大神雄子、WNBA挑戦の成果と未来
日本帰国記者会見
■5カ月間の成果は英会話にも現れた
「First of all, Thank you for coming today all of the basketball fan and media people……」
流暢な英語から始まった記者会見。日本人女子として萩原美樹子以来2人目の米女子プロバスケットリーグ・WNBAのプレーヤーとなった大神雄子が堂々とあいさつをし終えると、会場に居たメディアや関係者からは自然と拍手が起こった。
「(WNBAに参戦した間に)1番得たものといえば英語なんじゃないかなと。バスケットボールうんぬんという以前に、チームスポーツであるバスケットには一番重要なんじゃないかなと思い、5カ月間、英語の勉強を頑張ってきたつもりです」。
大神がWNBAへの挑戦を正式に表明したのは今年3月。小学生のころからの夢だった米国でのプレーを目標とし、その実現に向けて動きだした。そして4月上旬に渡米、同月19日から、昨季のリーグ優勝チームでもあるフェニックス・マーキュリーのトライアウトとトレーニングキャンプに参加。そこで認められて契約を結ぶと、現地時間の5月17日のWNBA開幕の日、フェニックス・マーキュリーの一員として世界最高峰のコートに立つこととなった。
「(渡米当初は)コミュニケーション不足のところもあったのですが、監督やスタッフの人に認められ、周りの人に後押しされメンバーに残れたんじゃないかなと思います」と、振り返った大神。周りの人と積極的にコミュニケーションをとる中で、英会話を上達させ、そしてチームメートとプレーでも通じ合えるようになっていった。
■日米の1番の違いは「パワー」
ルーキーイヤーとなった大神は今季、23試合に出場し、総得点56点(1試合平均2.4点)、平均出場時間7.8分と、スタメンとしてではなく2番手のポイントガード(PG)としての役割を果たした。JOMOサンフラワーズの内海知秀ヘッドコーチは「(フェニックス・マーキュリーの監督からは)PGとしてミスのないゲームメーキングをするとういことを要求されていましたが、日本でやってたときと多少違うが、PGとしての役割をよくやっていたという印象を受けました。(途中出場での)6番目の選手として出て行く中でゲームメークをするというのは、非常に難しかったと思います。でもそのあたりの難しさが彼女にとってはプラスになったと思っています」と、日本帰国後に行った練習の姿を見て、厳しい戦いの中で大神が成長した部分について語った。
また、大神本人は米国での挑戦について、移動時間の長さや時差の調整など試合外での苦労や、試合内でもジャッジに対する日本との違いに対応しきれなかった部分があったと話した。
「パスミスより、ダブルドリブルやトラベリングなど、(日本ではあまり取られない)笛になれない部分があった。ファウルのジャッジに対しても、少しでも手が触るとファウルを取られたりして、少し対応できなかった」
なかでもWNBAと日本の最も違う点は、「パワー」の差だったと強く語る。
「(日本人でも)通用するのはスピードとハンドリング。プレーの細かさについては日本人でもぜんぜん通用するし、勝っている。けれども、パワーで圧倒される部分が大きかった。いくらスピードが速くてもパワーでつぶされることがよくあった。ここって決めたときに貫く気持ちとプレー、ぶつかってでもチャージしても行く強さというのを肌で感じた」。
この大きな違いを克服するために、大神は渡米前からパワーの強化を課題としていた。その中で、シーズンを通し筋力アップと体幹のトレーニングをこなすことを日課としていたようだ。トレーニングは、チームの練習の前に1時間、練習後に1時間、そして自主トレの時間にも取り入れ、世界で負けない体を作る努力をしていた。
「(WNBAの挑戦において)体の強さを強化してきました。それがプレーの強さにも出て来ているはず。得点、パスよりも強さっていう部分を日本のみんなに伝えていきたい」。
■未来を決める大事なシーズンが始まる
課題や成長が見られた米国での1年目を終え、今後もWNBAに挑戦したいという意向は変わらない。
「個人の目標としては、WNBAでルーキーイヤーのメンバーに残ったことだけで終わらすのではなく、2年、3年と居続けること、最後にファイナルの舞台に立つことが私の目標」。
そのため、今季のWリーグは、大神にとって大事なシーズンとなる。それは、WNBAに継続して参戦するためにも、リーグの中でスカウトの目に留まるほどのスタッツを残すことが必要とされるのだ。
「(スタッツを残さなければいけないというのは)自分自身に対する大きなプレッシャーになるけど、アメリカでやってきたことが間違いじゃなかったことを示すためにも、頑張りたい。それに昨季富士通に2冠を奪われたので、チームとしてもそれを奪い返したい」と、チームとしても個人としても、高い目標を持って今シーズンに臨む。
また、大神の挑戦には五輪という舞台も視野に入っている。今回惜しくも逃した五輪の出場権は、2012年のロンドン五輪で、自分たちが中心となって雪辱を果たし、日本代表を五輪に連れて行きたいという気持ちにもつながっている。
WNBAでの経験を表現する舞台は、もう目の前に迫っている。
「プレーは10月3日のWリーグ開幕の日、コートの上でしっかり表現したいと思います。それを見て(WNBAでの成果を)皆さんに評価していただけたらと思っています」
<了>




