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折山淑美
スポーツナビ

またも吹き荒れた川内旋風 市民ランナーが五輪選考を盛り上げる=福岡国際マラソン (1/2)

2011年12月5日(月)

■38キロ過ぎからのデッドヒート、川内に軍配

福岡国際マラソン、激しいスパート合戦を制し、日本人トップの3位に入り笑顔を見せる川内優輝
福岡国際マラソン、激しいスパート合戦を制し、日本人トップの3位に入り笑顔を見せる川内優輝【写真は共同】

「今井(正人=トヨタ自動車九州)選手は気持ちで出てくるのはわかっていたので、それなら僕も気持ちで出てやろうと思って……。どっちが勝つかの根比べになると思って走っていたけど、世界選手権(9月、韓国・テグ)の時に給水の時にペースを上げられて苦しかったから、そこで上げれば他の選手も苦しいかな、と思ってペースを上げたりしました」と、川内優輝(埼玉県庁)は終盤の激闘を振り返った。

 来年のロンドン五輪男子マラソン選考レース、国内の第一弾だった12月4日の福岡国際マラソン。先頭で独走するジョセファト・ダビリ(小森コーポレーション)をそっちのけでテレビ中継された今井と川内の38キロ過ぎの給水所からの激しい競り合い。

 結果は川内の相手に勝つことへの執念の強さと、その実力が本物であることを示すものとなった。

 気温13.7度、湿度49パーセントという気象条件の中で、始まったレース。10キロ付近では気温も18度に上がったが、その後は少し下がり、ペースメーカーも5キロを15分前後で引っ張る、ほぼ想定通りという展開になった。
 その中で、ペースメーカーが走るのを止めた25キロでいきなり動いたのが、初マラソンのダビリだった。スルスルッと前に出るとペースを一気に上げ、追いかけるのはジェームズ・ムワンギ(NTN)だけ。トップ集団に残っていた日本勢の今井と前田和浩(九電工)、岡本直己(中国電力)はけん制し合う展開に。ダビリが30キロまでを14分32秒で突っ走ったのに比べ、15分39秒とペースを落とした。

 さらに32キロの折り返しを過ぎてから岡本が遅れると、3位争いをするふたりのペースは5キロ16分14秒まで落ちたのだ。

■一度集団から離された川内が猛烈な追い上げ

 そこで生き返ったのが、20キロ過ぎから遅れ始め、30キロ地点では今井や前田に23秒差をつけられていた川内だった。

「目標は来年2月の東京マラソンに置いていたので、あまり40キロ走もできていなくて。走り込み不足だからでここで離れてもしょうがないかなと思っていました。でも中間点通過が1時間3分34秒だったので、何とか粘っていけば、それなりのタイムで行けるかなと思って。それに25キロでペースメーカーが外れれば、きっと何人かは前から落ちてくるだろうと信じて走りました」

 こう話す川内にとって幸いだったのは、身長190センチの長身ランナー、ドミトリー・サ​フ​ロ​ノ​フ(ロシア)が前の集団より少し遅れるだけの、ちょうどいいペースで引っ張ってくれたことだ。長身選手の後ろだとリラックスして走れるという川内は、それでズルズルと落ちるのを防げた。

 「30キロ付近で前がそんなに離れていないのを知りました。今井選手と前田選手はけん制し合ってペースが落ちているようにみえたから、あれだったら追いつくかもしれないと思えて。そうしたら、2位になった世界選手権団体の表彰式で見た日の丸が頭の中に浮んできて……。もう一度メインスタンドに日の丸が揚がるのを見たいと思い、そのためには前を追い抜くしかないと思いました」

 サ​フ​ロ​ノ​フと交互に引っ張り合い始めた川内は35キロで今井、前田との差を15秒にすると、その直後にはサ​フ​ロ​ノ​フを引き離して前に迫り、36.4キロでふたりを捕らえた。一気に主導権を握った川内がコースのアップダウンを利用して、ペースを上げるなどの揺さぶりを掛けながらのデッドヒートを繰り広げた。そして38.4キロの給水所で頭から水をかけると、掛け声を掛けて自分に気合いを入れてスパートしたのだ。

 <続く>


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