遠藤文康
スポーツナビ

バダ・ハリ ショック――ボクシング転向の裏側
なぜゴールデンボーイはK−1に別れを告げたのか

2011年9月29日(木)
キックボクシングからボクサーへの転向を表明したバダ・ハリ
キックボクシングからボクサーへの転向を表明したバダ・ハリ【スポーツナビ】

 IT’S SHOWTIME(イッツ・ショウタイム)は28日、K−1などで活躍するバダ・ハリがキックボクシングを引退し、米国でプロボクサーとして再出発することを発表した。

■暴行容疑で流れたボクシングでの五輪出場

 昨年からの謹慎中にバダはボクシング転向を一つの人生プランとして考えていた。昨年5月からの自己謹慎から1年ぶりのリング復帰をリヨンで果たしてからは、ボクシング転向について周囲と話し合いを続け、昨今の海外メディアの取材にもボクシング転向の意向を述べていた。ボクシングのモロッコ代表でロンドンオリンピックへ参加という打診も国からあったのだが、昨年の暴行事件容疑の影響でその話は残念ながら流れてしまった。

■バダ・ハリへの未払いはなかった!?

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【(c)Ben Pontier / EFN】

 K−1のギャラ未払い問題もバダの気持ちに追い討ちをかける要因となった。オランダのほぼ全選手を含め他の海外選手、それに多くの日本人選手が金銭報酬を受けないまま数年が経過していることが発覚した。が、バダにはK−1との未払い問題がない。
 K−1はバダへの支払いはきちんとしていた。だからという訳ではないが、バダの口からはK−1への感謝の言葉しか出ない。谷川貞治氏へも深く感謝している。バダ個人としては今後もK−1を応援したい気持ちでいる。しかしながら未払いに悩むオランダの仲間たちの姿を見るとやり切れない思いが湧くのだろう。

■GP決勝に参戦する選手がいないという事態も

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【(c)Ben Pontier / EFN】

 バダとK−1は本年で契約が終了。契約残り試合はあと1試合。南京大会に参戦することにお互い何の問題もない。しかしその後のファイナル参戦は別契約となる。決勝へ参戦するかどうかはマネージメントのショウタイムサイドとの検討事項。だからリリースで述べられているように、決勝大会が間違いなく開催されることは前提条件ながら、なおかつ、ショウタイム及び他選手たちへの未払い清算がなされること、これらがクリアされない場合は決勝への参戦はない、という意味内容になっているのだ。
 つまりK−1にとってグランプリ予選の南京大会が開催されたとしても、その後の決勝大会に参戦する選手はもしかしたら誰もいないという事態が想定されるのだ。これはかなり厳しい現実だと思われる。

■アメリカのボクシング関係者も注目

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【t.SAKUMA】

 最終的にバダはキックボクシングに一つの区切りをつけメジャーのボクシング界に乗り込む決意を固めた。年齢26歳。転向するにはちょうどいい頃合か。ヘビー級ながら並外れたスピードを持つハリはアメリカのボクシング関係者にはとても魅力的に映っているようだ。バダ・ハリの18〜26歳の8年間を近くで見続けてきた筆者にとって、誰よりもその動向がこれほど大きなインパクトを周囲に与えた選手はオランダにはかつていなかったと思う。

 キックボクサーとしてのハリの姿をあと3回見ることができるのか? それとも1月の引退1試合だけになるのか。いずれにせよ格闘技界はさらなる大きな転換期をこれから数カ月以内に迎えることになるだろう。

【決定対戦カード】

バダ・ハリ
グーカン・サキ

<ヘビー級タイトルマッチ>
ダニエル・ギダ
ヘスディ・カラケス

タイロン・スポーン
メルビン・マヌーフ

エロル・スィンメルマン
リコ・フェルフーフェン

ベン・エドワーズ
リカルド・ファン・デン・ボス

ムラト・ディレッキー
ロビン・ファン・ロスマレン

<73kg級世界タイトルマッチ>
ローシン・オーシー・オズグニ
ヨハン・リドン

ガゴ・ドラゴ
日菜太

シャイド・ウラド・エルハディ
ハルト・グリゴリアン

ダニヨ・イルンガ
ムラド・ボウジディ

ミハエル・ドゥート
アンダーソン・ブラドック・シウバ

ヘンリー・ファン・オプスタル
ハフィド・エル・ボウスタティ

■IT’S SHOWTIMEからのリリース

『バダ・ハリがキックボクシングを引退しアメリカでボクシングに転向』

 バダ・ハリがキックボクシングを引退しボクサーとして出発する決意を固めました。
 2012年1月28日にオランダ・レーワルデン市内WTCエキスポ会場でのイッツ・ショウタイム54がハリの引退試合となり、その後は渡米しボクシングキャリアをスタートさせます。このリリースは世界中のファンにかなり衝撃を与えるものだろうと思われますが、ボクシング界ではこのカリスマファイターを大歓迎する模様です。アメリカではバダ・ハリがボクシング人気を再活性化させると見られており、モハメド・アリやマイク・タイソンを合わせたような存在として多くの関係者から注目されています。
 ハリはキック界との別れに際して自身の引退試合にグーカン・サキを選びました。多くのファンが何年も待ち望んだ一戦がここでやっと実現するに至りました。

 K−1がワールドグランプリを本年開催するならハリはそこで試合をするでしょう。グランプリ決勝は12月10日に中国での開催予定とされています。大会が無事開催されること、そして我々と他選手への未払いを支払うこと、これらができるならば、によります。できない場合は1月28日がバダ・ハリにとって唯一最後のキックボクシングの試合となります。

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