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夏の終わりを告げる、UEFAカップ最終予選と欧州スーパーカップ(後編)
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欧州スーパーカップ、レアル・マドリー対フェイエノールト。フィーゴとジダンの間を抜いて突破を図ろうとする小野伸二【(C)Getty Images/AFLO】
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■メジャーサッカーの世界
8月30日、モナコで欧州スーパーカップが行われた。前チャンピオンズリーグ覇者レアル・マドリーと前UEFAカップ優勝のフェイエノールトが、ヨーロッパ最強のクラブチームの座をかけて戦った。
ルイ二世スタジアムは、淡いピンク色をした愛らしい球技場だ。午前中から降り出した雨は、試合が始まるとやみだした。スタンドは満員の観客で埋め尽くされ、なじみのスター選手たちが入場してきた。フィーゴやラウルに混じって、少し髪の毛が伸びた小野伸二が立っていた。私は、この試合で、あらためて小野のすごさを目撃させられて、彼のあるプレーを何度も頭の中でリフレインさせた。
それは後半55分の出来事だ。フェイエノールトの主将ボスフェルトが、中央突破をしようとしてペナルティエリア前で倒される。FWのファン・ホーインドンクが、得意のフリーキックを右足でける。ボールは壁を越えて、GKカシジャスの左手を抜けてゴールに吸い込まれた。
この時、小野はどこにいたのか?
フリーキックを防ぐために、レアルは壁を6人用意した。一方で、フェイエノールトはボスフェルトと小野の2人をレアルの壁の邪魔をしに置かせる。キッカーがボールをけろうとした瞬間に、レアルの選手たちは、ジャンプしてボールが自分たちを越えてゴール方向に行かないように防ごうとする。小野は、ホーインドンクがけるボールのコースを予測して、中腰になって両手をいっぱいに広げて、レアルの選手がジャンプできないように相手の腕を力一杯抑えて、自分も頭を下げてシュートコースを作っていた。彼の目立たないこのプレーが、ホーインドンクの得点を生み出した。このほかにも小野は、ロングシュートやダイレクトシュートなど何度も見せ場を作ったし、トルシエ時代の日本代表の彼とは違った姿を見せた。
試合は、ロベカルのワンツーからのシュートやフィーゴのセンタリングをヘディングで合わせたグティの得点など、3対1でスペクタクルサッカーを披露したレアルが、スーパーカップを手に入れた。試合終了後のセレモニーの中で、レアル主将のイエロはベンチに向かって手招きをしていた。背広姿のモリエンテスがパスを首から下げたまま、ピッチに入ってきた。彼は、恐らくロナウドと交換でインテルに移籍するだろうから(深夜のニュースによれば、前日まで出場予定だったのが急きょ取りやめになった原因は移籍確定であるからという)、これがレアル最後のステージだろう。移籍は、プロフェッショナルだからそれが当たり前なのかもしれない。でも、イエロがモリエンテスの頭をなでた時、私はなぜか感傷的な気分になってしまった。
昨日と今日見た夏の終わりを告げるサッカーは、空席だらけのスタンドと満員のスタジアムだったけれども、同じフットボールに違いない。私は、「スポーツナビ」で、これから始まるチャンピオンズリーグや欧州選手権でさまざまなサッカーの持つ顔を、そして、小野伸二のように欧州で活躍する日本選手を、広く読者のみなさんに伝えることができればと願っている。
<了>
■川本暢/Mitsuru Kawamoto 現在スイスのジュネーヴ大学言語学研究所に所属。言語学者フェルディナン・ド・ソシュールの研究者。専門とする古典語は、サンスクリット語(インドの古代語)などで、インド文学や文法学にもフィールドをおく。今年の上半期は、ポーランドやスペインなど日本代表の欧州遠征に帯同し、またフランス代表とリーグ1を現地観戦している。下半期は欧州選手権やチャンピオンズリーグを観戦し、ドイツでプレーする日本選手達のルポを行う予定。サッカーコラムを「Jスカイスポーツ」「スポーツパラダイス」などに、専門研究は雑誌「ユリイカ」(青土社)に執筆中
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