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折山淑美
スポーツナビ

銀メダルの尾崎、初の大舞台で見せた粘り強さ (1/2)
陸上世界選手権 最終日 女子マラソン

2009年8月24日(月)
マラソン3度目が世界選手権となった尾崎。日本勢第1号となるメダルを獲得した
マラソン3度目が世界選手権となった尾崎。日本勢第1号となるメダルを獲得した【Photo:築田純/アフロスポーツ】

 陸上の世界選手権最終日、日本チーム・メダルゼロの危機を救ったのは、前回の大阪大会に続き、またしても女子マラソンだった。尾崎好美(第一生命)がラストで白雪(中国)にせり負けはしたが、見事に銀メダル獲得を果たしたのだ。
 渋井陽子(三井住友海上)だけではなく、世界記録保持者のポーラ・ラドクリフ(英国)と、地元ドイツ期待の優勝候補イリーナ・ミキテンコまで欠場した23日の女子マラソン。レース展開はスローになることが必至で、ベスト記録が尾崎の2時間23分30秒だった日本勢にとっては、歓迎すべき状況だった。

■労せずしてメダル確定圏内を獲得

 気温19度、湿度64%で始まったレースは、予想通りのスローペースで始まった。5キロごとのラップは17分42秒、17分21秒。10キロから細かな仕掛け合いがあって17分08秒に上がったが、その後の20キロまでは17分37秒、25キロまでは17分44秒と、ゆったりしたペースに戻る。日本勢の4人は多少の出入りはあったが、しっかりと集団の中に位置していた。

 レース2日前の記者会見で尾崎はこう言っていた。
「入賞が目標だけど、有力選手が欠場することになったから……。『メダルを狙えるかな?』というのは少しだけありますね」
 尾崎を指導する山下佐知子監督は「ラドクリフが出てきて、途中からペースを上げられたらまずいなと思っていました。でも彼女やミキテンコがともに欠場したから、これならうちにもチャンスはあるな、と思いましたね」
 ひそかにメダルを狙えると思っても、尾崎の気持ちには気負いのようなものも生まれてこなかった。「大会前から赤羽(有紀子=ホクレン=)さんや渋井さんが注目されていたから、私は楽な気持ちで行けばいいと思っていたから」と笑顔を見せる。

 スローペースの中でも「レースが動くのはどうせ30キロ過ぎからだ。それまでは周りを気にせず、自分のリズムで余裕を持っていければいい」と考えていただけだった。17分台中盤から後半の遅いペースも、走りやすく感じたという。それだけ気持ちにも身体にも余裕があったのだ。

 レースが動き出したのは25キロを過ぎてからだった。今年のロッテルダムマラソンを制し、2時間26分30秒の自己ベストを持つナイリャ・ユラマノワ(ロシア)が、スローペースに耐え切れないかのようにペースアップした。
 だが、ほかの選手を振り切ろうとするまでの勢いはない。5キロが17分02秒に上がっただけの仕掛けだった。この動きで期待された赤羽と藤永佳子(資生堂)は先頭集団から遅れたが、尾崎にとってはラッキーだった。集団の人数を少し絞れた上、その後の仕掛けに備え、スローペースに慣れていた身体に刺激を与えることができたからだ。
 さらに北京五輪銅メダリストで、2時間19分51秒の自己ベストを持つ周春秀(中国)なども遅れ、集団が4人までに絞られたことも尾崎に余裕を与えた。そして35キロ手前では、それまで集団を引っ張っていたユラマノワがアクシデントでもあったかのように急激にペースダウンして後方へ。尾崎は労せずしてメダル確定圏内を手に入れたのだ。

 <続く>


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