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高崎計三

秋山成勲vs.桜庭和志の裁定に関する結果報告会見2/2
会見資料(原文ママ)

2007年01月11日



秋山成勲vs.桜庭和志戦の裁定に関する結果報告
メインイベント(HERO’Sルール10分 5分・延長5分)
 

・経緯
 12月31日(日)京セラドーム大阪で開催された「K−1 PREMIUM 2006 Dynamite!!」のメインイベントで行われた秋山成勲vs.桜庭和志戦の一戦は、5分37秒TKOで秋山選手が勝利を収めた。しかし、試合直後(正確には試合中よりアピール)から桜庭選手より、「タックルに行った際、秋山選手の体が異常にすべる。体に何か塗っているのではないか?」という強烈なクレームが入り、試合後「HERO’S審判団」に対して書面で正式な抗議、再検討の要請があった。   また、スポンサーサイド及びファンの多くから、試合中に秋山選手が使用していた右手グローブにあるべきはずの「EDWIN」のスポンサーロゴが消失している。従い、本来主催者が用意したグローブとは違うものを使用して試合を行ったのではないか?と言う問い合わせが多数あり、この件についても合わせて検証することになった。

・審判団ミーティング
 1月7日(日)、1月8日(月)に審判団が集まり、当日TBSやオフィシャルカメラが収録した映像(バックステージを含む)を見ながら検証。また、1月10日(水)秋山選手とセコンドを集めて事情聴取し、審判団としての処分、対応を決定→主催者である「Dynamite!!実行委員会(FEG及びTBS)」に報告した。

・検証結果 〜グローブ疑惑について〜
(1) Dynamite!!第4試合後の休憩後にバンテージ・チェックした秋山選手とセコンド(門馬、山田両氏)が競技役員室にグローブを取りに来たので、審判団のグローブ係・田沢競技役員より主催者が用意した「EDWIN」のロゴ入りのグローブを渡す。秋山選手は2Lか3Lか迷っていたが、実際にはめてみて3Lを選んだ。バンテージは主催者が支給した範囲のものであれば、ルール上いくら巻いてもOKだが、秋山選手はこの日多く巻いていたので、2Lでは入らなかった。→特に問題なし。

(2) 控室の映像でグローブを支給された秋山選手が須藤選手の試合あたりで控室に戻ってきているところが確認されている。その後、秋山選手ははめていたグローブをはずして、秋山選手が用意したベッドの横に置いている。この時、ロゴは両手とも確認。バンテージにも、審判団がチェックしたサインがあることを確認。→特に問題なし。

(3) Dynamite!!第8試合後の休憩後に秋山選手がウォーミングアップ・スペースに登場。この時の映像を見ると最初チェックしたサイン入りのバンテージをはめた秋山選手がウォーミングアップをし、その後支給されたグローブをつけてミット打ち→寝技のスパーリングを行っている。
 映像ではミット打ち、スパーリング中に秋山選手の右手の「EDWIN」のロゴがどんどんはがれていくところを確認。スパーリング途中では、完全に右手のロゴがはずれてしまっている。→秋山選手が故意にグローブを変えた形跡はなく、問題なし。

(4) ウォーミングアップ終了後、そのまま汗をかいた秋山選手に対し、審判団の判団の(ママ)グローブ係、岸名審判員が入念にグローブチェックをし、問題がないということで、赤いテープをそれぞれの手首に巻き、検印を押していることを映像で確認。→この時、審判員は右手のロゴがないことを見逃しており、審判員のミスが発覚。本来、ここで予備のグローブに交換していれば、今回のような混乱は起こらなかった。

(5) 試合。秋山選手が入場し、リング上(入力者注・「リング下」の間違いであろう)で芹沢サブレフェリーがボディチェック。この時もグローブチェックをしているが、右手に「EDWIN」のロゴが入っていないことをサブレフェリーも見逃している。→審判員サブレフェリー)(←ママ)のミスが再び発覚。

(6) 試合後、オイル問題もありリングから控室に退場する秋山選手に礒野ルールディレクターら数名が密着して同行する。控室途中の通路でボディチェックをする際、秋山選手より「腕が痛いのでグローブをはずしていいか」と言う要請が入る。そこで審判団の立会いの元で秋山選手のセコンドがハサミでグローブのテーピングとバンテージをカット。グローブ、バンテージとも異物が入れられていた形跡がないことを確認。その後、グローブはそのまま主催者が回収したが、公式の3Lのものだったことを確認した。→問題なし。

(7) グローブ制作会社への確認
【印刷過程】
・スポンサーからのロゴ納品→白ざぶとんに赤の「EDWIN」のロゴ2色。
・製品に圧着させる専用のシートにロゴを印刷。
・シートを規定の大きさにカット。
・シートに熱を加えて、グローブに圧着させて完成。

【はがれる可能性について】
 昨年Dynamite!!2005で問題がなかったので、同様の方法で行った。万が一はがれるとしたら、グローブが本革なので、革の感想の問題、または選手の汗があまりにも多い場合はがれる可能性がある。→実際に、当日回収した全グローブのロゴ状態を検証。他のファイターでは曙選手のグローブのスポンサーロゴが若干はがれかかっていたのが確認できた。よって、実際に今回のスポンサーロゴがはがれる可能性があることが証明されてしまった。

【審判団の見解】
 以上の結果、グローブについては秋山選手の故意の不正はどこにも見当たらず、それは映像からも十分検証できた。また、過去の例から言うと、選手によっては硬いグローブを嫌がり、支給されてからグローブを装着するまで踏んだり揉んだりして柔らかくする人がいて、今後グローブにスポンサーロゴをどのような方法で入れるか課題が残った。製作会社は早急に検討することを約束。また、今回このような事態が起こった原因を作ったグローブ係の審判員とサブレフェリーにペナルティ処分を与えることを決定。さらに三重四重のチェック機能を作ることを今後、審判団で検討することになった。

・検証結果 〜オイル疑惑について〜
【試合展開】
(1) 青コーナーより先に桜庭選手が入場。続いて赤コーナーより秋山選手が柔道愛好者140人の少年少女と共に入場。通常、選手はリングインする前のリング下で、サブレフェリーにボディチェックを受けるが、この時はいつもの秋山選手の入場曲が終わってしまいそうだったので、リング下で芹沢サブレフェリーが道衣を脱ぐか着るかを確認。秋山選手から「脱ぎます」という返答があったため、とりあえずリングインさせ、リング上でボディチェックをすることにする。芹沢サブレフェリーは秋山選手の道衣の中に手を入れ、体に直接手を触れて異物の存在、オイルの有無をチェックしたが、異常が認められなかったので、通常通り試合を開始することにした。

(2) 試合開始。両者キック主体の立ち技の攻防の中、1分39秒あたりで桜庭選手が秋山選手の左足にファーストタックル。テイクダウンは奪えず、再び立ち技の攻防になるが、2分5秒あたりで桜庭選手の左ローキックが秋山選手の金的に当たり、試合が中断。このインターバル中に桜庭選手がリング下にいた和田サブレフェリーに「体がすべるんですけど」とアピール。しかし、和田レフェリーは強い主張ではなかったこともあり、秋山選手の体を確認せず。梅木レフェリーはじめ他のジャッジ陣は、その時の桜庭選手のアピールは認識していない。

(3) 試合再開後、再びパンチ、キックの応酬が展開される。3分37秒あたりで桜庭選手が左足にタックル、足を抜くようにはずされたため、続けて右足にタックル。秋山選手は足を引っこ抜くようにタックルをはずす。それに対し、桜庭選手がコーナーに下がりながら「タイム!」をアピール。秋山選手がパンチでラッシュしていったため、レフェリーは試合をストップしないで、そのままパンチの応酬となる。(4) その後、いったん間合いは開いたが、再びパンチの応酬となり、桜庭選手が4分13秒あたりで三度目のタックル。タックルが取れず、桜庭選手はそのままガードポジションとなり、秋山選手がパウンドを何発も放つ展開へ。

(5) 秋山選手がパウンドを放っている間、桜庭選手は下から手を取りながら(腕ひしぎ等狙いに)「おい、レフェリー!」「すべるよ」と何度もアピール。秋山選手は構わずパウンドの連打。レフェリーも試合を中断することなく、「アクションしないと試合を止めるぞ」と返す。

(6) 試合はパウンドを連打されながらも桜庭選手の意識が飛んでいなかったため、レフェリーはリング下の本部席にいる平直行審判長とコンタクトをとる。HERO’Sルールでは、ドクターやサブレフェリーが危険と判断した場合、審判長が代表して試合を止める権限があるため、最終的に「このままでは危険な状態にある」「この状況では展開は変わらない」等を判断し、リング下の競技で審判長裁定によるTKOとなる。

(7) TKO後も意識のある桜庭選手は強い語気で「なんで?すべるよ!」とレフェリーにアピール。梅木レフェリーはすぐにその場で秋山選手の胸、背中をチェック。またジャッジの松本審判員が桜庭選手の講義の内容からいって、秋山選手の足を確認すべきだと言う指摘をしたため、梅木レフェリーはその時すでに道衣の下をはいた状態の秋山選手の裾をめくり、足のチェック。梅木レフェリーは、オイルの有無等、異常を確認できなかった。

(8) より正確な判断をするため、ルールディレクターの礒野審判員ら審判員一同がリング上で閉会式が行われる秋山選手の挙動に注目。リング下に下りてきてからは、すぐに礒野審判員が秋山選手の帯を抱えるように密着して同行。会場を退出するまで秋山選手の挙動をつぶさに観察したが、体から何かを拭き取るなど不正の痕跡を隠滅、隠蔽するような行為は一切なかった。

(9) 控室に戻る途中の通路で、秋山選手と同行していた礒野審判員、HERO’S平審判長、K−1ルールディレクター大成審判員が桜庭選手のセコンドを務めた豊永稔氏立ち会いのもと、秋山選手にもう一度道衣を脱いでもらい、ボディチェックする。まず、豊永氏に秋山選手の体に直接触れてチェックしてもらい、次に平審判長、大成審判員、礒野審判員が全身、特に足、ふくらはぎ、ヒザ裏などを入念に触れてチェックする。感触、臭い等から総合的に判断したが、「ヌルヌルしている」と感じた者もいたが、それがワセリンやオイル等不正な物質を塗布しているとまで言い切れないと言う判断になった。(10)桜庭選手サイドに審判団より説明したが、控室でさらに桜庭選手は何度もクレーム。後日、正式に書面で抗議の申し出があった。

【秋山選手の体に本当にオイルは塗られていなかったか?】
(1) リング上での、試合直前の芦沢レフェリー(入力者注・「芹沢サブレフェリー」の誤り)のボディチェック、試合後リング上での梅木レフェリーのボディチェック、さらにバックステージでの平、礒野、大成審判員と桜庭サイドのセコンドの豊永氏のボディチェックで、ヌルヌル感を感じた者もいたが、それがワセリン、オイル等と判断できなかった。しかし、秋山選手がいる赤コーナーの控室にいた関係者の数名が「秋山選手が体にクリームを塗っているのを見た」という証言もあり、当日、バックステージで撮影していたTBS、オフィシャルカメラの映像を全て見て確認することになる。

(2) その映像で入場ゲートに向かう直前に、ウォーミングアップを終えてグローブチェックも済ませた秋山選手が道衣を脱いで、セコンド2名に全身クリームを塗ってもらっているシーンを確認。後日、審判団の事情聴取に対し、秋山選手、セコンドもこれを最初から認めたが、本人はオイル・ワセリンは認められないが、クリームはOKだという認識不足が判明した。

(3) 秋山選手が全身に塗っていたのは、米国製の「オーレイ・クエンチ・ボディローション・エキストラ・ドライスキン」というクリームで、乾燥肌の人がつけるものと判明。ワセリンやタイオイルといった、よく格闘技用に用いられるオイルではないが、成分にはワセリンやグリセリンも含まれている油性のもの。また、桜庭選手が主張するように臭いも強い。塗ったすぐ後はスベスベ感しか残らないが、水分(汗)を含ませるとかなりヌルヌルになることが実験で判明した。

(4) また、HERO’Sルールでは、あらゆる全ての塗布物を体に塗ることは禁止されているため、何を塗ったかということではなく、異物を塗ったこと自体が反則となる。

(5) 映像を確認している段階で、試合直前のボディチェックの際、芹沢サブレフェリーによる秋山選手の下半身チェックは、道衣の上からしか行っていないことが判明。チェックミスが発覚した。

【審判団の見解】
(1) 梅木レフェリーのレフェリングについて。桜庭選手が「タイム!」をかけた時は、秋山選手がパンチの攻撃中だったことと、金的やサミング、バッティングといった秋山選手の反則や偶発生の事故により桜庭選手がダメージを負ったものと確認が取れなかったので止めることは出来ない。止めた場合は、秋山選手側のクレーム対象となる。また、その後両者の間合いが開くシーンがあったが、そこで桜庭選手が特にクレームをしなかったため試合を止めなかった。次に桜庭選手が下になり、クレームを言ってきたがこれも秋山選手の攻撃中であり、試合をストップできるタイミングではなかった。HERO’Sルールでは、あのような攻撃が可能な状態でのストップ→ドント・ムーブは行っていないので、ドント・ムーブで試合を中断しなかったのも、決してレフェリング・ミスとは言えない。決まり手もリング下の審判長の判断を仰ぎながらTKOとしたのもルール上何も問題なし。このことは審判団全員一致の意見だった。

(2) 桜庭選手の金的で試合がストップしている時、桜庭選手が和田サブレフェリーに「秋山選手の体がすべる」と主張したのならば、その時に秋山選手の体をチェックすべきだった。これは和田サブレフェリーの過失にあたる。

(3) 秋山選手がクリームを塗ったことに対して「悪質な故意」か?「過失」か?は議論が分かれるところだが、・秋山選手が堂々とクリームを塗っている映像を撮影スタッフに捕らせていること・本人を事情聴取したところ「あれは塗ってはいけないものだとは思っていなかった」と素直に認めているところ。・映像で聞き取れる秋山選手の会話などから「悪質な故意」とまでは判断できない。よって行為自体については「過失」と認定する。

(4) 秋山選手のオイルを塗った反則行為については、ルール上10%の罰金とされるが、それはあくまでも審判団がそれに気付き、オイル等が審判団の手によってふき取られて試合がその後も成立した場合のみ適用される。しかし、今回は最後まで審判団が確認できないまま、試合が終わってしまったので、まず試合そのものが不成立「ノーコンテスト」と認定。また秋山選手の反則行為はHERO’Sルール第8条(入力者注・礒野ルールディレクターが口頭で「第8条その20の誤り」と指摘)の『プロとして常識外の行為』と認定し、「失格」とすることを審判団で決定。

(5) 試合前後で、秋山選手のボディチェックは何度も審判団で行ったが、ワセリン、タイオイル等ではなかったため、明確にオイルを塗っているとは判断できなかった。このことは審判団の「過失」と自ら非を認め、桜庭選手に謝罪。審判団のミスに関してはプロモーターサイドに処分を一任することになった。

(6) なお過去、秋山選手が裸体で試合を行ったスミルノヴァス戦のバックステージの映像も全てビデオで徹底的に検証。この時は、秋山選手がクリーム、オイル等を塗る映像は見られなかった。

・処分(ペナルティ) 
【HERO’S審判団より】
(1) 秋山vs.桜庭戦をノーコンテストとする。
(2) 反則行為を犯した秋山成勲を「失格」とし、ファイトマネーを全没収する。

【プロモーターより】
(3) グローブチェックを見過ごした岸名審判員、芦沢(入力者注・「芹沢」の誤り)審判員のギャランティ50%没収。
(4) ボディチェックでオイルが判明できなかった芦沢(入力者注・「芹沢」の誤り)審判員、平審判長、礒野審判員、大成審判員、梅木審判員のギャランティ50%没収。またグローブ及びボディチェック両面でミスがあった芹沢審判員は、6ヶ月間の職務停止処分。桜庭選手のアピールに対して対応しなかった和田審判員もギャランティの50%を没収。
(5) HERO’S審判団全員に対して厳重注意。
 今後このようなことが起こらないよう改善策の検討を要求。また、ルール改正を要求。

以上

 最後に今回の件でこのような注目の一戦を混乱させたことに対し、主催者として桜庭選手、ご協賛各社の皆様方、関係者の皆様方、そしてファンの皆様方に心よりお詫び申し上げます。

Dynamite!!実行委員会

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【関連リンク】
秋山「タイムと言われてタイムする格闘家はいない」(07.01.03)
「Dynamite!!」秋山vs.桜庭詳報(06.12.31)
「HERO’S 2006」秋山vs.スミルノヴァス詳報(06.10.09)

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