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高崎計三

秋山成勲vs.桜庭和志の裁定に関する結果報告会見1/2
秋山は反則行為で失格、公式記録はノーコンテストに

2007年01月11日

会見に出席した秋山は「何の弁明の余地もありません」と謝罪
会見に出席した秋山は「何の弁明の余地もありません」と謝罪【 高崎計三 】


 11日午後3時より都内ホテルでFEGが記者会見を開き、12月31日、京セラドーム大阪「Dynamite!!」での秋山成勲vs.桜庭和志の裁定に関する結果報告を行った。
 会見に参加したのは、谷川貞治K−1イベント統括プロデューサー、平直行HERO’S審判長、礒野元・同ルールディレクター、梅木良則・同審判員の4名。まずは谷川氏が「時間がたってしまったことをおわびします。問い合わせやネットの書き込みがかつてないほどで混乱しましたが、正月休みだったため調査する対象の人が田舎に帰ったりしていて、時間がかかりました。審判団を中心に徹底的に調べましたので、正直にお話しします」とあいさつ。
 その後、礒野ルールディレクターが経緯と検証結果、処分について説明。会見資料を読み上げる形で進められた。その要旨は以下の通り。


秋山成勲を「失格」とし、ファイトマネーを全没収する

写真左から梅木審判員、平審判長、礒野ルールD、谷川EP 写真左から梅木審判員、平審判長、礒野ルールD、谷川EP【 高崎計三 】
・グローブ疑惑について
 グローブ、バンテージとも問題はなかったが、ウォーミングアップ時にロゴ部分がはがれた(映像により確認)ことが事前のチェックで見逃されたために、混乱を生じる結果となった。

・オイル疑惑について
 ワセリン、タイオイル等の塗布はなかったが、秋山は全身にスキンクリームを塗っていた。これは「ワセリン、タイオイルは認められないが、クリームはOKだと思っていた」という秋山の認識不足によるもの。検証、事情聴取の結果、(カメラの前で堂々と塗っていたことなどから)悪意ではなく過失と判断。
 以上により、HERO’S審判団は以下の処分を決定。

(1) 秋山vs.桜庭戦はノーコンテストとする。

(2) 反則行為を犯した秋山成勲を「失格」とし、ファイトマネーを全没収する。

 またプロモーターサイドからはグローブチェック、ボディーチェックを見過ごした審判員、桜庭のアピールに対応しなかった審判員(サブレフェリー)にそれぞれギャランティの50%を没収。また、グローブ、ボディーチェック両面でミスがあった審判員1名は6カ月間の職務停止処分。さらにHERO’S審判団全員に厳重注意、という処分が下された。
 なお、試合ストップのタイミングに関して梅木良則レフェリーに過失はないことが検討の結果、判断された。

 谷川氏はまた、以下のようにコメント。
「試合翌日、新聞の写真でグローブのロゴがないことを確認しました。グローブが支給されたものでなかったというのが本当だとしたら永久追放、タイトル剥奪(はくだつ)も辞さないという考えで審判団に徹底追求を指示しました。オイルの件も、過去に裸体で闘ったスミルノヴァス戦のバックステージのビデオも確認。ドーピングなどは、後から判明しても処分しなければなりません。そういうことで過去の映像を見ていたので時間がかかりました。問題になったのは、悪意か過失か、という点。グローブに関してはまったく不正は見当たりませんでしたし、悪意を示す発言も行為もなかった。自分もクリームを買って塗ってみたんですが、確かに塗ったときはサラサラで分からない。ただ秋山選手も素直にわびましたし、カメラに映っているところで堂々と塗っていたり、臭いがするとか、普通に話していた。悪意があったと認定するものがありませんでした」と説明。
 ただし処分については、「失格はある意味、反則負けより重い」ということで納得したとのこと。「変な風に隠してうやむやにするつもりはありませんでした。また、桜庭選手には昨日の夜中に報告しましたが、納得はしていません。自分は正々堂々と闘いたかったし、相手が反則をしてリングに上がった状態で自分はボコボコに殴られているんだから、どんな処罰が下ろうとも納得はしていないということでした」と語り、時間がかかったこと、このような結果となったことを関係各位、ファンに改めて謝罪した後、最後に「ノーコンテストということで、これで再戦を組む気持ちはまったくありません。決着をつけるべきという論調が出たとしても、それには乗らない。二人が頑張れば自然な形で闘うこともあるかもしれないが、このことがきっかけで再戦、ということは考えていません」と強調した。


秋山 「何の弁明の余地もありません」

「どうしてもファンの前で謝罪したい」と秋山も同席 「どうしてもファンの前で謝罪したい」と秋山も同席【 高崎計三 】
 ここまで発表されたところで秋山本人が「どうしてもファンの前で謝罪したい」とのことで姿を見せ、以下のように語った。
「まずはじめに、あの大舞台で桜庭選手との試合をさせていただいた関係各位の皆様、そしてあの時に集まってくれた140人の柔道の子どもたち、それから全国のファンのみんなに対し、本当におわび申しあげなければなりません。自分のとった行動が本当に皆さんの事を裏切ってしまい、本当に深く反省しております。処分に関しては、ルール違反でないと自分で思っておりましたが、本当にそこの認識のなさがこのような問題を起こしてしまい、深く反省し、痛感しております。その試合の後、いろんな不信感があり、いろんな問題が起きたんですけれども、そのことに関し、自分は本当に悪意を持ってしておりません。ですが、疑いを持たれること、それ自体が大きな問題になってしまい、そのことを心から痛感し、反省して、何の弁明の余地もありません。処分に関しても、桜庭さんが納得されてない部分もたくさんあると思います。ですが、自分はどんな処分も受けるつもりでいてます。その処分を受けて、また桜庭さんと機会があれば、笑ってリングの上で闘えればなと思うというのと、しっかりと桜庭さんの目を見て謝罪をしたいと思っております。そして、自分がこういう風になってしまった以上、もう一度、格闘技の名誉と僕を応援してくれる柔道の子どもたち、ファンのみんなに応援してもらえるようにこれからしっかりケガを治して精進していきたいと思います。本当に申し訳ございませんでした。そして最後に、桜庭さん、本当に申し訳ありませんでした」

 その後の質疑応答では、秋山に質問が集中した。以下、その一問一答。

──控室で塗っているときに、周囲にやめた方がいいという人はいなかったのか?

秋山 山田トレーナーはセミに出る鈴木悟選手のところに行っていた。それで、周りにはプロの人間がほとんどいなかった。幼なじみとか友だちとか、寄せ集めの草野球チームのような感じで頑張ってきて、それを自信にしていたが、塗っていたときにそういう言葉をかける人間は正直、いなかった。

──クリームは何のために塗ったのか?

秋山 もともと毎日使っていたもので、柔道の時から保湿のクリームとか、女性の方も使うと思うが、手足が多汗症で、いつもタオルを持っていなければならない体質。冬は汗が出る分、外側がすごく乾いてしまう。だから日常の生活の中で使っている乳液を使ってしまった。

──全身に?

秋山 顔ももちろん、手に塗ったり、シャワーを浴びれば体に塗ったりと、全身に塗るのが毎日の生活の一部だったので。

──塗らなければ乾燥でひび割れたりする?

秋山 そうです。

──全身に塗ったのか? それとも一部の部所だけ?

秋山 ある程度、いつも腕に塗ったりとか、肩に塗ったりとか、顔に塗ったりとか、全身くまなくという、指先まで全部塗ったりは……。まあ適当っちゃ適当なんですけれども……、塗りました。

──スミルノヴァス戦でクリームを使わなかったのはなぜか

秋山 時期的なものもある。あれは10月で、自分の中ではまだ暖かい季節だった。今回は12月31日で寒く、すごく乾燥する時期ということと、そこまでクリームを絶対に塗ってどうこうという、自分の性格のこともあるし、なぜ塗らなかったのかといえば季節のこと。

──桜庭から「すべる」という抗議が出たときに、自分のクリームのことではないかという疑念はなかったか

秋山 試合中は興奮もするし、正直、何を言っているのか分からなかった。時間を経て、いろいろ抗議とか問題が起きたときに、自分でも隠すつもりもないし悪意もないので、よく考えたらそうだったなというのは後々、気付いた。


礒野ルールD 「次の大会までに(改善策を)作っていく」

3月のHERO’S開幕までに改善策を講じると谷川氏 3月のHERO’S開幕までに改善策を講じると谷川氏【 高崎計三 】
 礒野ルールディレクターに対する質問と、その答えは以下。

──秋山選手のグローブが大きかったことについて、バンテージの巻き方に差が出ることについて問題は感じないか?

礒野 総合格闘技は戦略の幅が広い競技。打撃系の選手が、もちろん支給された範囲で厚く巻く、グラップリングの選手が手を抱えられることを嫌って薄く巻く、場合によってはまったく巻かない選手もいるというのは、選手の戦略に基づいた自由だと思っている。選択の権利が与えられないなら不公平だが、そうでなく公平な選択肢を与えられて判断することだから、今回は不公平はまったくないと考える。

──直前に秋山選手が柔道着を着ない選択をしたことで、チェックの問題が起きた。今後は?

礒野 用具チェックやコスチュームのチェックは機会あるごとに行っている。だが、秋山は試合直前のインスピレーションで決めるという方向で今までしてきた選手。これまではなるべく選手の希望に沿うようにやってきたが、今後は真摯(しんし)に受け止め、コスチュームの管理、制限を設ける可能性もある。何らかの改善は必ずする。

──支給されるバンテージは何メートル?

礒野 何メートルかは把握していないが、布のバンテージは左右1組。それから通常のテーピングテープを左右1本ずつ支給している。長さに関して正確な数字が必要なら、調べてお答えする。

──「三重四重のチェック機能」は人数を増やすということか?

礒野 一つの方法で誰もが100%満足するチェック方法はまだできない。人数を増やすか、もしくはインスペクターと呼ばれる中立の人間を各控室に配置することも一案としてある。人員を増やすということは一つの有力な方法。柔道着に関しては、入場コスチュームやグローブを含む競技備品を試合開始直前までゲート前で審判員が預かり、チェックした後渡して入場するのはどうか、という案も出ている。次の大会までにシミュレーションして作っていくことになると思う。

谷川氏補足 改善策はまだ、そこまで話し合われていない。HERO’Sは3月にスタート予定だが、それまでに作る予定なので待っていてほしい。入場前、前の試合の時に待っている際にチェックすればいい、などとは自分も思ったので、自分からもぶつけて話し合っていく。


梅木審判員 「過失があった、また経験不足だった」

問題の一戦を振り返った梅木審判員は「自分の中では止めるタイミングがなかった」とコメント 問題の一戦を振り返った梅木審判員は「自分の中では止めるタイミングがなかった」とコメント【 福山洋平 】
 同席した平審判長、梅木審判員は要請に応え、こうコメント。

 僕らが触った時点でまったく分かりませんでした。汗をかく前と引いた後だったので。リング上で起こったことに対し、現実問題として全部は伝わってこないし、試合の性格上、選手を守るというタイミングでストップをかけるということを第一に考えていたので、桜庭選手には本当に申し訳ないことをしたなあという思いだけです、僕は。審判団としてというより、人間というか、僕も格闘技をプロでやってきたんで、すごく申し訳ないとしか言いようがないです。大舞台で、勝ち負けもあるんですが、試合中に迷いを作らせてしまった時点で、試合は変わってしまうと思う。謝罪をしてもしきれないという思いでいっぱいです。申し訳ございませんでした。

梅木 自分自身、過失があった、また経験不足だったということを認めざるを得ないのはやはり、試合後に桜庭選手の抗議を受けて秋山選手の上半身および下半身を素手で触ったにもかかわらず、それを塗り物だと断定できなかったところに、自分自身の過失があると思っております。今までは文書にもあるように、ワセリンとかタイオイルとかそういったものに関してはすべて発見してきたと思います。ただこのような、一般に使われている、常識的なクリーム、肌に塗るべきものを選手が塗布してきた場合にも、それがしっかり、塗り物だと判断できるよう、今後自分自身、もちろん審判団また私が他でレフェリングしている大会でもそういうものをしっかり発見できるように経験し、勉強していきたいと思っております。

 最後に梅木審判員には、「ストップのタイミングは、まだやれるという判断なのか、異常な状況に対して止めることをためらったのか?」という質問がなされた。

梅木 まずあの時点、映像などで確認をしましたが、あの映像を見た方々が、なぜ止めないんだと疑問を感じる気持ちも、私自身分かりました。ただ、メーンレフェリーで、目の前で桜庭選手の状態、秋山選手のパンチ、そういうものを見ていた私自身の判断としまして、あの時点での秋山選手をストップするのは、試合として早いという風に判断しました。それも文書には書いてあるんですが、桜庭選手の意識が一瞬でも飛ぶことがあれば、当然私は止めます。また、桜庭選手が完全に意識を失ってしまった、当然それも止めます。また、桜庭選手が何もせずに顔面を殴られ続けているという状態だったとしたら、それも私は止めます。ただ今回に関しましては、桜庭選手、意識はまったく飛んでおりませんでした。また桜庭選手は私が呼びかけるアクション、止めるぞ、その他の言葉に対しても反応が遅れることもなく、支離滅裂な言葉を言うこともなく、しっかりと答えられていました。その状態でもし止めたとしたら、説明ができない。自分の中では止めるタイミングがなかったので、説明ができません。もしこのような事態がなかったとして、あそこで止めたとして桜庭選手が「なぜ止めたんだ」と詰め寄ってきたときに、私が説明するすべがありませんでした。今までの大会で、いくら皆さん、マスコミやファンの皆さんに早いと言われようが遅いと言われようが、試合をストップするタイミングというのは自分自身でしっかり決めて、何を言われようと説明ができる状態でやっていました。ですが今回のあの場面ではまだ私の中で止めることができませんでした。ただHERO’Sにはまた、審判長というシステムがありますので、事実、殴られている、殴られ続けているのは事実だったと思います。なので、審判長に、この状態は止めなければいけないのかどうかということを審判長に投げかけて、HERO’Sの審判団のシステムを最大限に生かしてレフェリングをしたつもりです。

 会見後、桜庭からのコメントも発表された。全文は以下の通り。

■桜庭 「僕は正々堂々とやりたい。ただそれだけです」

 今回の裁定に関して。
 イベント関係者に、ご心配、ご迷惑をおかけしたこと、ファンに対しても、後味の悪い試合になってしまったことに、おわびいたします。申し訳ございません。また、いろいろとご意見をいただいたファンの方に感謝いたします。ありがとうございました。こちらは正々堂々と試合に臨んでいるのに、このような結果になったことに対しての、今回の処分内容に関しては納得しておりません。
 秋山選手に対して。
 僕は勝敗だけにこだわってはいません。今回は、イベント関係者、清原選手、一緒に入場した子どもたち、ファンの方に対して、謝って済む問題ではないけれど、謝ってほしい。僕はリングに立つときは正々堂々とやりたい。ただそれだけです。

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