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■試合の見どころ
日本格闘技界の星となるか、あるいは肩透かしに終わるのか、柔道現役金メダリストとしては初の総合転向となる石井慧のデビュー戦。依然柔道家のイメージが根強い吉田だが、総合でもすでに7年のキャリアを持ち15戦以上を経験している。はたして石井はこの経験の差を海外で積んできた猛練習で埋め、持ち前のパワーで世代交代とスター誕生を果たすことができるのか。
■試合経過
先に入場の石井は黒のTシャツ姿。髪にはラインを入れ、観客の歓声を促すように左右の腕を交互にグルリと回す。 続けて入場の吉田はいつも通りの柔道着姿。しかしリングへ上がるとこれを脱ぎ、ショートパンツとなって試合の開始を待つ。 君が代独唱、認定宣言の後、リングアナに名前が読み上げられると石井は大きく両足でジャンプする。吉田は静かな表情で自身のコールを聞く。吉田は片手、石井は両手で握手を交わし、両者自軍コーナーに戻る。
1R 石井は手を開き、吉田が出してくるジャブに対処せんとする。石井はジャブのように左手を伸ばし、その後で右を送る。しかし、吉田の右スイングフックが石井にヒット。被弾した石井は組みついていくが、吉田は片手クリンチで抑えて右アッパー。石井はいったん離れるも、右スイングを警戒してか前に出られなくなる。 吉田の左インローに対し、石井は左フック。吉田が左→右と振るったフックのワンツーに石井は前に手をつくようにしてバランスを崩す。ダウンは免れた石井だが、吉田はなおも右スイングフック。そして攻勢を取っていく吉田は鬼の形相で石井に向かっていく。 石井は組みついていかんとするるが、吉田はヒザ蹴りを突き上げ、石井に押され下がらせられながらもフック、アッパーと振るっていく。吉田はジャブのけん制から、次のヒットを狙っている。石井はワンツーで切り込むが、吉田に余裕を持ったバックステップでかわされる。吉田は左ジャブでのけん制から再び右スイングフックをヒット。完全にタイミングと距離をつかんでいるか。石井は腰が引けてしまい、ローを放つも届かない。石井は上体を振りながら打開策を探る。
2R 石井はガードを高くして吉田に向かう。そして接近すると、左手で吉田の首を抑え右手でアッパーを送る。しかし吉田は体を離して距離をあける。そして再び右スイングフックをヒット。前に出たい石井だが、吉田の右スイングが脅威となってか前に出られない。ジャブの後で前進する石井だが、吉田はこれをステップで避け、さらに前へ来ると首相撲のようにして受け止める。そこから四つの組み合いとなり、石井は吉田の片足を取るが、吉田はレフェリーの注意を受けながらもロープをつかみテークダウンを免れる。ならばと石井はボディにヒザを見舞っていくが、吉田はここでコーナーから脱する。石井はフック、ストレートを振るって吉田を追いかける。石井は組みつくと再び吉田をコーナーに押し込むが、そこから先の展開を欠きレフェリーにブレークされる。 やや疲れが見え始めた吉田に石井はジャブを入れていく。そしてロープに押し込むと吉田のボディにヒザを打ち込んでいく。だが、ここで石井のヒザが吉田の下腹部に入ってしまい、吉田は悶絶してダウン。ファールカップに破損があったようで、吉田はファールカップの交換とダメージ回復のためインターバルが取られる。石井は減点1となる。 長いインターバルの後で再開。石井はスーパーマンパンチを見せるが、これは吉田の左手に阻まれる。石井が前に出たところで吉田は左ハイを放つが、石井はこれを受け止めテークダウン。石井が足を払ってパスガードし、サイドポジションについたところで2R終了のゴングとなる。
3R 石井は左フックから胸を合わせて吉田に組みつく。しかし吉田はテークダウンへの展開を作らせず体を離す。石井は再びパンチから胸を合わせて組みつき、大外刈りを狙うが、ここは吉田が踏ん張ってこらえ、レフェリーのブレークを呼び込む。 石井はワンツーを放って出るが、吉田に見切られバックステップでかわされる。しかし吉田をコーナーに押し込んだ石井はそこからしゃがみ込んで足を取ろうとするが、吉田はここもこらえてレフェリーブレークがかけられる。 吉田は右スイングを当て、ジャブで距離を取ろうとする。しかし石井が遮二無二突進してくる。だが、コーナー際でこう着となりレフェリーがブレーク。 石井は組んでいくものの、吉田はそこから先を展開させずに押し戻す。打開策の見出せない石井。残り時間1分を切り、吉田はタックルへ行くが、石井は腰を引き倒れない。しかし吉田に片足タックルで組みつかれた体勢で動きが止まってしまい、こう着でレフェリーがブレークする。 石井は左右のフックを振るってラッシュするが、時すでに遅くゴングが鳴らされる。
判定は3−0で吉田。金メダリスト対決を制し、先輩の意地を見せ石井の白星デビューを阻んだ。
■試合経過
■吉田「次が最後になるんじゃないかと思います」
――試合後の感想をお願いします。
疲れました。
――石井慧選手の印象を聞かせてください。
初戦なのでこっちから合わせるような形でやろうと思っていたんですけど、けっこういいパンチが入っていたんですけど、タフだなという印象を受けました。これから彼も経験を積んでいけばきっといい選手になると思いましたね。
――試合展開は思い描いていた通りでしたか?
どういう試合をやろうか考えてなかったので、相手が来たらという感じで、パンチで倒せるなら倒そうかなと思っていたんですけど、非常に頭も固くて思い通りにならなかったです。
――石井選手に対して気をつけていた点はどこですか?
テークダウンで上に乗られて攻められるとちょっときついなと思っていたんですけど、スタンドで勝負してきたので、そこが勝因じゃないかなと思います。
――先輩の意地を見せた充実感はありますか?
あまりそういうことは考えていませんし、1人の格闘家同士で互いに負けるつもりでやっていませんから、そういう気持ちで戦っていましたから、お互いにいい試合ができたんじゃないかと満足しています。
――急所に直撃してかなり痛がっていましたが。
痛い。僕も初めてのことで、そういう経験が今までなかったですから非常に痛かったです。男の人なら分かると思うんですけど。
――試合をやめようとは思わなかったですか?
レフェリーに「できないならここまでの判定になる」と言われたんですけど、応援してくれてるお客さんを見ていると、ここでやめるわけにはいかないという気持ちになって、何とか頑張りました。
――今回は金メダリスト同士の対決ですごい注目が集まりましたが、今後の目標を聞かせてください。
今は試合が終わったばかりで次の目標というのはないですけど、また機会があればやりたいと思います。
――試合中に石井選手のデビュー戦の緊張感は感じましたか?
僕もそうだったんですけれど無駄な力が入ってしまうことがあるので、自分自身でも体験しましたし、彼も初めての試合で無駄な力が入っている感じがしましたね。
――打撃に関しては自分にアドバンテージがあると考えていましたか?
そういうわけではないですけど、今回は打撃中心に練習してきて、打ち合えば勝機が出てくるんじゃないかと考えていたので。向こうの作戦がそうだったと思うので。僕はテークダウンをとられない方が良かったので。
――足をひきずっていますが。
2Rの最初だと思うんですけど、ストレートで足が流れて太ももの裏側がブチブチって肉離れしてしまって。
――石井選手とは試合後に話をしましたか?
特にしてないですけど、「ありがとう、ご苦労さん」と。もうちょっといい試合ができればよかったんですけど。
――今後についてどのように考えていますか?
本来なら戦極とDREAMが別の会場でやるはずだったんですけれど、一緒になるということで、有明でやるなら最後にしようと思っていたんですけど、魔裟斗選手の引退試合ということで水を差すわけにはいかないですし、今後のことはゆっくり考えて決めたいと思いますけど、もし決まれば次が最後になるんじゃないかと思います。
※石井は病院直行のためノーコメント
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