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K-1 PREMIUM 2004 Dynamite!!
第7試合 総合格闘技ルール 5分3R
藤田 和之
(日本/猪木事務所)

1R 1分07秒
KO
カラム・イブラヒム
(エジプト/フリー)
試合の見どころ

 猪木イズム最後の継承者・藤田が、とんでもない試合を選択した。アテネ金メダリストとの対戦だ。昨年の大みそかにはボクサー・メイフィールドにスタンド式肩固めで完勝。5月にはサップの心を折る蹴撃で“リアルビースト”を証明した。米国ファス道場では2カ月間の特訓。レスラー対策を練ってきた。「プロらしく最高の形で勝つ」と金メダリスト相手にも臆することはない。かつて五輪に出られなかった悔しさをぶつける。

 対するイブラヒムは、だれもが認める“怪物”だ。驚異的な身体能力で、投げて投げて投げまくる。190センチ、94キロの巨体ながら、軽々とバック宙をこなす身のこなしは、まさしくトップアスリート。さらに兄は総合格闘家。かつてはエジプトボクシング代表チームで練習を積んでいたこともあり、打撃戦、総合対策も問題ないという。「藤田? ビデオも見たが中ぐらいの選手だね」と完全に格下扱い。そのスピーディーかつパワフルな投げはそれだけでKOに値する。K−1は禁断の箱を開けてしまったか。しかし、藤田も「総合は投げて終わりじゃない」と総合の猛者の自信を見せた。だれも予想はつかない、怪物対決。立会人として猪木が見届ける。


試合経過

 猪木の呼びかけから、「アテネ五輪金メダリスト」とコールされたイブラヒムに対し、藤田は「第29代IWGP王者」とコールされた。

1R いきなり身長190センチの長いリーチから、ワンツーで押し込んだイブラヒム! その圧力に藤田は後退。前へ詰めるイブラヒムの左に、一瞬を腰を落とすも、立て直していく。詰めるイブラヒムは差し合いにもっていこうとするが、藤田はロー際で巧みにそれをさせず。再び距離を取ると、あごを上げてキック&パンチを打ちにきたイブラヒムに、藤田はカウンターの右ストレート!! それがラリアート気味にイブラヒムの左顔面をとらえ、イブラヒムはもんどりうってダウン! 完全に大の字にのびたイブラヒムになおも藤田は追撃の鉄槌を3発! すぐにレフェリーが試合を止めた。

 衝撃のKO劇に、藤田は歓喜のガッツポーズ! その姿にイブラヒム戦の緊張感が表れていた。


コメント

■藤田 「やってきたことがきちんとできた」

――会心の勝利?

 そうですね。いろいろコーチに言われたことを、きちんとリングの上で証明しただけです。プロですから。

――パンチは狙っていた?

 いや、いろんなシチュエーション、バリエーションを考えていたけど、2人でマンツーマンでやってきたんで。ああいうふうに来たら、ああやって来たで作戦を考えていたんで。でも全部やってきたことが、きちんとできたということです。

――イブラヒム選手は積極的にパンチで来ましたが

 イブラヒムも相当自信があったみたいですね。オリンピックで今年金メダルとって、その勢いで来てますから。でも試合が終わっても、彼が今年の金メダルを取ったオリンピックチャンピオンであることは変わりないし、僕がオリンピックに行けなかったことも事実だし。今日の試合は勝ったけど、これはこれで。こういう試合でたまたま僕が勝っただけで。彼は本当に潜在能力というか、あると思いますので。これからどんどん強くなっていくんじゃないですかね。

――そういう手ごたえがあった?

 そうですね。あの勢いのよさとハートの強さというか、身体能力。全てが揃っている人間だから。ただ彼の、何だろう。やる前に「95%私が勝って、5%負けるとしたら不運だ」って、やる前から負ける勘定してるから、負けたんじゃないかと思いますよ、はい。

――試合前に「最高の試合を見せる」と言っていたが、見せられた?

 僕は100%勝つつもりでやってますから。

――序盤は体を低くして、打たれているのかと思いましたが、誘いでしたか?

 いやいや、そんなことないですよ。誘いというか、ああいうふうになっただけですね。

――最後はカウンターを狙っているように思いましたが

 うーん、まあ終わった後ですから何とでも言えますけど。でも、本能的にそうですね。そういう本能的なあれがありましたね。

――猪木さんから、何か言葉は

 いや、何もないです。

――次の目標は

 えっ? まあ漠然としてますけど、このまま闘魂ロードを突き進むと、そこに尽きると思います。挑戦し続けます。

――マルコ・ファスコーチからは何か

ファス 今回は藤田選手が素晴らしい勝利を手にしたことを非常に嬉しく思っています。やはりですね、日本で誇れるヘビー級の選手だと思っていますし、すべてを持ち備えた、本当に誇れる選手だと思っています。今回の試合はですね、二人で決めた戦略の通りに試合が運び、このような勝利を収めたことを非常に嬉しく思っています。

――具体的にどんな戦略を?

ファス 今回は特に、立ちでの攻撃ですね。打撃に関して非常にやって行けと説明をした。対戦相手のイブラヒム選手もですね、グラウンドに関しては非常に素晴らしいものを持っていますので、寝技でというよりは右パンチ。特に右フックを使った打撃で攻めて行けというふうに指示しました。

■イブラヒム 「……」

(※ノーコメント)


直前コメント

■イブラヒム 「“不運”以外に負ける要素はない」

 28日の午後に来日した。米国コロラドで15日間、毎日約3時間、MMA、寝技、ボクシング、レスリングを練習し、準備は万端だ。80キロのアリアブドラージュや、100キロ台の総合の選手ともスパーリングし、スベェントコーチにもついてもらった。レスリングと総合の融合はうまく調整できたと思う。

 15歳からやっているボクシングではエジプト代表チームに入ってやったこともある。レスリングをやるようになってからは、しばらくやっていなかったが、今回は、練習を積んできた。藤田のパンチが強いことは知っているが、それに打ち勝つ自信はある。もちろん、ほかの技でも勝てる。フィニュシュ? それはシークレットさ(笑)。その場の状況に応じて決めるよ。

 藤田が旧IWGPベルトを持ってくる? 私はそういうものは欲しくないし、金メダル持っていくつもりもない。あれは五輪で獲ったもの。この試合では、メダルに匹敵するものを獲って帰る。確かに自分は、エジプトで有名だけど、母国の国民は、私がレスリングだけでなく、総合でも勝つことを期待しているから、この試合をやるんだ。勝ったら、ぜひ(金メダルの時のように)バック宙をやってみたいね。

 戦うことへの恐怖はない。戦うことに慣れているし、もし怖かったら、この場にいない。勝つ自信は90〜95パーセント。残りの5パーセントは、もしかしたら「不運」があるかもしれないから。恐怖の問題じゃない。運の問題だ。藤田は運がなければ、私に勝てない。

 藤田はレスラーとしても、格闘家としても中ぐらいの選手。それほど高いレベルではないね。今までの試合を見たけど、5回くらいいい試合もしたが、あとはそれほどでもなかった。五輪という舞台は、非常に高い技術を持っている選手しか出られないんだ。藤田が参加できなかったのは、それだけの選手だったということ。プロレスなら、優れたプロレスラーだろうけどね。今回はそれに該当しない。

 家族は米国に住んでいて、私は1年に10カ月トレーニングに集中する。米国に加え、欧州、ウクライナ、グルジアでもね。米国では、K−1を2年前から、時々、見ていた。特に好きな選手というのはいないね。

■藤田 「投げて終わりじゃない」

 米国合宿では思いついたことはすべてやってきた。相手がレスリングの選手なんで、それ相応の練習をね。シミュレーションはできている。コーチもいろいろ考えてくれた。

 大阪ドームは先月(新日本11.13)以来。向こうは金メダルを持ってこないって? じゃあ、IWGP(ベルトを持っていくこと)もないね。相手にそれくらいの決意があるなら、持っていくけど。その程度の(意気込み)ものってこと。

(イブラヒムが藤田選手のことを中ぐらいの選手だと言っていたが?)ありがとう。中ぐらいで満足。ボクシングもできる? 打撃戦で自信があるなら、試合で見せてくれればいい。オレが運がないと勝てないって? フフフ、それだけあいつも不安なんじゃないかな。初めて(の総合)だと、そうなるもの。リング上がすべて。プロとして満足するものを見せてくれればいい。

 イブラヒムのスープレックス対策? 投げられちゃうんじゃないですかなね。でも(総合は)投げて終わりじゃない。それだけじゃ、お客さんも納得しないよ。そんな甘くない。そんな簡単に総合が分かるもんじゃない。まあ、どんな手を使ってでも、相手を倒しゃあいい。それなりのパターンを考えてある。最高の形で最高の結果を出せればいい。


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