上げた日本代表の鈴木陽二コーチは、現在の古賀についてこう評する。
まだまだ潜在能力は計り知れず。古賀本人も「51秒台が出たらすごくいいと思ったけど」と日本新を出しての金メダルにも、まだまだ満足はしない。新王者があくなき向上心で次に狙うのは、8月2日に決勝が行われる50メートルとの2冠だ。
<了>
・世界水泳2009特集 (2009/7/29)
・男子100メートル背泳ぎ 結果 (2009/7/29)
・選手プロフィール:古賀淳也 (2009/7/29)


