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小永吉陽子
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スポーツナビ
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“3強”を中心に繰り広げられたメーンコートバトル
〜ウインターカップ2006 大会最終日〜
2006年12月31日
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| インターハイの覇者・北陸(白いユニホーム)は準優勝。決勝は7度目の挑戦だったが、優勝にはたどりつけなかった【 写真提供:(C)日本バスケットボール協会 】 |
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■洛南が北陸にインターハイの雪辱果たす
洛南(京都)対北陸(福井)――。決勝は夏のインターハイ決勝の再現となった。洛南は準々決勝で明徳義塾(高知)、準決勝で福岡大附大濠(福岡)を撃破。北陸は準々決勝で明成(宮城)に完勝したあとは、準決勝で八王子(東京)との接戦を制した。どちらも、セネガル人留学生率いるチームを倒しての決勝進出だ。
決勝は第2ピリオド中盤から洛南が主導権を握った。竹本涼と井関慎平らガード陣の速い攻撃から、エース湊谷安玲久司朱が抜群のオフェンス力でゲームを引っ張る。北陸は豊富な運動量を誇る多嶋朝飛、篠山竜青、井出勇次ら3ガードが激しいディフェンスを展開し、第3ピリオドには13点離されたリードを4点差まで詰める追い上げを見せた。しかし、洛南は一度握った主導権を離すことはなかった。最後は湊谷のゴールラッシュでとどめを刺し、104−82で洛南が4年ぶり2度目の優勝に輝いた。
それにしても、洛南のエース湊谷のシュートは、ゴールに吸い込まれて全く落ちなかった。ウインターカップ決勝での40得点という記録は、93年大会で土浦日大の安西智和(現前橋育英コーチとして今大会に出場)が対福岡大附大濠戦で作った記録とタイ。この湊谷に安定感が出てきたことと、最後までゲームを引っ張った3年生たちの自覚。さらには、要所で巧さを発揮した1年生の比江島慎、谷口大智らの成長もあり、洛南のチーム力は向上していた。女子優勝チームの中村学園女子と同じく、インターハイより“進化”していたことが勝因だった。
■高校界をリードする洛南、北陸、大濠の強さの秘密
4年ぶり2度目となる優勝を果たした洛南(写真奥)。湊谷(中央)は決勝戦で驚異の40得点をマーク【 写真提供:(C)日本バスケットボール協会 】
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今大会は、優勝した洛南を筆頭に、準優勝の北陸、そして3位の福岡大附大濠といった現在の男子高校界をリードする“3強”の力が頭一つ抜けていた大会だった。この3強に加え、セネガル人留学生を擁する八王子(今大会4位)、延岡学園(今大会ベスト8)、福岡第一(昨年のウインターカップの覇者)らによってしのぎが削られ、そして全国大会で優勝50回を超える能代工業が絡むのが、近年の男子高校界の図式になっている。
“3強”のバトルは熾烈だった。福岡大附大濠の田中コーチは準々決勝で延岡学園を下した後、「(準決勝で対戦する)洛南に勝たなきゃ気がすまない!」と闘志をみなぎらせていた。夏のインターハイでは予想外の大差で洛南に敗れたため、雪辱戦を誓っていたのだ。この2チームより一足先に決勝進出を決めた北陸の津田コーチは、決勝は洛南と福岡大附大濠のどちらと対戦したいかの問いに対し「洛南がいいですね。チームが若いから。大濠はとにかく強い。乗せたら怖い」と口にしていた。そして、洛南の吉田コーチは、福岡大附大濠との準決勝を制したあと「北陸にはインターハイで負けているからぜひとも雪辱したい」と語っていた。
とにかく、この3強は“ライバル心”の炎がメラメラと燃えたぎっているのだ。お互い招待試合や公式戦で争うことも多く、手の内を知り尽くしているだけに、そこでの駆け引きもまた見どころとなっている。私学ゆえに有望な選手をリクルートして育成していることも上位進出の要因だが、それ以上に名門校の名にかけて高いプライドを持っていることが、高校界をリードしている最大の理由ではないだろうか。
そして何より忘れてはならないのが「ディフェンス力」だ。これら3強は90年代には低迷した時期があった。特に、北陸と福岡大附大濠は下位回戦でのとりこぼしが目立ち、能代工業(秋田)や仙台(宮城)といった、執念や泥臭さがあるチームに代表される“粘り”の前に屈することが多かった。そこで強化を図ったのがディフェンスだった。
洛南は高さと集中力あるディフェンス、北陸はアグレッシブなディフェンス、福岡大附大濠はここ一番で発揮される脚力あるディフェンスが身上。ここ数年、3強が安定した実力を誇っているのは、持ち前のチームカラーを生かしつつ、ディフェンスを強化したことにほかならない。もともと能力ある選手たちにディフェンス力がついたことで、おのずと結果がついてくるようになったのだ。現在の高校界はディフェンス力なしに上位進出は考えられない時代になっている。
■“伝統”はメーンコートで築かれる
来年に向けて、雪辱を誓う3位の福岡大附大濠【 写真提供:(C)日本バスケットボール協会 】
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「僕ら3年生3人は、2年間ここで負けた試合を見てきた。もう負けたくなかった」と、洛南のキャプテン竹本は誇らしげに語った。その言葉の陰には努力の跡がうかがえる。
北陸は久井コーチが現役だった時代から数え、7度目となるウインターカップの決勝にチャレンジしたが、まだ優勝にはたどりついていない。福岡大附大濠は毎年優勝候補にあ挙げらながらも、93年以来全国制覇はない。
今大会初の4強入りを果たした八王子は、2001年のベスト8以来、2度目のメーンコートに立った。初のメーンコートを経験した時に石川コーチは「ここに出て初めてわかったことがある」とその感触をつかみ、そして5年ぶりにその舞台に戻ってきた。今回、メインコートを目前に敗れた能代工業は「絶対にこのままでは終わらない」(加藤コーチ)と雪辱を期して東京体育館をあとにした。初のベスト8入りを果たした新鋭校の明成は「メーンコートに立てたことが何よりの経験」(佐藤コーチ)と、歴史の第一歩を踏み出した。
先輩たちの挑戦を積み重ね、「自分たちの代で優勝したい」との思いを胸に、名門校の伝統は築かれていく。来年のメーンコートを目指した戦いは、もう今から始まっている。
<了>
■小永吉陽子/Yoko Konagayoshi バスケットボール・ジャーナリスト。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。バスケットボールならば、男女問わず、オールジャンルにおいて、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。得意分野はアジア全般のバスケットボール事情。
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