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「ただの数字」でDREAMライト級GPを見てみる
スカパー! 藤村幸代の格闘徒然草

2008年7月12日(土)
7月21日いよいよ決着を見る「DREAMライト級グランプリ2008」について、格闘技関係者の間でも議論が起こらない日はない
7月21日いよいよ決着を見る「DREAMライト級グランプリ2008」について、格闘技関係者の間でも議論が起こらない日はない【t.SAKUMA】

「宇野と青木はどっちが勝つと思う?」

「川尻とアルバレスはつぶしあいになるだろうな」

「川尻には有言実行で宇野と闘ってほしいけど……」

 などなど。準決勝の組み合わせが決まった直後から現在まで、7月21日DREAMでいよいよ決着を見る「DREAMライト級グランプリ2008」について、格闘技関係者の間でも議論が起こらない日はない。

■久しぶりに期待値の高いトーナメント

米国の脅威を日本人3名が食い止めるという意味では“日米決戦”の様相も
米国の脅威を日本人3名が食い止めるという意味では“日米決戦”の様相も【t.SAKUMA】

 面白いのは、それまでまったく違う話題で盛り上がっていたとしても、「ところでさ……」という感じで唐突にGP予想が始まってしまうことだ。それだけ気になって仕方がないのだろう。今、格闘技好きの多くが、いつでも頭の隅に宇野薫、青木真也、川尻達也、エディ・アルバレスという4人の名を置き、ヒマを見ては仮想試合を楽しんでいる。これほど期待値の高いトーナメントは久しぶりだ。

 私にしても、決勝の組み合わせは4通りしかないのに、「いや、アクシデントによる試合続行不可能とか、無効試合とかもあるかもしれないんだぜ」などと横やりを入れられるものだから、4通りが無限にも思え、ますます混乱し、毎日のように頭の中の決勝予想図が激しく入れ替わっている。

 さまざまなテーマを抱えている。それが、このトーナメントを面白くしている理由だろう。準決勝の宇野vs.青木は、双方とも打撃の進化を見せてはいるが“究極の日本人グラップラー対決”であることに異論なく、同時に“DREAMvs.PRIDE”というテーマも抱えている。川尻vs.エディは“日米フィジカル対決”。また、米国の脅威を日本人3名が食い止めるという意味では“日米決戦”の様相も呈している。

■数字から浮き上がる“世代闘争”というテーマ

33歳の宇野は4人の中でもずば抜けているスタミナの持ち主
33歳の宇野は4人の中でもずば抜けているスタミナの持ち主【スポーツナビ】

 そして、単純に数字を並べてみると、“世代闘争”というテーマも鮮明に浮き上がってくる。1975年5月生まれの宇野は33歳。96年10月にプロデビューし、キャリア12年目を迎えるベテランだ。宇野に遅れること3年半の00年4月にプロデビューしている川尻は、1978年5月生まれの30歳。日進月歩を遂げる総合格闘技界で、2人の間にまず、ひと世代の違いがある。

 その川尻からさらに3年半遅れの03年11月にプロデビューを果たしているのが青木。83年5月生まれの25歳。青木の1カ月後に海の向こうでプロの扉を開けたアルバレスは84年1月生まれの24歳。つまり、この二人と宇野の間には2世代の開きがある。

「年齢はただの数字に過ぎない」というアーネスト・ホーストの名言もあるし、そう願いたいとも思う。ただ、選手たちは言葉の端々に“数字”を口にしている。

「同世代の(佐藤)ルミナさん、マッハ(桜井“マッハ”速人)さんが負けた時、感じるものがあった。この世代が通用しないと思われたくない」(宇野)「(青木とは)世代が違うのもあるし、年下っていうのもあるし、あまり『ぶっ殺す』という気持ちにならない。リングに上がったら、そうなると思うけど」(川尻)「負けても絶対に立ち上がって強くなる自信がある。『関係ねえよ、25だよ、まだ』って」(青木)改めて抜粋してみると、三者ともかなり世代や年齢を意識している様子がうかがえる。それでも“世代闘争”がメインテーマとならないのは、ポテンシャルやフィジカル、テクニックともベストの4人が集まり、それだけで語れてしまうこと、そして、最年長であるはずの宇野が、まるでそれを感じさせないこともあるのではないか。無尽蔵と言われるスタミナは、33歳の宇野が4人の中でもずば抜けている。

■4人の名前が、ぐるぐるとせわしなくまわる

DREAM.3翌日の準決勝進出3選手。青木は後のDREAM.4で進出決定
DREAM.3翌日の準決勝進出3選手。青木は後のDREAM.4で進出決定【スポーツナビ】

 先日、宇野のスタミナ強化の特訓を見学する機会を得た。場所は北海道・豊浦町。WBC世界フライ級王者、内藤大助の故郷である。海と山が向い合わせのこの町で、7月13日から21日まで強化合宿を張る内藤に、宇野もDREAM.4の翌日、16日から合流していた。

 話には聞いていたが、野木丈二トレーナー考案のスタミナ、筋力強化メニューはきつい上にもきついものだった。急こう配でカーブを描く山道をダッシュで駆け上がり、休みなく神社へ続く階段を10連続ダッシュ。珍しく激しい雨に見舞われた日も、参加していた5名の選手たちに休息は与えられない。宿舎の別館で90分スパーリングが待っているのだ。

 3分×30ラウンドではない。90分×1ラウンド。つまりインターバルなしの連続スパーである。2組がスパーをしている横で、残る一人はサンドバッグをたたき続ける。それを10〜15分交代でチェンジしていく。パンチを出し続ける90分。床にたまる5人の汗が、足元を危うくする。「集中しよう。ケガをするぞ」。野木トレーナーのげきが飛ぶ。スタミナとともに90分集中力を途切れさせないトレーニングでもあるのだ。

 トレーニングを通じて先頭に立ち、選手を引っ張っていたのは、やはり内藤だった。「ひゃー! きつい!」と叫びながらも、仲間に絶えず冗談を飛ばし雰囲気を暗くさせない。「楽しくやらないと、やってられないっしょー! ねえ、カオルちゃん」。内藤の軽口に「オス」とだけ答える宇野は、つねに内藤の背中にかじりつくように二番手をキープしていた。

 テクニックはもちろん、スタミナでも世界最高峰と言われる内藤は74年8月生まれの33歳。くしくも、96年10月4日に宇野がデビュー戦を闘った1週間後の10月11日、プロボクサーとして初めてのリングに上がっている。今月末、自身の持つ世界王座防衛最年長記録に挑む内藤は、宇野にとって「大きな刺激」という言葉では言い尽くせないほどの影響を与えているに違いない。

 私が見たトレーニングは、宇野の日常のほんのひとコマにすぎない。こうした日々を、宇野薫はすでに10年以上、休むことなく続けている。年齢はただの数字に過ぎない。できれば、そう願いたい。でも、数字が刻む1年、1年を無駄にせず、全力を尽くしてきたなら、数字のぶんだけ体や心に刻まれるものも大きい。ホーストが言いたかったのもまさにそれだと思うし、宇野がこのトーナメントで体現しようとしているものも、それだろう。

 とはいえ、「関係ねえよ、まだ25歳だよ」という突風のごとき勢いの言葉もまた、不気味なほどの説得力がある。突風といえば、「オレの中では追い風が吹いている」という川尻のひどく確信ありげな言葉も忘れられない。

 頭の片隅どころか、人に比べてかなり小さい私の脳みそは、今や4人の名前がかなりの部分を占め、ぐるぐるとせわしなくまわっている。7月21日、大阪決戦まで、それは続くのだろう。

【SKY PerfecTV!プロレス・格闘技 番組情報】

●「DREAM.5 ライト級GP2008 決勝戦」

放送日時:[完全中継] 7/21(月・祝)23:00〜29:00 他、再放送あり
放送Ch:パーフェクト チョイス(スカパー!Ch.160/174/177/180)
スカチャン!ハイビジョン (e2 by スカパー!Ch.800)
【視聴方法】PPV:3,150円/番組 (スカパー!)
PPV:3,150円/生中継と再放送2回の計3回視聴可能(e2 by スカパー!)

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