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北京五輪のチーム

新生チームジャパン


北京五輪で銅メダルを獲得した4×100メートルリレーの日本チームは、今大会では、朝原宣治(大阪ガス)の引退と末續慎吾(ミズノ)の休養があり、前回のメンバーから大幅に生まれ変わる。6月の日本選手権ではスプリント種目で好記録が続出したこともあり今大会でも期待が高まるが、果たして史上最強メンバーといわれた昨年と比較して、今年のチームはどんな特徴を持つのだろうか?ここでその戦力を比較してみよう。

走力以外の大きな武器を持つ北京五輪チーム
 朝原率いる北京五輪チームと、今大会の“新生チームジャパン”のメンバーの、当該年度のベスト記録と自己ベストが別表に記載されている。一見すると今大会のメンバーが上回っているように見られるが4大会連続で五輪出場を果たし長年、日本の男子スプリント界をけん引してきた朝原と、2003年パリ大会200メートルの銅メダリストの末續の大舞台での経験を考慮すれば、単純にタイムだけで今年のチームが上と言うことはできない。世界大会において、一定の経験が不可欠なこと、加えて北京のメンバーは07年度からほぼ変わらぬ構成でバトンパスの精度を上げており、走力以外の大きな武器を持ち得ていた。
 また北京五輪では米国、英国、ナイジェリアといった強豪国が予選で相次いで失格になったことも考えると、現時点で昨年以上の結果を望むことは少し難しいだろう。

 今大会のメンバーの誇るべき武器はその若さと勢いである。北京五輪時のリレーメンバーである塚原直貴(富士通)は日本選手権決勝を欠場したものの、100メートル予選で自己ベストを更新(10秒09)、同・高平慎士(富士通)も200メートルで自己ベスト(20秒22=日本歴代3位)で優勝を果たした。日本選手権100メートルを制した江里口匡史、同2位の木村慎太郎(ともに早大)はもちろん、齋藤仁志(筑波大)も200メートルで自己ベストを大きく上回るなど、平均年齢23歳のチームはまさに進化の真っ最中である。特に今季、急成長の江里口は7月のユニバーシアード・ベオグラード大会では100メートル3位の快挙を果たした。塚原、高平以外は初の世界陸上の舞台となるが、怖いもの知らずのまま大会前半の個人種目で勢いに乗れば、そのままリレーでも北京に迫るだけの戦いを見せる可能性は決してゼロではない。

“新生ジャパン”、強い思いを持って臨んだ先に
 メンバー構成だが、2走・塚原、3走・高平はほぼ決定だろう。1走の有力候補は江里口か。スタートしてからトップスピードに乗るまでの時間が短く、早大でもこのポジションを務めているだけに慣れているという利点がある。5月の国際グランプリ大阪大会では4走を藤光謙司(セーレン)が務め、五輪・世界選手権を除く大会でマークされた記録として歴代最高の38秒33で走った。(1走・安孫子充裕=筑波大=、2走・塚原、3走・高平) また齋藤も4走を務める資質を持つだけに、現時点でのオーダーの予想は難しい。大会までのある程度の段階で固定されるだろうが、大会時点で調子のいい者が選ばれるなど、ある程度の柔軟性は残されると思われる。

   北京五輪ではジャマイカが37秒10の世界記録を樹立した。再度のメダルのためには37秒台が必要になるはずだ。それは日本記録=アジア記録の更新を意味する。大舞台で自らが最高のパフォーマンスを発揮するためには、高いモチベーションとそれを実現できるだけの強い精神力が求められる。昨年は若いメンバーが「朝原さんへメダルを」といった強い思いを持ち、それが結実した結果になった。リレーに限ったことではないが、今年のメンバーがそれに匹敵する強い思いを持って大会に挑めるかで、大きく結果も変わってくるはずだ。

(文・加藤康博)

 <了>

08年北京五輪
リレーメンバー 年齢 08年ベスト 自己ベスト
塚原直貴 (富士通) 23歳 10.16 10.15 (07年)
末續慎吾 (ミズノ) 28歳 10.55 10.03 (03年)
高平慎士 (富士通) 24歳 10.20 10.20 (08年)
朝原宣治 (大阪ガス) 36歳 10.17 10.02 (01年)
平均年齢 27.75歳    
09年ベルリン世界選手権
リレーメンバー 年齢 09年ベスト 自己ベスト
塚原直貴 (富士通) 24歳 10.09 10.09 (09年)
高平慎士 (富士通) 25歳 10.20 10.20 (08年)
江里口匡史 (早大) 20歳 10.07 10.07 (09年)
木村慎太郎 (早大) 22歳 10.21 10.21 (09年)
齋藤仁志 (筑波大) 22歳 10.57 10.35 (08年)
藤光謙司 (セーレン) 23歳 10.56 10.41 (08年)
平均年齢 22.67歳    

※年齢は、大会時のもの。

※世界陸上ベルリンは、補欠も含む。

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