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ジュビロ磐田が優勝! 2002年ファーストステージ総括 ポゼッション・フットボールを志向するJリーグ
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第1ステージの優勝を決め、喜ぶ磐田イレブン=柏の葉【共同】
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■ポゼッション・フットボールを理解しよう
ジュビロ磐田のファーストステージ優勝が決まった。13勝1分け1敗、文句なしの戦績。内容もチャンピオンにふさわしい堂々たるものだった。2位は前節まで首位だった横浜F・マリノス、優勝を逃したのは惜しかったが、良いパフォーマンスを見せた。
さて、総括。白状すると、総括できるほどまんべんなく試合を見たわけではない。なので、あくまでも僕の見た範囲内での、かなり個人的な総括である。
プレーの質は上がっていると思う。エンターテインメントという点でも、たぶんマルではないだろうか。ボールをキチンとつなげるチーム、ポゼッション・フットボールを志向して、ちゃんと出来るチームが増えた。優勝した磐田と、鹿島アントラーズについては、もともとボールポゼッションに定評があった。それに今、横浜が肉薄している。京都パープルサンガも、ボールを大事にするサッカーをやって軌道に乗せた。ただパスを回すだけでなく、それで結果を出している。
J1で優勝するには、ボールポゼッションがしっかりしていないと難しい。これは過去の優勝チームを見ても明らかだと思う。フィジカルの強さを前面に押し出したり、カウンターアタックがウリというタイプは、ほとんど勝っていない。ファンも、基本的にはテクニカルで、パスを奇麗に回していくスタイルが好みのようだ。欧州のリーグと比較すると、フィジカルと戦術の要素が薄いのは気になるが、パスを回していく綺麗なサッカーはJリーグの特徴になりつつある。
一方で、ポゼッション・フットボールが本当に理解されているかというと、ちょっと怪しい気がしないでもない。例えば、横浜は最少の11失点だったが、これをもって守備が強い、あるいは守備的なスタイルと短絡的に結論づける人が意外といるようなのだ。横浜のプレーを見れば一目瞭然(りょうぜん)、失点が少ないのは彼らがボールを持っている時間が長いからである。中澤佑二、松田直樹、ナザの3バックは確かに強い。しかし、失点が少ない原因は何といってもボールポゼッションがよく、変な取られ方もしないからだ。
■独自のスタイルで幅を広げ、磐田・鹿島の「成熟度」に追いつくチームは現れるか
ゴールということに話を限定すれば、ほとんどのゴールは5本以下のパスから生まれている。しかしだからといって、すべての攻撃をパス5本で完結させようとすれば、おのずと攻撃の精度は落ち、ボールを失う回数は増える。速く攻める方がいいに決まっているが、あまりにゴールへ意識が向かいすぎると、簡単にボールを失う。ボールを失ったら元も子もない。ポゼッションのキモは、ボールを持っている限り得点の可能性はあり、失点の危険はないということ。つまり、ボールを支配して、相手より多くのチャンスを作り、相手にはより少ないチャンスしか与えない。その結果、相手より多くのゴールを挙げる可能性が高くなる、という考え方である。
ポゼッション・フットボールとは、言い方を変えると、サッカーにつきものの偶然性をなるべく少なくして、自分たちの意思の下に90分間のゲームをコントロールしようという試みだといえる。もちろん、ポゼッション・フットボールが一番優れているというわけではない。イタリアみたいにカウンターのうまいチーム、ひと昔前のイングランドみたいに手数をかけずにハイクロスをバンバン放り込む方法だってある。
ただ、Jリーグではポゼッションの優れているチームが有利という傾向が見て取れるだけだ。優勝した磐田はほぼ6年間、中心選手が変わっていない。鹿島も少しずつ、メンバーを変えながら継続的にスタイルを維持してきた。横浜のラザロニ監督は、磐田や鹿島との差は「成熟度」だと言う。「彼らが何年かけて、今のチームを作ってきたか。われわれはまだ新しいチームで、続けていくことが大事だ」と、最終節後に話していた。磐田が優れているのはパスワークにおけるコンビネーションと、ゴールかボールか、いつどちらを優先するか、そのバランス感覚に優れ、そこに共通理解があるからだと思う。つまり、成熟しているのだ。
ところで、来季から延長がなくなるらしい。いいことだと思う。横浜vs清水エスパルスの最終節は、90分で終わっていればいい試合だったのに、余分にやった延長の30分間はガクッとクオリティーが落ちて後味が悪かった。自ら商品価値を落とすようなリスクを冒す必要は、もうないだろう。引き分けありとなれば、カウンターに磨きをかけるチームも出てくるかもしれない。そうなれば、またJの幅も広がるというものだ。
<了>
■西部謙司(にしべ けんじ)
1962年9月27日、東京生まれ。少年期を台東区入谷というサッカー不毛の地で過ごすが、小学校6年時にテレビでベッケンバウアーを見て感化される。以来、サッカー一筋26年、早稲田大学教育学部を卒業し、商事会社に就職するも3年で退社。サッカー専門誌の編集記者となる。95〜98年までフランスのパリに在住し、欧州サッカーを堪能。主な著作に『Eat foot おいしいサッカー生活』(双葉社)、『サッカーがウマくなる!かもしれない本』(出版芸術社)がある
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