トピックス
矢島彩
スポーツナビ

憧れの原監督の下でプロに挑む怪物
プロ野球ドラフト会議リポート〜東海大相模高・大田泰示〜

2008年10月30日(木)

■中学時代の野球教室で一目ぼれ

憧れの巨人に指名されて、ガッツポーズを見せる東海大相模高・大田
憧れの巨人に指名されて、ガッツポーズを見せる東海大相模高・大田【矢島彩】

「巨人だ!」
 電話越しに聞こえてきたあこがれのチーム名。ドラフト1巡目で福岡ソフトバンクと競合した結果、巨人の原辰徳監督が交渉権を引き当てた。その瞬間、東海大相模高・大田泰示の目から涙がこぼれ落ちた。うれしくて、ホッとした。
「感謝の気持ちでいっぱいです。幸せを感じています」
 巨人は意中の球団だった。城南中学2年のとき、地元・広島の野球教室に原監督が来た。練習する大田を見ながら「いいスイングだね」と言ってくれた。一目ぼれしたのは大田のほうだった。
「とにかくオーラが違う。かっこいい。ベンチでも選手と一体となって盛り上がっている。人間としても見習うところがたくさんあります」
 地元を離れ、神奈川の東海大相模高へ。原監督の後輩になった。通算65本塁打を量産し、気にかけてもらえる選手へと成長した。

 原監督の背中を追い続け、いよいよ同じ場所で同じユニホームを着ることができる。緊張気味の表情が、一気に和らいだ。
「普通の人ではあり得ないこと。運命を感じます。よろしくお願いしますと言いたいです」
 ジャイアンツ愛に似た、チーム愛や和を重んじる熱い性格だ。ことしの夏、北神奈川大会は準優勝に終わった。主将の大田はひと目もはばからず大泣きした。大会前も期間中も、プロの話題を出しても「今はチームで甲子園に行くことしか考えていない」の一辺倒。個人的なプロの話はほとんど口にしなかった。

■「目の前のノルマをクリアしていきたい」

 ドラフト会議が始まる直前に待機していた監督室から退室した大田。トイレに向かう廊下、緊張を吹き飛ばすように大声を出した。門馬敬治監督は「試合よりも緊張しているようだった。1分、1秒が長く感じたんでしょう」と気遣った。
 会見も、感謝と謙虚さが伝わる大田らしいものだった。
「意中ではない球団が交渉権を獲得するケースも考えたか?」
 少し間を空けて答えた。
「進学も視野に入れていました。でも、自分のことで、お世話になっている周りの人を巻き込んで迷惑をかけたくないと思っていました」
 福岡ソフトバンクについても「1位で指名していただいて素直にうれしい。ありがたいです」と笑顔を見せた。
 さらに、誘導尋問気味に「将来は原さんのようになるんでしょ?」と聞かれた。
「プロでやるからには高い目標を持つのも大切。でも、まずは目の前のノルマをクリアしていきたい。そのためにも初心に戻りたい」

 ビッグな体とハートを武器に夢舞台へ挑む。

<了>

■大田泰示/Taishi Ohta

 1990年6月9日生まれ。広島県出身。188センチ、90キロ。右投げ右打ち。中学時代は松永ヤンキースで2年秋に広島県大会優勝。神奈川・東海大相模高では、甲子園出場経験こそないものの1年春からベンチ入りを果たし、本塁打を量産。全国でも有数のスラッガーとして注目を浴びる。今夏の北神奈川県大会では、大会新記録となる5本塁打を放ち、決勝に進出した。高校通算65本塁打の長打力に加え、投手としても148キロを計時するなど、攻守に身体能力の高さを秘める

矢島彩

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中
矢島彩 『アマ〜い野球ノート』

このページのトップへ
名前 スポーツナビお勧め選手 名前
東洋大:大野奨太捕手
■東洋大:大野奨太捕手
チームを大学日本一に導いた強肩強打のアマチュア屈指の捕手【Photo by 島尻譲】

ブログ検索

お知らせ

サイト内検索:  携帯版スポーツナビ携帯版スポーツナビブログ