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高木裕美

小橋復帰戦に超満員1万7000人が熱狂=ノア
ノア「Winter Navigation’07」最終戦トピックス

2007年12月03日



昨年7月実現のはずの幻カード、小橋、高山組vs.三沢、秋山組がついに実現 昨年7月実現のはずの幻カード、小橋、高山組vs.三沢、秋山組がついに実現【 t.SAKUMA 】
“鉄人”小橋建太復活!  2日のプロレスリング・ノア「Winter Navigation’07〜最終戦〜」(日本武道館)で小橋が昨年6.4札幌メディアパークスピカ大会以来、546日ぶりにリングに復帰。昨年7.16武道館で実現するはずだった幻のカード、小橋、高山善廣組VS三沢光晴、秋山準組で「プロレスラー」としての生きざまを見せつけた。
 すでにチケットは一般発売翌日に全席完売。チケットショップではプレミア価格で取引され、会場前には当日販売の2F立見席を買うための長蛇の列が出来た。
 会場入口には歌手の松山千春さんや脚本家の内館牧子さん、俳優の萩原聖人さん、佐々木健介など多数の関係者から贈られた花が飾られ、試合前には小橋の出身地である京都府福知山市の梶村誠悟副市長や高校時代の柔道部の顧問であった高橋征夫氏が激励に訪れ、小橋と笑顔で語り合った。


腎臓摘出からの奇跡の復活

以前よりもシェープされ、よく日焼けした体で復帰戦に臨んだ小橋 以前よりもシェープされ、よく日焼けした体で復帰戦に臨んだ小橋【 t.SAKUMA 】
 小橋は67年3月27日、京都府福知山市出身の40歳。高校在学中からプロレスラーを目指していたが、全日本プロレスに3度も書類審査で落とされ、一度はサラリーマンとなった。
 しかし、夢があきらめきれず、87年についに全日本に入門。同期で大相撲出身の田上明と違い、格闘技でのバックボーンがないゼロからのスタートとなったが、人一倍の努力とトレーニングでメキメキと力をつけていった。
 90年代は三沢、川田利明、菊地毅とともに「超世代軍」を結成。故ジャンボ鶴田さんやスタン・ハンセンらと激闘を繰り広げた。全日本時代は三冠ヘビー級王座、世界タッグ、アジアタッグを獲得。年末の「世界最強タッグ決定リーグ戦」や春の「チャンピオン・カーニバル」でも優勝を飾った。

 00年からはノアに移籍し、リングネームも本名の小橋健太から建太に改名。しかし、以前からの激闘でひざを痛めており、01年1月の後楽園ホール大会を最後に長期欠場へ。5度にわたるひざの手術の末、02年2.27武道館での三沢、小橋組vs.秋山、永田裕志組で1年1ヶ月ぶりの復帰を果たしたが、この試合で左ひざを負傷。同年の7.5後楽園での第1試合で再復帰した。
 03年3.1武道館では同年のプロレス大賞ベストバウトを受賞する死闘の末、三沢を破りGHCヘビー級王座を初戴冠。その後、05年3.5武道館で力皇猛に敗れるまで2年以上、13度にわたってベルトを守り続け、「絶対王者」の称号を得た。
 昨年6.4札幌では本田多聞とのコンビで森嶋猛、モハメドヨネ組を倒し第12代GHCタッグ王者となったが、その直後に腎腫瘍が発見され、王座を返上した。

 昨年6月の健康検診で腎腫瘍が発見された小橋は7月6日に体腔鏡手術で右腎臓を摘出。検査の結果、腫瘍は悪性の腎臓がんであることが判明した。
 8月からリハビリを開始し、同年の12月10日の武道館大会に来場すると、ファンの前で「必ずリングに帰ってきます」と力強く宣言。年明けから「年内復帰」を目標に本格的なトレーニングを行い、定期検診の結果と照らし合わせながら、6月にはロープワークを再開した。
 一時は血液の数値が悪化したが、食事制限を行いながらさらに練習量を上げていき、10.7後楽園で小橋自身のメッセージとともについに復帰が発表されると、観客は大興奮。小橋は10.27武道館にも来場し、ファンの前で自ら復帰戦のカードを発表。その後で、高山、三沢、秋山とガッチリと握手をかわした。

 入院中もたくさんのファンから千羽鶴や激励の手紙を受け、「ファンの応援が力になった」という小橋。武道館全体を包み込むような大「小橋」コールの中、両側に千羽鶴が飾られた花道から、「GRAND SWORD」に乗って小橋が登場。黒のロングガウンに身を包んだ小橋がガウンを脱ぐと、以前よりもシェープされ、よく日焼けした体と、新しい黒のショートタイツがあらわになった。


試合時間27分、容赦なしの壮絶復帰戦

秋山のアシストを受けた三沢の雪崩式エメラルドフロウジョンが試合のピリオドに 秋山のアシストを受けた三沢の雪崩式エメラルドフロウジョンが試合のピリオドに【 t.SAKUMA 】
 試合は「復帰戦」というにはあまりにも激しすぎるほど、まったく遠慮のない攻撃が容赦なく小橋の全身に刻み込まれていった。
 秋山の挑発に応じて先発を買って出た小橋は、自身の代名詞ともいえる逆水平チョップを真っ先に繰り出すと、三沢に対してもチョップ連打。コンビとしてはこれが初めてとなる高山とのタッグにも違和感なく、合体ショルダータックルなど随所で連係攻撃を繰り出していく。
 小橋は三沢のエルボー、秋山のジャンピングニー、顔面ニーなどの厳しい責めに耐えながらも、三沢に袈裟斬(けさぎ)りチョップを連発。さらに、自ら高山にタッチを要求し、秋山をコーナーに詰めてマシンガンチョップを連打。チョップを放つ右手と同時に「バランスを取る」左手の拳も絶え間なく動き続け、秋山の胸板を見る見る真っ赤に染め上げていく。
 さらに小橋はスリーパースープレックスを決めると、青春の握り拳からムーンサルトプレスへ。さらに三沢にもハーフネルソンスープレックスを決め、ついに豪腕ラリアットをさく裂。さらに、高山のエベレストジャーマンから、高山がアシストしての豪腕ラリアットでは三沢をカウント3寸前まで追い込みながらも、秋山にカットされてしまう。
 ならばと小橋はバーニングハンマーを狙うが、三沢がこれは阻止。最大の勝機を失った小橋は、秋山のエクスプロイダー、三沢のランニングエルボーからのエメラルドフロウジョンをカウント2でクリアしたものの、秋山のアシストを受けた三沢の雪崩式エメラルドフロウジョンに力尽き、3カウントを聞いた。


「これからもプロレスラーとして生き続ける」

割れんばかりの“小橋コール”を背に花道を引き上げる小橋 割れんばかりの“小橋コール”を背に花道を引き上げる小橋【 スポーツナビ 】
 試合後、3人と握手をかわした小橋は「花道は勝者が歩くものだから」と通路から引き揚げようとするが、高山たちはロープをあけて小橋を花道へ誘導。「3人の気持ち、ファンの気持ちが花道を歩かせてくれた」という小橋は、3人があけたロープをくぐって花道を歩くと、観客は割れんばかりの「小橋」コールを起こし、小橋も両手をあげてその声に応えた。
 試合後、「リングは最高だよ」と感慨深げに語った小橋は、「リングに上がったからには、さらに上を目指して頑張る」と、再びノアのトップ戦線に殴り込みをかけることを予告。「今日復帰したけど、これがゴールではない。これからもプロレスラーとして生き続ける」と、“生涯プロレスラー”を貫くことを誓った。
 今後については明日病院で検査を受け、その結果いかんではドクターストップがかかる可能性もあるが、「リングに帰れたことよりも、負けた悔しさの方が大きい。この気持ちがあるうちは、例えドクターストップがかかっても、プロレスラー・小橋建太であり続けます」とキッパリ。21時半、武道館を去った小橋に、試合終了後1時間半以上も待ち続けたファンが再び熱い小橋コールを送った。


森嶋が丸藤に3カ月越しのリベンジ

       【 t.SAKUMA 】
 セミファイナルでは丸藤正道と森嶋猛が一騎打ち。9.9武道館で行われた「GHCヘビー級選手権次期挑戦者決定リーグ戦」決勝戦以来の対決は、森嶋が豪快なバックドロップでリベンジを果たした。
 世代交代を目指す新世代の旗手である2人。丸藤は昨年9.9武道館で秋山を破り、GHCヘビー級王座を最年少で獲得。ノア初のGHC5冠制覇を成し遂げた。
 対する森嶋は米国ROHで活躍。今年の2.17フィラデルフィア大会でホミサイドを倒しROH石灰王座を獲得すると、10.6ニューヨークでナイジェル・マッギネスに敗れるまで8カ月間、20度にわたり王座防衛に成功。一躍世界へ名をはせた。

 前回の決勝戦では2人とも2試合目ではあったものの、すでに前半に試合を終え、十分に休息を取れていた丸藤に対し、森嶋は秋山戦を終えた直後にそのまま丸藤戦に突入。秋山戦の激闘で腰にダメージを抱えていた森嶋は、9分14秒、丸藤のポールシフトに敗れた。
 しかし、この結果には双方とも納得せず。丸藤も「ちゃんとした形で決着をつけたい」と話しており、3カ月越しの再戦となった。

 スタミナ十分の森嶋は序盤からハイスパートを仕掛けるが、丸藤は左腕攻めで森嶋をとらえ、なかなかペースをつかませず。それでもヒップアタック、側転エルボー、スカッドミサイルで丸藤を対角コーナーまで吹っ飛ばし、串(くし)刺しラリアット、モリシハンマーの後でエプロンからのバックドロップを狙うが、丸藤に切り返されてしまう。
 丸藤は雪崩式パワーボム、トラースキック、不知火でカウント2まで追い込むも、森嶋も雪崩式ジャーマンで反撃。しかし、丸藤も花道からの雪崩式不知火・改、顔面へのトラースキック連発で一気に迫り、ポールシフトを狙うが、これを巨体で押しつぶして阻止した森嶋がラリアット、バックドロップを怒涛(どとう)の勢いでたたみかけて3カウントを奪取した。
 新世代対決に勝利した森嶋だが、激戦のダメージがひどく、試合後はコメントもしないまま医務室へと直行した。

【関連リンク】
ノア「Winter Navigation’07」最終戦詳報(07.12.02)

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