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PRIDE SPECIAL 2003 男祭り



大会インデックス
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第5試合
PRIDE特別ルール
吉田 秀彦
(日本/吉田道場)
2R
引き分け
ホイス・グレイシー
(ブラジル/グレイシー柔術)


試合の見どころ


 吉田とホイスが、ついに因縁の再戦を果たす。2002年8月、バルセロナ五輪柔道78キロ級金メダリスト吉田秀彦が、国立競技場でプロ初戦を迎えた。相手は、総合格闘技界を席巻したグレイシー柔術の使い手ホイス・グレイシー。いきなりの強豪相手だったが、吉田はアームロック狙いから縦四方、そして衿を取って袖車と完璧な動きでホイスを捕らえた。ホイスの動きが止まり、吉田は「(意識が)落ちている」とアピール。レフェリーが試合を止めた。ところが、ホイスはすぐに立ち上がると「タップしていない」と猛抗議し、レフェリーを突き飛ばした。また、グレイシー一族の長、エリオも「レフェリーに試合を止める権利はなかったはずだ。ノーコンテストだ」と主張。以来、グレイシー一族は事ある毎に吉田を挑発し、目の敵にしている。  今回は、前回の結果をふまえてルール決定の議論で紛糾。29日の昼過ぎから30日の夕方まで2度の中断を入れて行われ、細部まで確認が行われた。流血や骨折など、あまりに凄惨な状況では、レフェリーが試合を止め、セコンドに試合中止をうながす権利を持つが、基本的にはドクターストップ、レフェリーストップのいわゆるTKO決着はない。判定もなく、10分2Rを終えて勝敗が決まらない場合は引き分け。ホイスが希望する「他人の判断をはさませず、2人の間だけで決着をつける」方式が採用された。選手以外では、各陣営につく3名のセコンドのうち、1名のみがリングの四方を動くことを許され、その者のみにタオル投入の権限が与えられる。吉田側は高阪剛が、ホイス側はホイラー・グレイシーが務める。また、ホイス側から「日本人レフェリーは信用できない」という要求があったため、米国人のマット・ヒュームがレフェリーを務めることになった。  67000人の大観衆を興奮の渦に巻き込んだ一戦が、ついに完全決着を迎える。前回のジャケットマッチ特別ルールとは違い、打撃は有効。今や総合格闘技界でもトップ立たんとする勢いの吉田が、文句のつけようのない勝利を収めるか。はたまたグレイシーが意地の復権を果たすのか。


試合経過


1R ホイスは、胴着を脱いで戦う方法を選択。ホイスは打撃を多用し、左ローキックを放つが、これは吉田の金的に入り、イエローカードを受ける。引き込んだホイスに覆い被さる吉田。ホイスはハーフガードからガードに戻す。さらに下から足を絡めてアキレス腱固めを狙う。まさに前回の対戦と同じような展開となる。対する吉田は、バックを取って十字を狙うも失敗。逆にホイスが上になる。吉田は下から足を二重がらみで耐えるが、ホイスは上からパンチを放ち、マウントに入ろうとする。さらにそこからバックに回り、チョークを狙う。吉田はラウンド終了のゴングに救われる形となった。

2R 引き込むホイス。スタンドに戻ると前蹴り、ローで吉田をけん制する。また、ホイスは、下からは足を絡めてヒールホールドを狙い、倒れた瞬間に上を奪い、さらにマウントへ。上のポジションをキープしたままパンチを打ち下ろし、さらに腕十字を狙う。吉田は反転し、亀の状態で防御。ホイスは再びマウントからパンチを落とし、バックに回っても殴りつけていく。吉田は防戦一方となったが、これもゴングに救われ、10分2Rで決着はつかずドローとなった。

コメント


■吉田  「ふがいないの一言」

 道衣を脱いでくるのは予想外だったので、戸惑うところもありました。前にシウバとやってから、2カ月ぐらいで、最初のうちは練習できなくて、モチベーションも上がらず、試合に挑んだ結果がこれだった。もう少し、精神面を盛り上げて挑めば、もう少し違った結果になったんじゃないかと思うんですけど、今回はふがいない試合をしてしまった。年末なのでいい試合をして終わりたかったけど、結果がすべてなので、ふがいないの一言です。

――シウバ戦の後モチベーションが上がらなかったのは、肉体的なダメージと精神面、どちらが大きいですか

 気持ちが上がらなかったと言えば、言い訳になってしまうので。確かにもう少しモチベーションを上げなければならなかったけど、上がらなかったということで。今回は試合をつめてやっていい経験になったので、来年からは体と気持ちを相談しながらやっていきたい。

――金的のダメージは深かったんですか

 そんなことはないです。体が動かなかったのが一番の原因。自分が思ったように体が動かなかったので、それは練習不足だと思うし、うまく調整できなかった、自分の責任だと思う。

――どれぐらいトレーニングができなかったんですか

 試合が終わってから、口を縫ったり、ハレが引くのを待ったり、いろいろあったので、1カ月ぐらいは休んでいた。それから練習していったけど、うまく調整できなかった。

 終わってから言うのは、柔道時代も悔しかったけど、今度は同じ轍は踏まないように頑張りたいなと思います。

――ホイスに雪辱したいですか

 それは自分の決めることじゃないし、主催者側で組んでもらえたら、そのときはきちっと調整して、今回の借りは返したい。

――前回の対戦と比べてどうでしたか

 比べることができないんですけど、道衣も脱いできたし。……徹底してましたよね。下から足を取ってくるのが今回の作戦だったと思うし、それに対して何もできなかっ立っていうのが、今回みたいな試合になってしまったと思う。

――ホイスは「決着がついた」と言っていましたが

 それは本人が思っていることだから、本人がよければそれでいい。

――「のどに刺さった魚の小骨が取れた」と言ってました

 本人が思うなら、それでいい。僕はタップしたわけじゃないし、今回はこういう形で終わったけど、やる機会があれば、そのときは楽しみにしてやりたい。本人が納得しているなら、それは自己満足の世界なので。

――「今回の試合は自分がバスに吉田選手を乗せて、吉田道場まで連れて行ったようなものだ」とジョークを言ってましたが

 どこがジョークなんですか? 意味がよく分からない。本人がなんて言おうと、ふがいない試合だったことは確かなので、それを認めます。

 負け惜しみ……負けてないけど、こういう結果だったので、今度やる機会があったら、きちっとしたいなと思います。


■ホイス 「本当の勝者が分かっていただけたと思う」

 まず父に感謝したい、戦い方を教えてくれたのではなく、ずぼらにならないことを教えてくれたに感謝したい。それから(練習)パートナーの皆さんに感謝したい。日本時間に合わせて朝5時に起きてトレーニングにあわせてくれた。妻と子供は“グレイシー”ではなく“クレイジー”な人生に付き合ってくれてありがとう。こうして皆さんが献身的にサポートしてくれて感謝したい。ノノにも感謝したい。私にスタンドテクニックを教えてくれた。私の兄弟たちヘンゾ、ホドリコ、すべての家族が応援してくれた。

 忘れてはならないのは、ヒクソンです。この完全な世界で一番難しいのは完全なファイターになることだと教えてくれた。彼は私と違った考え方、見方が出来るので相談しながらスタイルを確立してきた。残念なことはここにはいないことですが、心から感謝している。彼がまぎれもなくグレイシーのトップです。そしてホイラーも忘れてはいけない。ハンサムなやつだ。ここにそろっているみんなに心から感謝したい。ありがとう。

 ところで、今回シャツを脱いで戦うことが出来た、それはコーチのジェイムズのおかげです。まるで魔法のようだった。ドクターパトリックス。彼が(私が)兄弟(たちとの練習)に痛めつけられても体調を整えてくれた。ここで私が言いたいのは、私は単に製品で、それを作ってくれたのが先ほど名前を挙げた家族です。規則や方針にしたがって戦うのみです。

――どのくらいの期間、この試合に向けて準備をしましたか

 7、8週間前に準備を始めた。吉田選手が「再戦したい」と言っているといううわさを聞いて戦うことになるかもしれないと思って準備した。吉田選手との試合が決まったのは6、7週間前でした。

――再戦は、吉田選手からの提案ですか

 吉田選手の試合以降、私が望んだことでした。ずっと言い続けてきたことでしたが、PRIDE側は吉田選手にはほかの試合があるということで延期になってきました。私は吉田選手との試合を望み続け、今回このような機会に恵まれた。吉田選手の希望なのかPRIDE側の決定なのか私には分かりませんが、ようやく決着がつけることが出来て、とてもうれしく思っています。のどに残る小骨の様に思っていました。負けるのはどういうことなのか学んだ気がします。私から勝利を奪わないでください。

――結果については

 試合を見ていただければ分かると思う。吉田選手は確かに強いタフな選手です。確かに結果はドローでしたが、だれが本当の勝者か皆さんの目で分かってもらえると思う。

――判定があれは勝っていたということですか

 それは、皆さんが決めることで私が決めることではない。

――今回の試合で得たものは

 今回の試合で溜飲が下がった。ここ1年、何か小骨が刺さっている感じがしていた。納得がいかない、どうしてあの時勝てなかったんだという不安定な気持ちがあったのですが解決しました。

――再戦はありますか

 それはビジネスサイドが決めること。今は家に帰って子供の顔が見たい。

――では、“ウソをついた”吉田選手にうらみはないのですか

 試合が終わった直後、私は吉田選手に「敬意を称します」と伝えた。これでお互い気持ちが晴れて安眠できるようになったと思う。

――試合の序盤でジャケットを脱いだのは

 戦術です。セコンドの指示に従ったまです。(決めたのは)約1カ月前、トレーニング開始直後です。柔術は着を着なければいけないものではない。柔術とは護身術であり、戦いである。

――吉田選手の左パンチをつかんでどうしてテイクダウンできなかったのですか

 吉田選手はグラウンドが強いグラップラー。オリンピックのチャンピオンだ。グラウンドに持ち込めたなかったのも当然だと思っている。

――着を脱いだことによって、どういう点が吉田選手より有利なのですか

 吉田選手は着がないのでつかめなかったところが有利だった。それで吉田選手は立ち往生していた。

――パンチや蹴りを多用していたと思いますが、戦術の変更はあったのですか

 すべてが違った。立ち方、キックにパンチ、この試合のためにトレーニングをしてきた。トレーニングをお見せ出来たなら、トレーニング通りだったということが分かってくれるだろう。これからダニエルの試合が見たい。今日の試合は吉田選手をスクールバスに乗せて僕が道場まで連れて行ってあげたようなものだ。
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